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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2010年1月の記事

2010年1月31日 (日)

ラブ・ストーリー「ニューヨーク、アイラブユー」

ハリウッド・スターたちが演じはるニューヨークへの愛がいっぱいコッテリやー

日の丸を背負って、岩井俊二監督も参加しはったでー

http://www.ny-love.jp

2月27日(土)から、TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ、梅田ガーデンシネマやらシネマート心斎橋やらで、全国順グリのロードショーでおまして、IMJエンタテインメントとマジックアワーの2社共同配給だす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_4 出演陣は中国圏のスー・チーらを除いて、ハリウッド俳優が多いのやけど、各短編の監督は、各国の監督が揃わはって、さながらニューヨーク映画オリンピックの感じにもなっておます。

中国、インド、ドイツ、フランスなどでおますが、ニッポンからは岩井俊二監督が参加しやはりました。

「9.11」や街や愛や、何かを狂言回しにしたり、最終的に全話をつなげたりと、短編集は各話に一貫したテーマを持たせて、これまでぎょうさん生まれ落ちよりました。

そんな中でも、本作のオリジナル特長点を申しますと、まず、「タクシードライバー」(1976年製作)や「真夜中のカーボーイ」(1969年)なんかの「負」のニューヨークを控えめにし、一方で明るいタイプのNYラブコメに加え、ウディ・アレンとかが描くニューヨーカー人間性の光度を、少し落とした作りなのでおます。つまり、その2タイプを足して2で割ったような感じとでも申しましょうか。

さらに、11編プラス、それらをリンクさせる、ナビゲートかビジターかの視点の1編が加わって、全12編で1時間43分であります。1編あたり8分30秒強の平均でおます。この1編あたりの短さに加え、それぞれの話が映画のワン・シークエンスのタッチで展開しますんで、ここで1話が終わり、では次の話へという風には、はっきり区切られておらんのです。

それに、登場人物の何人かはすれ違い、また、ビジターとは会話を交わしたりしよります。僕は、コレはいろんな人々の話を交錯させる「グランドホテル形式」の、新しい表現方法やと思いました。

さて、ニッポン代表の岩井監督作「Love 03」(=写真)を見てみまひょか。アニメ・カットも挿入して、ジョン・レノンやドストエフスキーなどもセリフに入れて、男女の出会いの瞬間までをユニークに描かはったキモチのいい作品でおます。「ロード・オブ・ザ・リング」3部作(2001年~2003年)やら「パイレーツ・オブ・カリビアン」やら、ここニッポンでも大ヒットした作品で男らしかったオーランド・ブルームはんが主演してはります。

ナタリー・ポートマンおネーさんは、別作品で主演してはりますが、初めて監督に挑まはった1作もおます。つなぎにちょっとぎこちないようなとこもおますけど、セリフの面白さやホワ~ンとした感じが心地よく、僕としては、けっこうオモロかったでおます。

そのほか、ユニークな三角関係、車窓からのカットが悩ましいゆきずりの恋、イーサン・ホーク演じる男のセクシャルな理屈っぽさ、青春ナイーブ恋愛もの、ぼやけ画像も入れたミステリーチックなホテルもの、ロビン・ライト・ペンはんとクリス・クーパーはんが演じるオトナな恋愛、後期高齢者夫婦が演じますウディ・アレン監督的な、ちょいとひねったセリフのやりとりなど、バラエティーに富んでおりまっせ。オモロイやんか!

(C)2008NYC,LLC ALL Rights Reserved

2010年1月30日 (土)

ペネロペ・クルス主演映画「抱擁のかけら」

ペネロペおネーさまが、オードリー・ヘプバーンみたいに輝いてはる、ゴッツー深い映画愛の映画がやってまいります

http://www.houyou-movie.com

2月6日(土)から、全国イッセー、ああ、素晴らしき映画愛やないかいなー、な2時間8分のロードショー。配給は松竹はんでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo 監督と女優の恋愛が、最終的には映画への深~い愛へと着地します、大傑作でおます。

映画愛を描いた映画は、映画業界暴露ものも含めましたら、そら、かなりござります。

でも、本作はそれらの作品群に比べよりますと、ちょっと違っておりま。

そのあたりをちょろっと見ていきまひょか。

かつて優秀やったらしい映画監督が、冒頭から出てまいります。いきなり、ナンパしてセックスしやはって、アレ、この人誰やねんと思うのでありますが、やがて、何とこの元監督が、盲目やと分かるんでおます。えー!? それやのに、セックスしてはったんかちゅう驚きがあるんでおますけど、コレはちょこっとお遊びカットやろと思います。

その元監督はんが、かつて撮らはった映画の撮影現場やらを、現代から思い出さはります。いわゆる、現在と過去をカットバックするとゆう調子でおますが、コレが何ともゆえんくらい、計算された作りなのでおます。

一番に思い出さはるのは、何ちゅうても、主演女優との恋でおます。撮影当時、このペネロペ・クルスはんが演じます主演女優には、本人はモチロン心の中では毛嫌いしてはるのですが、パトロンがおったのであります。そのパトロンと監督の間で三角関係が起こってまいります。

実は、パトロンの指令を受けてでんな、パトロンの息子が、ザラついた画像の映画のメイキング・ビデオを、この2人の挙動を映すように撮りよるんです。それを編集して、パトロンが試写室で、2人はどないなっとんかと、検証しやはるんだす。

でもって、2人の逃避行がおまして、その後にエライことになりよるのですが、この三角関係描写は往年のハリウッド映画ばりに、秀逸でおました。でもって、ペネロペはんは「ローマの休日」(1953年製作)やらで有名なオードリー・ヘプバーンを思い出させるくらい、キラキラ輝いておらはるんでおます。冒頭の短いカット、ヨーロピアン・ビスタの枠入りで映される彼女のカットから、胸がソワソワしよりました。

映画ファンをうならせる、映画的なショットも、ぎょうさんいっぱい入っております。例えばでんな、レストランの窓に映えるヘッドライトの光を外から映し、その後、レストランの中に入っても窓から見える遠近感ある風景を捉えて、映像的な広がりを示しはります。

本作の監督はスペインの監督ペドロ・アルモドバルでありまして、当然スペイン映画でおます。病・事故系の「トーク・トゥ・ハー」(2002年)やらを始め、監督の過去の傑作を思い出させるシーンやエピソードはいくつか見られよります。

けども、世界各国のいろんな映画を、これまで僕は勝手に見てきよりましたけど、これほど映画愛に満ちた映画は、初めてでおました。フランソワ・トリュフォー監督の名作フランス映画「映画に愛をこめて アメリカの夜」(1973年)もあるんですが、それを超えた映画愛の在り方と描き方が、ココにあります。

ⒸEL DESEO,D.A.,S.L.U. M-2535-2009

2010年1月29日 (金)

映画「ピリペンコさんの手づくり潜水艦」

老人が夢を追いかけはる、執念の映画でおます

「老人と海」のようなシニア映画が誕生しましたでー

1月30日(土)より、シネ・ヌーヴォ(http://www.cinenouveau.com/)でロードショーのあと、全国各地へいきよります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo ドイツが製作したんやけど、ウクライナを舞台にした、ドキュメンタリーでおます。

でも、ドキュメンタリーなカンジがそんなにおまへん映画どす。

ドラマ映画と見てもええかもしれまへん。

写真のピリペンコはんは、夫妻共に、ロシアの年金生活者でおます。

そんなピリペンコはんが、長年の夢をかなえるべく、軍隊に入ってはるお孫さんやらと共に、ガンバらはるんだす。

その夢とは、手作りの潜水艦で黒海に潜水することでおます。

何やらチンケなアレやんけー、なんて思わはるかもしれまへんが、本人はいたってマジメなのでおます。

男の夢を追いかける系では、ジャングルにオペラの殿堂を作ろうとした「フィツカラルド」(1982年製作)など、壮大なヤツがおますけど、ピリペンコはんの場合は、そんなに大そうやおまへんのやけど、でも、そのココロは「老人と海」(1958年)のような、鬼気迫るもんがあるんだす。

いろいろあって、グリーンの手作り潜水艦でもぐらはるシーンには、ある種の感動がござります。

ロシアっぽいアコーディオンやら、タイトなギターで奏でられる哀愁のサントラが、ピリペンコはんの夢を応援しはります。ほかに、エレクトーンやら、オペラチックな女性ロシアン・ポップスなども、エエ感じでおます。

青空、海、セピアやブルーなど、ウクライナの土地の雰囲気を示すカットにもしびれました。

生きている限り、夢はどこまでも追いかけるべきやーとゆう熱いメッセージが、この映画にはあります。前向きなキモチがもらえる映画なのであります。

2010年1月28日 (木)

映画「ラブリーボーン」

ファンタジー部は「ハリーポッター」にもヒケとりまへん

ミステリー部は「羊たちの沈黙」にも迫ろうかちゅう勢い

少女ヒロイン部は「千と千尋の神隠し」にも負けまへん

http://www.lovelyB.jp

1月29日(ワクワクの金曜日)から、ニッポン全国チョー拡大のロードショーでおまして、配給会社はパラマウント ピクチャーズ ジャパンでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

090324_final_stills_15001000005_2 殺人鬼に殺された少女が、昇天・成仏せんと、天国へ行く手前で現世を見てはるお話でおます。となりますと、「リング」(1998年製作)の貞子の呪いでもかましたろかーみたいで、あー、恐ろしやー、なお話なんかいな、とビビリそうでおますが、全くそういうことはござりません。

天国、あるいは天国の中継地点でさまよっているお話と申せば、これまで、かなーりたくさん作られてまいりましたし、「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年)みたいに、現世でさまよって守るべき人を助けようとしやはる人もおりました。

でも、コドモは初めてでありましょう。14歳の少女でおますが、これまで、こういうのんが作られなかったのは、モラルの問題もあったのであります。

名作「アンタッチャブル」(1987年)でコドモ少女がいきなり爆死した時、コドモはんを無残に殺すようなシーンがあっていいのか、なんて問題になったりしよりました。

本作は、ファンタジー「ロード・オブ・ザ・リング」3部作(2001年~2003年)で有名なピーター・ジャクソン監督が、そういう非難を超越したところで作り上げはった作品やと、僕は見ました。

ファンタジーとミステリーと少女ヒロインもの、さらに付け加えますならば、家族ドラマもミックスされよりました、娯楽作になったんやないかいなと、僕は思いよります。

少女ヒロインは「千と千尋の神隠し」(2001年)の千尋並みにガンバらはるし、「オズの魔法使」(1939年)のジュディ・ガーランドな初々しさもございますよ。「つぐない」(2008年)では、ちょっとツンツン、不機嫌な少女を演じはったシアーシャ・ローナンちゃんが、健気で、あー「守ってあげたい」と思わず思てしまう演技をば見せてはります。

VFXと実際の風景をミキシングし、木の葉が鳥になったり、セピアの草原と海中のグリーンなど多彩な色合いも含めまして、ユニークな天国への中間地帯をクリエイトしやはったのでありますが、そこにいてはる少女の感覚的導き(霊感とも言いますか)によって、地上のマーク・ウォールバーグ演じるおとっつぁんや妹はんが、お客さんには分かっております犯人を追いつめてまいります。

少女連続殺人事件ですが、犯人のキャラクター造形は「羊たちの沈黙」(1991年)やら「コレクター」(1965年)やらの犯人像とシンクロナイズしよります。妹はんが決死の覚悟で犯人宅に侵入するサスペンス・シーンは、本作のサスペンス部の、手に汗握るハイライトと申せましょう。

そんな中で、僕が一番しびれてしもたんは、アカデミー賞主演女優賞女優のスーザン・サランドンはんの演技でおました。

物語が暗くなりそうなところで、バツグンのコメディ・リリーフ(コメディ・シーンを入れてドラマの緊張をやわらげる手法)をやってくれはりました。傷心の妻役レイチェル・ワイズに代わり、8ビートのタイトなロックに乗らはって、ウイスキーを手離さず、タバコスパスパ吸いながら、家事や子守りをしやはるんだす。

最後に一言。本作のヒロインの少女が殺されたという1973年には、子役テイタム・オニールが、アカデミー賞史上最年少で助演女優賞をゲットした「ペーパームーン」が、本作と同じパラマウントにより製作・配給されております。今年のアカデミーで、シアーシャちゃんを応援するシグナルやと見ましたけど、さてどないなりますやら、楽しみどす。

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2010年1月27日 (水)

日本映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」

コレが典型的な21世紀的草食男子の生きザマやー

http://www.botr.jp

1月30日(土)からテアトル新宿ほか、2月13日(土)からテアトル梅田やらMOVIX京都やらシネ・リーブル神戸ほかやらで、全国各地順グリのロードショーでおまして、配給はファントム・フィルムはんどす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo いやあー、こりゃ、間違いなく、昔はそんなにいてへんかった、草食男子たるもんの草食男子たるプライドを、描かはった、ホンマモンの草食男子映画でおます。「電車男」(2005年製作)なんかと比べたら、天と地でおます。

そんなホンマのホンマに、カッチョ悪い役に扮しはったのは、「銀杏ボーイズ」ちゅうバンドのボーカリストはんの峯田和伸クンです。

前作の「色即ぜねれいしょん」(2009年)では、1970年代全共闘世代のフリーキーな兄ちゃんを演じはりましたが、その役柄と比べたら、これもまた天と地のへだたりがおます。

そんな主人公のお名前は田西敏行やー。アレレ、西田敏行と似てるやんけーでおます。まあ、もじりでしょう。

この人の恋のお相手を務めはったのは、宇多田ヒカルみたいな顔をしてはります黒川芽以ちゃんです。この芽以ちゃんも、峯田クンに合わせて、個性的な役をやってはります。

この2人のゆる~いようなトロ~イような恋の関係は、漫才チックなとこがございます。そんなとこへ、ライバル会社のエリート社員に扮します松田龍平はんに、芽衣ちゃんを取られてしまいよります。彼女が妊娠させられ、捨てられてとゆう、人生の一大試練に直面いたします。

でもって、ケジメを付けんがため、峯田クンは松田はんに決闘を挑むのでありました。「タクシードライバー」(1976年)のロバート・デ・ニーロをマネして、髪の毛をバリカンで剃ってもろて、薄グリーンのジャンパー着て、いざ出陣! でおます。

何やらエグくてヤバそうな展開やんか、なのですが、そのエグさやらがほとんど感じられないのでおます。それはもちろん、峯田クンのユニーク・キャラゆえなのですが、ベテラン陣のバイプレイヤーぶりもまた、強力サポートでおました。

芽衣ちゃんの隣室に住んではる、ソープ嬢役のYOUはん。この人との絡みが、2人の仲を悪くする原因となるのやけれど、YOUはんの「そんなこと気にしない」みたいな、マイペースぶりのひょうひょうたる演技に、舌を巻きました。

リーマンやのに就業中も、キリンの第1の缶ビールを手離さずに飲んではる小林薫はんにも、たまげよりました。主人公に闘い方を指導しやはるのですが、とにかく面白い。ほとんどセリフのない社長はん役のリリー・フランキーもまた、ヌーボーとした面白さがござります。

主人公が同僚の結婚式で、彼女以外には全く通じない、彼女に謝るスピーチをシャベったり、戦闘モードに入る前の、カラオケのハチャメチャな歌い回しなど、これまでのこの手のラブコメにはなかった、シークエンスが多数、盛り込まれているのも見どころでおます。

また、プラットホームでの別れや、対決シーンやそこへと到る過程での2人の描写など、これまでのラブ・ストーリーの定番をハズすような展開が、ある意味で痛快でおます。

とにかくほぼ間違いなく、映画史上初めて描かれた、草食男子人間ドラマだと僕は思いよりました。

Ⓒ2010花沢健吾/「ボーイズ・オン・ザ・ラン」製作委員会

2010年1月26日 (火)

菅原紗由理1stアルバム『First Story』

菅原紗由理1stアルバム『First Story』

宇多田ヒカル、倖田來未、絢香級の女性ボーカリストが誕生した!

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フォーライフミュージック(http://www.forlife.co.jp/)から、1月27日(水曜日)よりリリース

収録曲①ありがとうfeat. FEROS②キミに贈る歌(テレビ東京系「JAPAN COUNTDOWN」4月度オープニングテーマ)③Is This Love?④君がいるから(ゲームソフト「FINAL FANTASY ⅩⅢ」テーマソング)⑤It's My Life(TBS系テレビ「世界・ふしぎ発見!」エンディングテーマ)⑥あの日の約束⑦alone…⑧スリル⑨Eternal Love(「FINAL FANTASY ⅩⅢ」挿入歌)⑩桜のみち⑪恋⑫スーパースター☆⑬Destiny feat. FEROS<春ver.>⑭ALWAYS

初回生産限定盤DVD付き<SUGAWARA SAYURI Special Live2009.11.6@代官山UNIT①恋②I still love you③キミに贈る歌<Music Clip>君がいるから

初回生産限定盤(=写真)(CD+DVD):FLCF-4315\3,500/通常盤(CDのみ):FLCF-4316\3,000

映画評論は関西公開前映画分析のために、関西弁でありますが、レコード評論、通称レコ評は、全国発売前ということもありまして、標準語にて論評いたします。

例えば、Jポップ界で言えば、彼女、菅原紗由理(すがわらさゆり)は、宇多田ヒカルや絢香のように、デビュー時から大ブレイクするようなタイプではなく、倖田來未みたいに、ゆっくり時間をかけてヒットしていくタイプなのではないかと思います。つまるところ、ヒッキーや絢香は別としまして、醸成期間が長ければ長いほど、音楽界で永~く活躍できるという傾向がありまする。

レコード会社のフォーライフがオーディションで獲得した女性アーティストと聞いて、僕はフォーライフにかつて所属していた、杏里とか今井美樹とかを思い出したのですが、彼女はそんな2人の大先輩とは違う音楽を歌っているのです。

2ndマキシシングル「君がいるから」は昨年末にスマッシュ・ヒットしましたが、友への感謝を歌った、愛とか恋とかじゃない、久々に爽快な友情ソングを聴いた気がしました。

その曲を含むファースト・アルバムの登場です。青山テルマらがヒットした、ヒップホップ系のフィーチャリング・ナンバーで、男女で歌のやりとりをする⑬の春バージョン、宇多田ヒカルを思い出させるような②や、ドリカムを想起させるようなソウルっぽい⑩⑪⑫、倖田來未っぽい軽いノリのR&Bバラード⑭など、今のキャッチーな売れ線ラインを、そこかしこで打ち出しつつも、ニュー・タイプの光もカンジさせてくれます。

21世紀になってJポップ界で顕著になった「桜ウタ」でいきますと、⑩は確かに「桜ウタ」なのですが、歌詞に「桜」の言葉は1語しか出てこず、しかも、「桜ウタ」には少ないタイプの「未練歌」であります。この「未練歌」は、ストリングス入りの⑥、その後日談といった⑦でも披露されます。

また、1990年代にビーイング系のアーティストが、多数採用していた作曲術「クリシエ」を使ったポジティブ・ソング⑤なんかにもビックリしました。「クリシエ」とは、ベース音を1小節ごとに1音ずつ下げていく手法なのですが、頭で思い描いてみてください、気持ちいい感じがするでしょ?

さらなるビックリは、グレンミラー・オーケストラみたいなビッグ・バンドをバックに、ジャジーなポップを聴かせる⑧です。リズムボックスをバックにしたアップ・ビート・ナンバー③との、サウンド的対比効果もバツグンで、彼女の声のレンジの広さを見せ付けてくれます。

MISIA、宇多田ヒカル、平井堅など、1990年代後半あたりから活性化したジャパニーズR&Bへも、新解釈を施してトライしております。フィーチャリング・ナンバーとなった①や、バラード⑨などがソレです。

いずれにしましても、キャッチーな曲ぞろいですので、先ほどブレイクするのに時間がかかるなどと申しましたが、予想を大きくはずして、すぐに大ブレイクしてもおかしくない仕上がり。必聴あるのみなのです。

(文=音楽分析評論家・宮城正樹)

映画「フローズン・リバー」

おばはん2人のナントモ言えへん友情

貧しい人たちが織り成す、必死の生活力に脱帽やー

マイナー系やけど、コレは傑作でおます

http://www.astaire.co.jp/frozenriver

1月30日(土)から東京・シネマライズ、2月27日(土)からシネ・リーブル梅田やらシネ・リーブル神戸、ほんでもって、全国各地へゆっくりフィルムが回りますよってに、待っとってくだされ。本作の配給会社はアステアはんでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_13 カナダとアメリカの国境。カナダ系のネイティブはんが住んではるところでの、お話でおます。

アメリカ住民の写真のおばはんでおますが、このあたりに住むんは、生活の苦しーい人が多いんであります。

男のコドモが2人もいてはるんですが、ギャンブル狂い、ビンゴでおますが、狂ってはる夫を、拳銃撃って追い出さはって、おとうちゃんはどっかへ消えはりました。

ああ、明日から、どないしたらええんや、とおかあちゃんは、さっそく悩まはりますねん。人生に疲れたみたいな、おばはんのクローズアップが冒頭から映されます。

そこへ、ひょんなる偶然から、運命のおばはんと申しますか、原住民のおばはんと出会わはります。2人でヤバイ仕事をしやはるのでおますが、このおばはん同士のキズナと申しますか、友情と申しますか、実にシブすぎる仕上がりなのでおました。

中年の主婦同士やったら、「テルマ&ルイーズ」(1991年製作)やらのアクション控えめ版とも取れますし、アメリカの異種コミュニティー内での交流となりますれば、「刑事ジョン・ブック/目撃者」(1985年)とも通じよります。

その仕事は、アメリカへの不法入国者を無事に請負人のとこへ、凍った河(タイトルの日本語訳)を走って、車で届けるとゆうものなのですけども、メキシコやらは多かったですけど、カナダ→アメリカちゅうのは、映画ではほとんど描かれたことがおまへん盲点でおました。

2人のエピソード、特に、不法荷物と間違えた赤ん坊を助けに行くところは、しみじみ感動できよります。しかも、「自分のおかげではなく、神のおかげ」と話すおばはんの友達のセリフには、のちのちカウンター・ブローのようにグッときよります。

そんな女の友情、家族のキズナやらが描かれますが、決して押し付けがましくなく、自然な流れの中で描かれておりまして、見たあとでゆっくりジーンとくるのでおます。

アカデミー賞では、おかあちゃん&おばはんヒロインを演じはったメリッサ・レオはんが主演女優賞にノミネートされはりました。

また、コレがデビュー作となります、女性監督のコートニー・ハントはんは脚本も書かはって、アカデミーの脚本賞にノミネートされてはります。

有名やないけど、女性たちのチーム・ワークによりまして、はっきりと申し上げますと、「テルマ&ルイーズ」にも負けへんような、ええ映画ができたんやないかいなと、僕は思いました。

家族と友情のキズナが合体したような、ラストのシークエンスは、長~く心に残るハズでおます。

2010年1月25日 (月)

仲間由紀恵友情出演映画「手のひらの幸せ」

西田敏行はんも泣いて出演した良質印の感動作が登場しよります

http://dreamonefilms.com/tenohira/

2月13日(土)からシネ・リーブル梅田ほか、全国順グリのロードショーでおますけど、配給はゴー・シネマどす。映画へレッツラゴーでおます。

文=映画分析評論家・映画分析研究所所長の宮城正樹でおます。

Photo 3カットとワンシーンで、教師役で仲間由紀恵おネーさまが出てきやはります。

「ヤンクミ」みたいなバクレツ系やおまへん。優しいしとやかな「ヤンクミ」はんだす。

一方で、「釣りバカ日誌」シリーズ(1988年~2009年製作)で国民的人気のハマちゃん、西田敏行はんが、2シークエンスで、感動的な役をやらはりました。

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こちらは、山田洋次監督作品の「学校」(1993年)みたいな、ホント、親身なカンジが結構ココに、胸にきよります。

おかあちゃんもおじいちゃんも死んでしもて、おとうちゃんは出稼ぎに出たまま音信不通の、6歳と4歳の幼い兄弟のお話でおます。

で、お話は、2人が兄が大工見習いになり、弟はフルートの見事な才能を持った、高校3年生な1968年の時より、始まりよります。おとうちゃんは、行方不明のままだす。

この兄弟が過去を振り返るカタチで話は、いちおう展開しよる体裁なのでありますが、「砂の器」(1974年製作・公開)のように、最も感動的なエピソードは、後半においておくといった展開なのでおます。つまるところ、今と10年前の昔を交互に映すようなカットバック手法ではござんせん。

過去は1958年の逸話でおますが、「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)もこの年を背景にしてはりました。昭和映画です。しかし、東京を舞台にした昭和30~40年代舞台の映画となりますれば、CG使いを駆使する以外には、当時の風景なんて、まあ、今はほとんどありませんやろ。本作は新潟ロケで、昭和の雰囲気を探さはりました。

それでも、この21世紀も10年経った世の中で、当時になかったものを一切映さずに、映画を撮るっちゅうのは、まあ、至難のワザといえばワザなのでおます。ケータイやパソコンは当然出せまへん。そんな制約の中でも、やっぱり、慎重に慎重をきして撮らはったんが、よーう分かります。

兄弟愛を描いてはりますが、コドモ時代は4人兄弟やった「にあんちゃん」(1959年)みたいで、10年後のエピソードは、ある意味で「手紙」(2006年)のようでもおます。

兄弟ホンマに愛し合ってはる姿が、しみじみ心にきよります。素晴らしきラブ・ストーリーと申しても、ええかも分かりまへん。僕は「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)にも負けへんような、純愛を感じよりました。

ロングショットの絵画的な構図が多数見られよります。美しい稲穂や山並みやら、わらぶき家をバックに、メッチャ美しいシーンが続きよります。

監督の加藤雄大はんは、世界のクロサワこと黒澤明監督とも仕事をしやはった、大ベテランはんでおます。撮影監督出身の映画としまして、木村大作の「劔岳 点の記」(2009年)やらがおますけど、撮影の美しき構図は、決してヒケをとらはりまへん出来でおますので、ぜひお近くの映画館でご確認くだされ。

ちなみに、仲間由紀恵ちゃんは、弟はんを優しく指導しやはり、西田敏行はんは、幼い兄弟を助けはるエエ役で出演してはります。

「セカチュウ」みたいに、悲しい話もあるのやけれど、最後はストップ・モーションにしてのナレーションで、全てがハッピーに変わってしまうシーンに、大いに感動しよりました。

Ⓒドリームワンフィルム/ドロップオブスター/ランテル・メディエール/シージェイネットワークス/T-artist

2010年1月24日 (日)

ラブ・ストーリー「恋するベーカリー」

メリル・ストリープはんが、別れたダンナと不倫やて~!?

アラカン世代版「クレイマー、クレイマー」の再演か

http://www.koibake.com

2月19日(金曜日でっせ)から、TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田ほか、ニッポン東西南北・全国各地でイッセーのロードショーでおます。映画の配給会社は東宝東和はんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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1977年に「ジュリア」でデビューし、オスカーの主演女優賞と助演女優賞のどっちも金メダルをとってはる、大ベテランのハリウッド女優はんメリル・ストリープKoibakesub41jpg_cmyk が主演しやはった映画でおます。まあ、そんな歴史を持ってはる女優はんなんで、過去の出演作品なんかを、オーバーラップさせるようなとこがありよります。

10年前に離婚し、おかあちゃんのメリルはんは、3人のコドモを1人で育てあげはりました。別れたダンナ役のアレック・ボールドウィンはんは子持ちの若いオナゴと再婚してはります。

でもって、息子の大学の卒業式に出席するために、この2人がNYで再会しはって、ホテルで再びラブラブになるのでおました。そんな不倫関係が、その後も続くのでおました。

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離婚、あるいは離婚して復縁する方向性という意味では、メリルはんがアカデミー賞の助演賞に輝かはった「クレイマー、クレイマー」(1979年製作)を思い出させよります。そのアラカン版再現といった趣きでおます。

しかも、家族揃って見はるレンタル・ビデオは、何とダスティン・ホフマン主演映画でおます。ビックリでんな。「クレイマー、クレイマー」のダンナはんに扮しはった、こちらもチョーベテランはんでおます。

いみじくも、このホフマンはんも、過去作品を思い出させるラブ・ストーリー「新しい人生のはじめかた」(2月6日公開)で主演しやはりました。こちらの作品は、後日に紹介分析いたします。

さて、本作に戻りまひょ。そんな2人の間へ、もう1人スティーブ・マーティンはんが参戦しはって、三角関係になりよります。メリルはんが27年前から絶ってるとゆわはるマリファナを、このマーティンはんと一緒に吸ってゴキゲンにならはるんだす。

映画設定の27年前といえば、1982年です。メリルはんはこの年、三角関係ドラマも入っておした「ソフィーの選択」(1982年)でアカデミー賞主演女優賞を取ってはります。

さらに、フランスでベーカリー修業したというセリフがあるんですけど、これはモロ、彼女の最新作「ジュリー&ジュリア」(2009年)の、フランス料理修業にかけております。

また、彼女の出演作やありませんが、アラカン世代のバイブル的ラブ・ストーリー「ある愛の詩」(1970年)の有名なセリフを、挿入しやはります。「愛とは決して後悔しないこと」。ストレートやありませんけど、「(2度目の愛に)後悔していない」と言わさはるんです。

不倫劇・三角関係劇やのに、妙に明るいトーンで作られておりまして、また全体的に明るい画調でおまして、メリルはんのチョコ・クロワッサン作りのシークエンスなんか、楽しくおいしく見れてしまいよります。

今までは暗めのシリアスな演技が多かったメリルはんですが、この演技で、おそらく今年のアカデミー賞にノミニーされはることでしょう。「ジュリー&ジュリア」に続く、この明るい演技に、もし僕がアカデミー会員やったら、清き1票を投じます。

Ⓒ2009Universal Studios.ALL RIGHTS RESERVED.

2010年1月23日 (土)

クリント・イーストウッド監督最新作「インビクタス/負けざる者たち」

マット・デイモンがさわやかアスリートになったでー

モーガン・フリーマンがヒューマン政治家になったでー

クリント・イーストウッド監督が撮らはった、監督キャリア初の熱きチーム・スポ根映画やでー

http://www.invictus.jp

2月5日(金曜日)より、全国いっせいのロードショーやらはります。配給はワーナー・ブラザース映画でおます。大阪やったら、梅田ピカデリーやら梅田ブルク7やらで上映します。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo 僕は今まで、野球を除いて、アメフトやらラグビーやらサッカーやらのチーム・スポーツ・ドラマ映画については、ほとんど心を揺さぶられたことはおまへんでした。

もちろん、そんなスポーツの世界なんて、体育の授業でなろたことなんて、ほとんど覚えていず、一体、どういうルールで、どういう点の取り方やらになっとるんか、さっぱりの人はさっぱりでおます。

でも、この作品は、そんなん知らんでも、よう分かるように作ってはりまんねん。

1964年から30年間も監獄島に服役させられとった、モーガン・フリーマン扮するネルソン・マンデラ大統領の実話のお話となれば、どないしても政治映画という足かせをはめられてしまいよるのですが、コレは違いました。

「ラグビーも政治」なんてセリフも出てきよるんやけど、政治人間ドラマ映画と、スポ根的ドラマのソウカイさを、見事なカタチでミキシングしてでんな、大いなる感動を呼ぶ、何とも言われへん映画になっとるんでおます。

アフリカを舞台にした映画となりますれば、これまでは、アミン大統領ものとか、しいたげられる系とかが多く、また、ハリウッド映画とかで適当にラブ・ストーリーなんかで使われたりしとったのですけど、こんなにさわやか系のスポーツ映画は、かつてあったやろかと思いよりました。僕には覚えがありまへん。

現地人を隔離して貧民街に住まわせる、人種差別政策「アパルトヘイト」が世界的に問題になっとった南アフリカ共和国なんやけど、例えば、それにインスパイアーし肉迫しはった「遠い夜明け」(1987年製作・イギリス映画)なんてゆう名作映画も出てきよりました。

その「遠い夜明け」が「夜明け」となり、明るい未来を映し出すカンジの映画が本作なのであります。

ムショから釈放され、1年以内に大統領にならはったモーガンはんの、グッと心にきよりますセリフに、ヤラレます。というか、ヤラレまくりでおます。

大統領と会って「あんな人は初めてだ」と言うマット・デイモンが、大統領の「力以上のものを出せば」やら、「インビクタス」なるムショで書いた詩なんかに、胸打たれはりまして、本気になってラグビーのワールドカップ優勝を目指さはります。

この大統領と選手の関係描写でありますが、実にスムーズでおます。ああ、こういう仮想の監督と選手の素晴らしき関係なんて、そうそうあるもんやないと思いました。

「ショーシャンクの空に」(1994年)でもムショ体験演技を披露しはったモーガンさんですが、本作では大統領役やけど、「ディープ・インパクト」(1998年)でやらはったUSA大統領役で、最後に「これからです」と言わはったように、本作もチョー前向きの演技で魅せてくれはります。

クリント・イーストウッド監督作品には、感動的な作品が余りにも多いのですが、本作は1リットルの涙分は最低限、保証できよります泣ける感動作となっております。

Ⓒ2009 Warner Bros Inc. All Rights Reserved.

2010年1月22日 (金)

青春映画「書の道」

次の「嵐」が本作にいて、ドッと吹きまくるんかどうかは

君らが見て確認したってくだされー

http://sho-no-michi.com

1月23日(土)から、シネ・ヌーヴォXにて公開のあと、全国各地へ回りますよってによろしゅうに。配給はThanks Lab.でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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D-BOYSっちゅうグループがおまして、柳下大、古原靖久、三浦涼介、牧田哲也、河合龍之介ら、D-BOYSに入ってはらへん人もいてはりますけど、イケメン揃いが出演した青春ムービーでおます。ジャニーズの「嵐」やらとも、おメンでいけば、決してヒケは取っとりません。

昨年、「草食男子」なる言葉が生まれよりましたが、結局それって、昔のいわゆる「体育会系」の反対の、「軟弱」「ネクラ」なんて意味ですよな。

いわば、コレに出はる若人は、つまり、「イケメン」にして「草食男子」ということになりよります。けども、本編を見て少し違うような気もしよりました。

確かに、サークル系でコンテスト優勝なんかを目指す映画としては、「体育会系」のスポ根ものがまず多数あり、音楽系やらがあります。

でも、こちらは文科系サークルものでおまして、しかも、「文」が命の世界でおます。俳句の「恋は五・七・五!」(2004年製作)やらは出ましたけども、例えば文芸部が団体で、小説のコンテストで日本一を目指す場合なんか、どう映像で表現したらええねん、なんてゆう大いなる問題が生じてきよるわけでおます。

但し、映画製作ものは文化系でありますが、こちらは、これまでに多数作られてきました。映画を映画で表現するストレートさで、表現しやすいのでおます。

本作は「書道」だす。俳句よりは短いです。映像で示してもワンカットで済みます。

そこで、どのようなアクションや人間ドラマが生まれるのかでありますけども、特訓なるもんがありまして、手首を強ーくするボクシング練習やら、竹刀くらい大きな筆でアクショナブルに書いたり、また、百枚書き続けるなんてゆう恐怖のスパルタなんぞもござります。

でも、今どきの若い者たちが、自分たちだけで試行錯誤し、悩みながらも、お互いのキズナを深めて「全国大学書道展」というコンテストへと向かう、いろんな場面が胸にきます。「臭いやんか」なんてゆう人もいてはるかもしれまへんが、「臭い」とか「照れくさい」とかが青春映画の、ある意味でええとこでおます。

「自分に負けるな!」とかの励ましの書や、「道」を連ねた書道作品とか、文字で伝わる感動とゆうものが、僕としては本作にはありました。

シンセ含む打ち込み系のサウンドをメインにしとりますが、それがけっこうドラマのリズムに合っとるんですよ。

ラストに流れる「三人サイトー」が歌う、8ビートのJポップ「歩く人」も、映画に合っとると思いました。

Ⓒ2009「書の道」製作委員会

2010年1月21日 (木)

実話ホラー映画「エクトプラズム 怨霊の棲む家」

ゴッタニ・グチョグチョ・ホラー映画

「リング」に「もの申しまっせ」なカンジやねん!!

http://www.ectoplasm-film.jp

1月22日(昔言われた「花の金曜日」でおます)から、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、梅田ピカデリーやら全国イッセーのロードショーやります。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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息子はんが吐き気を催すガンにかかってはって、おかあちゃんが車で遠くの病院までしょっちゅう連れていかはるのですが、帰ってくんのが深夜になりよります。

そこで、治療中の間、病院の近くに家を借りはって、家族一同引っ越さはるんだす。そやけど、そのでっかい家は、トンデモネーオトロシーとこやったんやー。

最終的には、結局、つまりは、「リング」(1998年製作)の貞子やらと同じく、ユーレイのウラミ節ホラーでおます。

でも、そこへ行き着くまでが、グチョグチョのゴッタ煮ホラーな展開でいっとります。

つまり、それはどないなことかと申しますと、チョー低予算で作りよった館ホラー「パラノーマル・アクティビティ」(1月30日公開)より、ダイブお金が掛かっておますよってに、「パラノーマル」のシンプルさよりも、ホラー素材を思いっきりブチ込んだ結果やろうと思います。

ミスマッチなシーンに、せいだいオーケストラ・サントラを流したり、ちょっとチャッチーやけど、VFXを駆使したりできるわけでおます。

最初は「家」(1976年)や「悪魔の棲む家」(1979年)みたいな、家で恐怖現象が起こる館ホラーのようやけど、やがて幻覚ホラーのノリへと移り、「エクソシスト」(1973年)みたいに牧師はんもスケダチに現れ、ラスト近くでは、オノで扉を割る「シャイニング」(1980年)やら、シャワー中に襲われる「サイコ」(1960年)やらを思い出させるカットを挿入しはったりと、まあ、いろいろやってはります。

イギリスのミステリー小説に多く見られる交霊会・霊媒ネタは、古っぽいけれど、最近は余り見られへんので、若い人には、逆に新鮮かも分かりまへん。

とにかく、コワ~いホラーの要素はギュウ詰めやから、草食男子な彼や、優しい怖がりの彼女を連れはって、映画館デートしはったら、どないですか。

Ⓒ2009 Warner Bros Inc. All Rights Reserved.

2010年1月20日 (水)

音楽映画「ライブテープ」

路上ライヴを超えた、ロードムービー・ライヴやなんて

マジッすか? やん!

http://www.spopro.net/livetape

1月23日(土)から、シネ・ヌーヴォXにてロードショーやります。以降、全国順番にかかる予定でおます。上の本作公式ホームページを随時、ご確認くだされ。配給は、SPOTTED PRODUCTIONSやー。

文=映画・音楽分析評論家=宮城正樹

Photo_2 Ⓒ 2009 Tip Top

例えばでんな、アメリカン・ニューシネマの名作ロードムービー映画「イージー・ライダー」(1969年製作)なんかで、ロック音楽やらが、レコードを流すサウンドトラックとしてかかりょると、カッコええカンジでおます。

ほんで、これもでんな、理屈はいっしょなんでおます。

つまりでんな、「イージー・ライダー」には目的地はなかったんやけど、野外の公園ライヴ会場へと向かう、ギター片手にうなってはる写真のアニキが、歌いながらその目的地へ向かわはるっちゅう、音楽ドキュメンタリーでおます。

ドラマやなくて、ライヴでおます。前野健太はん。売れてまへんけど、歌うたいのフォーキー&ロッカーでおます。彼が歌うような音楽は、最近、さっぱり売れんようになってしまいよりました。

嵐なんかのジャニーズ系や、EXILEなんかのエイベックス系のダンス・ミュージックなんかが、もてはやされておます、今日この頃のJポップ界でおます。

でも、前野はんは歌い続けはります。町ゆく人は、ほとんど誰も見向きもしなければ、誰かがじっと耳を傾けはるっちゅうシーンもありまへん。

それでも、彼は、目的地へとひたすら向かいながら、ギターをかき鳴らし、歌を歌い続けはるのでおます。

途中で、何人かのプレイヤーとの競演がおます。店と店の間の狭い通路上での、ギターと中国の弦楽器・二胡のシブい競演やら、ファストフード店やラーメン屋らがある裏通りで、ギターとサックスがコラボレートしはったりと、音楽は空気みたいなもんやを、さりげなく披露しやはります。音楽は空気と同じく、日常生活に必要なものなんやと僕は勝手に思とります。

さいぜんも言いましたが、ほとんど誰も聞いてはりません。もちろん、映画を撮ってはるという、その現場感や本チャン感みたいなんが、みんなを避けさせはるんかもしれませんが。

撮り方が意欲的でおます。エルミタージュ美術館を、幻想的に撮らはったロシア映画「エルミタージュ幻想」(2002年)では、ワンカット長回し撮影が90分余りも続きましたが、本作ではソレには及びまへんけど、70分強でおます。

まあ、ドキュメンタリーでは、最長不倒の、ワンカットワンシーンの、カメラが止まらない撮影でおましょう。

主人公と亡き父とのエピソードやらも披露されよります。でも、ココでは、音楽を表現することの意味が、しみじみと伝わってまいります。しかも、普通の町の風景の中で、BGMとかやなく、ナマの歌演奏が風景の一部になっていくのです。

この切り口は、間違いなく、これまでの音楽ドラマ映画や、音楽ドキュメンタリーにはなかった視点でおます。ある意味で、映画の意図やテーマを持たないような中に、この映画の本質みたいなもんがあるんやないやろか。一種のアドリブ感やろね。

「イージー・ライダー」のドキュメンタリー版と錯覚しても、おかしくない仕上がりなのでおます。

2010年1月19日 (火)

映画「ユキとニナ」

ユキちゃんとニナちゃんの2人が、ホンマのホンマに

かわいいのでおました

http://www.bitters.co.jp/yukinina

1月23日(土)から、恵比寿ガーデンシネマやらで、2月6日(土)から、梅田ガーデンシネマやらで、メッチャかわいいやん、全国順グリの公開でおまして、配給はビターズ・エンドで、文化庁の支援も受けておりま。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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Ⓒコム・デ・シネマ、レ・フィルム・デュ・ランドマン、アルテ・フランス・シネマ、ビターズ・エンド

いやあー、こら、ホンマにやられましたわ。

写真に写ってはるこの2人、特にでんな、おかっぱの方のユキちゃんに、すっかりハマって、ハメられてしまいよりました。

諏訪敦彦はんと、フランスのベテラン男優のイポリット・ジラルドはんの共同監督で、ニッポンとフランスの共同製作作品でおますが、フランスのルイ・マル監督が撮った「地下鉄のザジ」(1960年製作)の、ザジちゃんのホヨヨ~ン・ポヨヨ~ンなカンジが、ストレートやないけど、シブ~く出てるようなカンジとでも申しましょうか。

フランス在住のユキちゃんとニナちゃんの2人は、強~いキズナ(!?)で結ばれてはりまして、親の離婚でユキちゃんは、マミーと共にニッポンへ、移住せんならんようになりました。

でも、ユキちゃんはニナちゃんと別れたくないのでおました。そこで、2人で家出しよりまして、とある森の中へとさまようのでありました。

でも、凄いことが、この森の中で起こるのでございます。場所ワープでおます。ビックラこきました。「千と千尋の神隠し」(2001年)みたいに、意図的なワープやおまへん。突然、ワープでおます。

こういうシーンの挿入とゆうのは、サプライズ感が強烈でおます。

一方で、諏訪監督お得意の長回しの撮影シーンが、次々にやってまいります。それらが、この子供たちの気紛れポヨヨ~ン感を、意外にも増しておるんであります。

テーマはもちろん、「コドモって何?」でおまして、コドモたちの自由ホンポーなところが、素晴らしくも、大人たちの心へと伝わってまいります。

「大人は判ってくれない」(1959年)とか「スタンド・バイ・ミー」(1986年)とかを思い出させるシーンもあるんやけど、「それがどないしたのん?」なノリが、一種のアイロニーというか、自然体の天然系アイロニーみたいになっとりまして、僕はヤッパ、この映画にすっぽりハマりよりました。

ラストに流れるUA(ウーア)のオキナワンな曲も、サプライズ感を増す作りとなっておます。

2010年1月18日 (月)

ニッポン映画「ワカラナイ」

「子ども手当て」で、この母子家庭の悲劇はホンマに終わるんやろか?

それは誰にも「ワカラナイ」

http://www.uplink.co.jp/wakaranai/

1月23日(土)から、ティ・ジョイ配給によりまして、第七藝術劇場(http://www.nanagei.com)で、ようワカル公開のあと、全国順グリのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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母子家庭のお話でおます。実のところを申しますと、かわいそうなお話なんですわ。

カンヌ国際映画祭で主演男優賞をもらわはった柳楽優弥が演じました「誰も知らない」(2004年製作)の場合は、母子家庭でも弟やら妹やらがいてはって、孤独やなかったでしょ。おかあちゃんは、行方をくらましはるけれど。

こちとら、たったの1人でおまして、しかも、おかあちゃんは重たい病気で入院中や。そんなおかあちゃんの入院費を稼ぐためにでんな、コンビニで働いてはったんです。ああ、ええ話やないかいな、と思たら、それが違いまんねん。

食費を浮かすために、コンビニで売ったるもんを勝手にネコババして、家で食うてはるんです。それが、店長にバレてしまいよりまして、リー即、クビでおます。ほんで、おかあちゃんも死なはります。病院代やら、葬式代やら、払わんといけまへん。でも、金がおまへんねん。ああ、彼は一体、どないすんねんな。まあ、かわいそうでおます。

「マッチ売りの少女」の頃のお話やないんです。これが、21世紀の現代のお話でおます。

けだるいカンジを出すための1~2分の、キャメラの長い撮影、通称、長回し撮影がよく出てきよります。また、写真の主人公がメソメソ泣かはるシーンやら、背中を見せて歩いていくショット、正面から映す場合でも、首を傾けたりうなだれるシーンがよーく出てきよります。セリフの少ない、半ばサイレント映画チックなノリでもございます。

つまり、完全にこの少年の気持ちを表現するための、撮り方であり、小林政広監督の演出ぶりなんやね。こういう演出ぶりは、監督の過去の作品「バッシング」(2005年)やら「愛の予感」(2007年)やらで使われとります。

僕が個人的に感動したのは、追い詰められた主人公が取ったある行動でおました。これは、名作フランス映画「情婦マノン」(1949年)なんかでも使われておりました。

また、舞台の宮城ロケではウグイスが泣き、少年が見知らぬ父に会いに行った東京では、セミが鳴いているといった、時間経過を示すショットを、それとのう本編に入れたりしてるのんも、監督の細部シーンへのこだわりと計算でおます。

少年役は小林優斗クンですけど、柳楽優弥に負けない演技ぶりやと僕は思います。また、ほとんどベッドに横たわり、死んでいる演技に集中しはった母役・渡辺真起子はん、小澤征悦(ゆきよし)はん、横山めぐみはんらも、少年をかわいそうに見せるための演技にこたえてはります。

DVD化されとります、フランソワ・トリュフォー監督の「大人は判ってくれない」(1959年)と見比べてみはったら、よろしいおますかもしれまへん。

ⒸMONKEY TOWN PRODUCTIONS

2010年1月17日 (日)

佐藤江梨子主演映画「すべては海になる」

サトエリが書店員ヒロインをユル~く演じはりました

文学へのリスペクトが満載やー

http://sea.jp.msn.com

1月23日(土)から、関西やったら梅田ブルク7やら、東京、名古屋、北海道、九州やらの全国各地の映画館で、いっせいにロードショーまっしぐらでおます。東京テアトルはんが配給してはります。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Main_mail Ⓒメディアミックス・ジャパン

佐藤江梨子サトエリおネーさまが、これまで披露しはった、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(2007年製作・公開)のふてくされた役とか、「秋深き」(2008年)の大らかな役とかやらとは、違う役をやらはりました。

「愛が分からない」やなんてゆわはる、ユルくて無色透明、でも、肝心なところではしっかりしてはる書店員を演じはりました。書店員が主人公の映画とゆうのも、珍しいでおます。

要潤演じます出版社の、エロ書店回り営業マンと、時々ベッド・インしやはるのですが、母が万引きしてはる家族の息子はんと、ええカンジにならはります。

その高校生の息子はん役は、「誰も知らない」(2004年)の演技によりカンヌ国際映画祭で主演男優賞の、金メダルをもらわはった柳楽優弥(ヤギラ・ユウヤ)クンだす。

仮想「姉と弟」みたいな関係でおまして、姉弟ドラマ映画と恋愛映画の微妙な境目を、クリエイトしたみたいな映画でおます。

監督はんは、テレビ番組のディレクターにして小説家の「山田あかね」はんでおます。彼女は映画監督になりたかったのですが、なかなかチャンスに恵まれまへんでした。

そこで、村上龍みたいに作家になったら、撮れるチャンスが巡ってくるんやないかいなと考えはって、小説家にならはりました。で、ようやくでおます。夢がかないました。

自分の小説を自分で監督する作品というのは、ある意味において、最も難しいのやないかいなと、僕は思いよります。つまり、文章で表現したもんを、映像にせなアカンわけでしょ。これまで、どちらも素晴らしい作品に仕上げはったのって、みなさん、思いつかはりますか。僕はクエスチョンでおます。

そんな中でも、「あかね」はんはキバラはったんやないかいなと、勝手にジャッジいたしました。

文学を中心にした書物へのリスペクト・シーンがあるかと思たら、手書きアニメやらを使った遊びゴコロあふれる小説のあらすじ描写、ヒロイン・ドラマと壊れ家族ドラマの融合を狙わはったり、また、「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)へのアンチ・テーゼを示すような、シーンやセリフなどもござります。

演出、つまり演技指導がちょっぴりユルめかなとは思いよりますが、長編映画初監督作品としては上々の出来でおます。しかも、全国いっせいロードショーや。彼女は幸運でおます。ああ、僕にも幸を分けてくだされ。

2010年1月16日 (土)

超絶ホラー映画「パラノーマル・アクティビティ」

「エクソシスト」級の映画が、135万円ポッキリでできてしもたやんかー。おい、そんなのアリかいなー?

http://www.paranormal-activity.jp

1月30日(土)から、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、シネマスクエアとうきゅう、敷島シネポップ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都ほか、ニッポン全国各地でロードショーやらかします。公開されとらん地方にも、そのうちいきまっせー。配給会社はプレシディオでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_3 写真を見ておくんなはれ。ダークブルーかダークグリーンのトーンで、描かれます真夜中の寝室でおます。

写真に写っておます彼女が、幽霊なのか、悪魔なのか、変なもんに好かれてしまわはりまして、その見えないもんが夜な夜な寝室で寝てはる彼女に、夜バイかけはりまんねん。

同棲してはる彼が、ほなら、監視ビデオを設定して、そいつの正体を突き止めたろやないかと、張り切らはります。

しかしでおます。これがそない簡単にはいかんのでありました。

また、「エクソシスト」(1973年製作)のメリン神父みたいな、博士が出てきやはるんですが、わしゃー、幽霊専門でんねん、悪魔はあきまへんねん、と彼女の相談をはねつけはります。

ほなら、悪魔専門の人を呼ぼうとしやはるのですが、彼が猛反対し、俺にまかしとけーなのですが、それが裏目に出よるのでおました。

予算の関係上やろか、サントラはいっさい掛かりまへん。ああ、それやのに、寝室の固定カットのリフレインが、チビチビお客はんの恐怖をあおり、さらに、近接撮影、斜めカット、ローアングルやらを続けて退屈させず、最後にドカーンとやられる、恐るべきホラー映画でおます。気ぃつけなはれや。

製作費が何と135万円ポッキリやて。ホンマかいな。スティーヴン・スピルバーグはんがコレを鑑賞しはって、「完璧やん」とうならはったとか。

さいぜんも言いましたが、サントラ代は始末してはるし、ベランダに出る以外は、室内撮影をずっと通してはります。役者も主演の2人以外は、約2人くらい。撮影期間も7日間。現場はオーラン・ペリ監督の自宅でおます。始末・始末・始末でおます。

それやのに、この仕上がりでおまして、あきれ返りますわ。僕としては、みんな森の中で蒸発しはった「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年)的な見ごたえでおました。

別の面でいきよりますと、低予算でこれだけのものができるという意味におきまして、映画監督志望の人たちに、夢と希望とド根性を、植えつけてくれよる映画やと思いよりました。勉強になりまっせー。

Ⓒ 2009 Oren Peli d.b.a Solana Films.

2010年1月15日 (金)

映画「交渉人 THE MOVIE 高度10,000mの頭脳戦」

あの米倉涼子おネーさまが、ゴクアク人・反町隆史はんらと

トンデモネー対決やらかします

http://www.koshonin-movie.com

2月11日(木曜日で建国記念の日でおます)から、東映さんの配給によりまして、全国各地どこでもいっせいのロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

12ワンクール(12回連続がメイン)TVシリーズからの映画化版でおます。いわゆる、タイトルのあとに劇場版やら「ザ・ムービー」やらが付きよりますタイプの映画やでー。

このタイプのトレンドは最近の日本では、恋愛・青春・コメディタイプと、刑事もの・サスペンス・ミステリーの大たい2パターンに分かれておます。

前者は「のだめカンタービレ」やら「ROOKIES」やら「花より男子」やら「海猿」やらでおまして、後者は、「踊る大捜査線」くらいからブレイクしよりました路線で、「相棒」なんかもそうでおます。

コレは後者のジャンルでありますが、「踊る大捜査線 THE MOVIE」(1998年製作)よりずっと前からありました、「あぶない刑事(デカ)」(1987年第1弾)シリーズのノリもある、刑事ものでおます。しかも、女刑事もの。

米倉涼子おネーさまです。下の写真を見てみなはれ。何やら「羊たちの沈黙」(1991年)のジョディ・フォスターはんを思い出させるような、銃撃カットだす。

しかも、今回は、初の悪役となります反町隆史が、指揮を執りよりますハイジャック犯人グループに、乗客兼刑事として、時にスチュワーデスやらにコスプレしつつ、ゆっくり過激な対決を挑んでいかはります。ジョディはんの「フライトプラン」(2005年製作)のガンバリようにもシンクロしよります。

また、ハリソン・フォードの「エアフォース・ワン」(1997年)、シガニー・ウィーバーの「エイリアン2」(1986年)、カレン・ブラックの「エアポート'75」(1974年)なんかっぽいアクションやら、人生キビシーな試練な展開が幾度もやってまいります。

クライマックスなんか、ホンマに大丈夫なんかいなと、ハラハラドッキリもんですが、こんな重要な任務、傷ついた米倉ネーさん以外でも、スッチーやらほかにもできるんとちゃあうん、とか、犯人がどないして機内に拳銃を何丁も持ち込めたんかはナゾでおます。

そんなボケとツッコミのツッコミは多少はございますが、テレビ・シリーズよりはバージョン・アップしとります。それは間違いおまへん。

で、ついでにゆうときますと、本作のメイン・トリックというかネタは、石持浅海のミステリー小説「月の扉」(2003年出版)で既に披露されております。

ハイジャックしての政府への要求は身代金ではなく、ある人の釈放。ほんで、釈放がかなったあとは、どないやねん、など、かなり似ております。

でも、本作は、それをメインにはしておらはりません。あくまで、米倉おネーさまのトンデモ魅力であります。演技的に素晴らしいとかいうよりも、ストーリー展開に合わせて、とにかく必死に対応しやはるネーさんの姿に、ドキッとするのでありました。シリーズ化もされよるかもしれまへんよってに、お楽しみに。

ところで、城田優クンと米倉ウサギ・レイコ刑事のエピソードは、テレビ版と同じくナゾめいたままやん。このあたりのホンマのホンマを、最後の最後までひっぱらはったら、このエピソードがシリーズの目玉になるやも分かりまへん。

Ⓒ 2010 「交渉人 THE MOVIE」製作委員会

2010年1月14日 (木)

映画「ドキュメンタリー 頭脳警察」

音楽ドキュメンタリーに一大革命やでー

音楽ドキュ最長不倒の長尺か! の5時間14分やー

http://www.brain-police-movie.com

1月16日(土)から、第1部から3部の3作に分かれた本作の、それぞれが入れ替え制によりまして、第七藝術劇場(http://www.nanagei.com)にてロードショーのあと、全国順グリにて公開しよります。配給会社はトランスフォーマーだす。

文=映画分析評論家・宮城正樹だす。

Photo Photo_2 Ⓒ2009 Transformer,Inc.

音楽ドキュメンタリーと言えば、残念ながら、昨年、逝去してしまわはった忌野清志郎主演の「不確かなメロディー」(2000年製作)や、大ブレイク中の「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」(2009年)やらがござります。

そんな中で、音楽ドキュメンタリー史上、最長となるに違いない作品が出てきよりました。

第1部から3部に分かれておますが、音楽魂がサクレツしよりますライヴ・シーンと、関係者へのインタビューやらレコーディング・シーンを織り交ぜて、母娘・母子のキズナやら、バンドを通して通じ合う連帯やら友情を、描かはりました。

「頭脳警察」というバンドでおます。団塊の世代やら全共闘世代の方々、つまるところ、60歳以上の方々には、胸キュンになってしまうしかないバンドでおます。

1969年に結成し、1972年に、1967年に発生しよりました「3億円事件」の容疑者のモンタージュ写真をジャケットにしたアルバムを発表しはって、すぐに発売禁止となってしもたバンドでおます。若い人には、なんじゃー、そらー、でおます。

でも、この方々は、日本語だけによるロックを目指してはったのですが、1970年にデビューし、「風をあつめて」なんかがCMや映画に使われてはりますバンド「はっぴいえんど」が、日本語ロックのオピニオンとして、Jポップ界では先んじられる形になってしもたんやけど、ベクトルは同じ方向を向いとったわけでおます。

また、昨年のNHK紅白に突然出はった矢沢永吉はん、その放送中に中居クンにでも「永ちゃん」の呼びかけが欲しかったんやけどなー、気ィ使いスギー。永ちゃんは永ちゃんやねん。ユーミンを松任谷さんと呼ぶくらい、違和感ありまくりでおます。

その永ちゃんがいてはったキャロルっちゅうバンドとも、シンクロする頭脳警察でおます。

バンドのリーダー兼ボーカル兼ギターはPANTAはんで、ドラム&パーカッションがTOSHI(X-JAPANのToshiとは違いよります)でおまして、この2人の熱い友情が、談話や熱きライヴ・シーンの数々を通して、ビビッドにこちらに伝わってまいります。音楽を通して、描かれる点もまた、感動的でおます。

僕の先輩によりまするに、全共闘世代のアイドルだったらしい、連合赤軍の重信房子はんの、娘さん・重信メイさんと頭脳警察のコラボレートやレコーディング現場の様子には、重信はんを知らない世代の僕にも、何やら熱いもんが伝わってまいりました。暖色のセピア照明をメインにした撮影シーンもまた、温かさを増す仕掛けになっとります。

頭脳警察の当時のホームは新宿やったようやけど、21世紀の現代を映す本編の、1部では大阪・心斎橋クアトロ、2部と3部では京都大学西部講堂、3部のイントロでは京都・祗園の円山公園野外音楽堂やら、関西でのライブ映像がテンコ盛りなんで、ビックラこきました。

1部の1発ドリのレコーディング・シーンのクライマックスを始め、感動的なライブ・シーンが次々にやってまいります。それも、16ビート、8ビートに加え、リズム隊がしっかりした重厚なサウンドやら、ミディアム・スロー、スロー・ナンバーまで、フツーのラブ・ソングとは違う、メッセージ性あるナンバーの数々に酔いしれるのでおます。

現代の有名なミュージシャン、Gacktやラルク・アン・シエルのHYDEを出演させた「MOON CHILD」(2003年)やら、妻夫木聡主演の「感染列島」(2009年)やらで、日本の大手の映画会社作品を監督して、監督業としては1つのピークを迎えた瀬々敬久(ぜぜたかひさ)はんの作品でおます。

ホントのホンマに撮りたかったんは、こういう作品やったのでしょう。そういうことが感じられる作品でおました。

2010年1月13日 (水)

映画「BANDAGE バンデイジ」

http://bandage-movie.jp/

KAT-TUNの赤西仁の演技を解析いたします。

大ヒットJポップの方程式が詰まっとります。

1月16日(土)から、東宝配給により、全国いっせいのロードショーやー。

文=映画・音楽分析評論家・宮城正樹

Photo sunraincloudsnow

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映画は1990年代初期から半ばまでの音楽業界のお話でおます。

1980年代後半には、バンド・ブームがありました。「平成イカスバンド天国」通称「イカテン」というバンド・コンテストもあり、本作はその一つらしいコンテストを、4週続けて1位になったんやけど、コンテストは5週目で終わってしもたというバンド「LANDS」(ランズ)のお話です。

個人的な話ですけど、僕は1990年代前半に、某音楽業界誌の編集長をやり、いろんなバンドたちのインタビュー始め、音楽のことを分析したりしておりましてん。おヒマなら、プロロフィール欄、クリックして見てチョー。

1990年代の初期は、音楽ギョーカイ的には、地味のJ・おじさんのJ・実力のJ「3J」やら、「ニューアコースティック」なるものがもてはやされておって、バンドは、どちらかと言えばしいたげられておったわけでおます。

1980年代末のバンド・ブームの反動でおますかな。

でも、1992年にアルバム・デビューを果たした、Mr.Chirdren(通称ミスチル)あたりから、流れが少しずつ変わってきよったのです。本作の監督、小林武史がプロデュースしておりました。

本作は、その小林監督が、映画監督の目線ではなく、音楽プロデューサー的な視点から撮り上げたギョーカイものです。

例えば、それはどういうことかと申しますと、バンドがどう結成されてどういう人間的な絆を経て、業界デビューをしたという話やなく、最初から業界入りしていて、さあ、そのバンドをどうやって売り出していくのかいな、というお話なのであります。

つまり、ここには「NANA」(2005年製作・公開)のように、無名時代の話や逸話は出てきよりません。デビューを果たしたバンドが、どうしていくんか。つまり、売れるバンドはどうやって作られよるんかに、重点が置かれております。

そんな中で、人間ドラマ的なところが展開しますのが、赤西仁と北乃きいが展開しますラブ・ストーリーでおます。

赤西仁は、僕がよくインタビューしていて、よく見かけたタイプのミュージシャン役に扮しております。「セックスはロック」なんて言ったり、「59分59秒にどこそこで会おう」なんて言う、いかにもギョーカイ人らしいセリフを喋らはります。

ほかにも、マネージャー役でいろいろうるさい伊藤歩とか、キーボード・アレンジャーのこだわり女で、いつもカッカしてる柴本幸とか、「孤独のイロは何色?」なんて言うギタリスト高良健吾など、ギョーカイ人が次々に登場いたします。

でも、やっぱり、主役は、何といっても、赤西クンです。

スロー・モーションでのラストのクローズアップは印象的ですし、北乃きいチャンとのキス・シーンがある2分、3分の長回しの撮影でも、どうでもいいぶっきら棒演技なのに、どこか冷静でおます。時おりふと、小栗旬のようにも見えます。

彼女から「薄っぺらい」と言われても、少し動揺しますものの、そんなことはどうでもいいような振りをして演技を続け、歌を歌い続けはります。

立派というか、どう言うたらええんか、よう分かりまへんけど、かつて僕が見た、同じジャニーズの近藤真彦主演映画で、そのマッチが披露した演技のようにも見えました。

GLAY、ミスチル、スピッツ、T-BOLAN、イエモン、ZARDなど、当時流行いたしましたJ-ロックなソレっぽい曲は、カッコよく流れてきますし、歌われよります。でも、僕が最も感動したのは、最後に流れた曲でおました。

小林武史監督によるこの曲「BANDAGE」は、ステキなビートロックやけど、小林監督がかつて提供して大ヒットした、小泉今日子キョンキョン歌う「あなたに会えてよかった」みたいな感じやったので、ビックラこいて、ついハマリました。歌うは赤西クンだす。映画公開よりずっと前にヒットしましたが、映画公開と共に、さらにセールスを伸ばすやろか、どないやろか。

いわゆる、何ちゅうの、ヒット作曲術の2大方程式なるもんがござりましてな、この小林はんは、小室哲哉らと共に、「ラ」「シ」抜きで作曲する「ペンタトニック」術を使ってはりまして、それが今回の曲にも出ておるというわけでおます。

ほかに、劇中で赤西クンが歌うスカビート入りの「元気」、8ビートロックの「勇気」も、何やしらん、オモロイ曲に仕上がっとりますんで、聞いて見て、楽しんでおくんなはれ。

ジェニファー・ロペス主演音楽映画「エル・カンタンテ」

ジェニロペはんのプライバシーがマルハダカやん!

ホンマかいな、そう快な「エル・カンタンテ」

http://www.artport.co.jp/movie/elcantante

1月16日(土)から、シネ・ヌーヴォ(http://cinenouveau.com/)でロードショーのあと、全国へ順番に回る予定でおます。映画の配給会社はアートポートだす。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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歌手でも全米ビルボード・チャートでナンバーワンになり、主演映画作品でも全米興行収入ナンバーワンにならはったことがおます、ジェニロペことジェニファー・ロペスはんですけど、みなはん、彼女のだんなハンが誰か、知ってはりまっか。

サルサを始めとしたラテン音楽の歌手をやってはる、マーク・アンソニーはんでおます。一体誰やねん、そいつは、なんて思わはるかもしれませんけど、全米では、大ブレイクしてはる方でおます。セレブだす。

そんなセレブ夫妻が、実在のサルサ・シンガー、エクトル・ラボー夫妻を演じはりました。まさに、2人の実生活そのものズバリでおます。

ただ、エクトル・ラボー夫妻は既にこの世になく、2人の出会いから栄光の日々を経て、息子の死と失意、転落、夫がエイズで逝去するまでがドラマティックに描かれております。

2002年の現代をモノクロにして、夫に先立たれたジェニロペはんが記者に話す感じで、カラーで描かれる過去をプレイバックしやはります。現在と過去をカットバックさせる手法ちゅうのは、それほど目新しくはありまへんが、現代が白黒で過去が天然色というのは、「ジョニーは戦場へ行った」(1971年製作)やチャン・ツィイーちゃんの出世作となりました「初恋のきた道」(2000年)なんかで使われた程度で、こんな実話の音楽映画&夫婦映画で、そんなんが出てきよるとは、ハッとしよりました。

しかも、その対比描写がキョーレツでおます。モノクロの暗いトーンから、いきなり、1985年のきらびやかなNYの夜へ「いらっしゃい」でおます。濃いセピアの照明を始め、タクシーの中へ射し込むブルー、グリーン、パープルなんかの多彩なネオンが、まぶしいまぶしい。それに、コンサート会場の多彩な照明。かと思たら、1963年のプエルトリコ・シーンでは、まばゆい陽光が地上に射しとって、天然光による撮影シーンも熱気があるで。

サントラも、サルサだけかいなと思たら、大間違いでっせ。ファンキー・サウンドを流しての近接撮影シーン、脱色してのベッド・シーンでチェロ、また、シーンに合わせてピアノやトランペットも鳴りよる。けど、やっぱ、1978年に大ヒットした哀愁のサルサ・ナンバー「エル・カンタンテ」の熱唱シーンは見どころや。

セレブにありがちな転落の図式のパターン化は、ちょっと気になったけど、まあ、実話ですからな。勝手に変えるわけにはいかんので、“これでいいのだー、ボンボンバカボンバカボンボン”(赤塚不二夫のコミック「天才バカボン」の歌より)でありま。

Ⓒ2006 R-Caro Productions, LLC. All Rights Reserved.

2010年1月12日 (火)

映画「マラドーナ」

神の力を持ってはるらしいサッカー界の巨人の実話やでー

ドキュメンタリー「マラドーナ」はんって、“あら~どんな”お人やろか?

http://www.maradonafilm.com

1月16日(土)から、シネ・ヌーヴォ(http://www.cinenouveau.com/)でロードショーかましたあと、全国各地の映画館へフィルム回りよるハズでおます。配給は、日販さんとコミュニティシネマセンターさんどす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2 Photo_5 Photo_6 ディエゴ・アルマンド・マラドーナはんって、みなさん、知ってはりまっか。

1986年のサッカーのワールドカップで「世紀のゴール」を決めはって、イギリスを倒して優勝しはったアルゼンチンのサッカー選手でおます。

1997年に引退しやはりましたけど、2000年にFIFA選定で20世紀最優秀選手に選出されはりました。サッカー選手の世紀のMVPっちゅうワケでおます。

そんなエライ方に興味を持ちはりました、映画監督のエミール・クストリッツァはんが、そんなマラドーナを描く映画を撮らはりました。

カンヌ国際映画祭で金メダルを2回ももらわはって、審査委員長もやらはった、こちらもエライはんです。

実在しはったアスリートを描く映画は、これまでぎょうさん作られてまいりました。でも、コレはオリンピックを記録する映画みたいに、ドキュメンタリーでおます。

むしろドラマよりはドキュメントの方が、実際にその人物像に迫れるワケでおます。

ただしでんな、台本やら演出やらのテマひまはかかりませんけど、描くその人物の都合っちゅうもんがございまして、インタビューするにしてもビョーキで入院中の時はできしまへんし、ケッコー時間がかかりよるんですわ、コレが。

でもって、いろいろあったけど、何とか仕上がりよりました。

パンク・ロックを流す「世紀のゴール」のシーン、カリカチュアされたCG入りシーンや、マラドーナ教なる教会で展開する変てこな話を、随時挿入しつつ、監督自身のマラドーナへのインタビューを含め、マラドーナの人間像に迫らはります。

監督自身の過去の名作と、マラドーナの過去や現在を絡めて紹介するところもええのですけど、僕が一番気に入ったのは、マラドーナのハチャメチャな人生を、大マジに分析しやはる監督の、ナレーションのセリフの数々でおました。

マラドーナが、セルジオ・レオーネ監督(「荒野の用心棒」1964年製作など)やサム・ペキンパー監督作品(「ワイルドバンチ」1969年など)の主人公に似合うやなんて、セリフなんか、メッチャええですわ。共に、男臭いアクション映画の監督でおます。

僕も勝手に分析しときますと、監督が審査員やったカンヌ国際映画祭で、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「華氏911」(2004年)が、金メダルに当たるパルム・ドールをもらわはりました。おそらく、それに刺激を受けたんやないかいなと、思います。

とにかく、監督のドキュメンタリーへの熱意が伝わってきよる、映画でおました。ハイな!

Ⓒ2008-PENTAGRAMA FILMS-TELECINCO CINEMA-WILD BUNCH-FIDELITE FILMS.

映画「人間失格」

http://www.ns-movie.jp

ジャニーズ生田斗真とV6の森田剛の凄まじき競演。ホンマですか?

ホンマであります。「人間失格」でござんす。

2010年2月20日(土)から、角川映画配給により、梅田ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸ほか、関西エリアだけやなく、沖縄から東京、北海道まで、全国どこの映画館やらも、いっせいのロードショー、やらかしますねん。ドット、いきまひょかー、ですわ。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2 Ⓒ2010「人間失格」製作委員会

やられましたわー。ヨッパライ人間ドラマで、自暴自棄(ジボージキ)のヤケクソ人間ですわ。でもって、若いのんからおばはんまで、こっちからナンもしてへんのに、女の方から勝手にモーションかけられてしもて、それが不幸でんねん、なんて言いよりましてな。よう考えてみたら、こいつ、何やしらん、どないしょーもないヤツでおます。

そんな好感度ちょい、ダダ下がりの主人公に、トムヤンクンならぬ、生田斗真ヤンが、扮しました。冒険です。冒険ですが、挑戦です。でも、ホンマ、ダイジョウブかいな。玉木宏みたいなええ感じでおますのに、これはちょっとした試練でおます。人生には試練は、ツキモノでおます。

ヤラレましたわー、ホンマです。僕はここ1年ほどは、ウソついておりません。生田クンはようガンバらはりました。拍手です、拍手。

この原作的における演技については「新・人間失格」(1978年製作・公開)とかの映画があり、また、河村隆一が、本作の原作者の太宰治本人に扮して演じましたが、生田クンほど、フツー人のようでありつつ、エキセントリックなところも出すことなく、ある意味、自然体で、酔っ払い、けだるげで、もう人生なんかどうでもええねん、な感じを演じ抜いた方は、そうそうおらはりません。

マジに結婚してまう、売店の石原さとみちゃんや、ベテラン室井滋とのキス・シーン始め、母くらい年の違う超ベテラン女優の三田佳子との、ベッド・インならぬフトン・インやら。また、荒戸源次郎監督ファミリーとも言える寺島しのぶとの、湘南の海への入水自殺シークエンス、渋いバーのママ役・大楠道代との絡みも見逃せませんで。

2009年には太宰治作品がいくつか披露されておりますが、太宰治生誕100年目からそれてしもたとは申せ、2010年の生誕101年目に、マイナス・イメージが強かった太宰治的主人公感を、一般大衆的に、より好感度を増す形で示してくれたのです。

また、助演男優やらにも目が離せまへん。

「遊びは命がけ」と宣言して、生田クンと一緒になって飲みまくる伊勢谷友介。「飲む、打つ、買う」は男の遊びの本道やらになっとりますが、伊勢谷は「飲む」がイコール「遊び」でおます。昭和映画でも、太平洋戦争前の昭和初期をとらえた昭和映画なんやけれど、今で言うキャバクラのカフェや、バーでアブサンやらを飲みまくるこの方の姿には、一種の鬼気迫るっちゅうか、オトロシサを感じよりました。

そして、小説家・太宰治と同じく、世の中どうでもええねんな無頼派の詩人・中原中也とのエピソードだす。「汚れちまった悲しみに」などと書き、太宰と優るとも劣らないシンパシーとオーラがあった方です。「前途有望」ならぬ「前途茫洋(ぼうよう)」。「前途有望」の正反対の意味です。

生田と、中原扮する森田剛のエピソードは鮮烈だす。CGによる火のしずくがいくつも落ちるシーンや、白と赤の花びらが次々に舞い落ちる中での2人のツーショットなんか、目に焼き付きよりました。森田クンは久々に見ましたが、好演でおます。

主人公がヨッパラッてツブれて、眠り込んで夢を見てはるお話が映されるだけに、時おり、感情移入し過ぎて見てしまうと、眠くなってくるところもございます。しかし、それは、あくまでも、監督の計算なのです。こういうタイプの主人公へ、感情移入させるための計算とは、ビミョーであります。なかなかできない芸当なんやないかいなと、僕個人は思とります。

2010年1月11日 (月)

ネイチャー・ドキュメンタリー「オーシャンズ」

海には宮崎駿アニメに出てきます

ユニーク・キャラがいっぱいおったとさ

http://oceans.gaga.ne.jp/

1月22日(土)から、TOHOシネマズ梅田ほか、関東から関西、北海道から九州まで、全国いっせい、海を感じようやんか、ロードショーでおます。配給会社はギャガ株式会社でおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo_6 温暖化現象やらエコやら、いろいろ問題になっとります環境問題ではあるんやけど、このドキュメンタリーは、海に焦点をばしぼらはって描かはりました。

海を描いたネイチャー・ドキュメンタリー映画としては、フランスの海洋学者にして冒険家のジャック・イヴ・クストーはんが撮らはった「沈黙の世界」(1956年製作)がおます。

この作品は、当時のカンヌ国際映画祭で金メダルに輝いた傑作でおます。レンタルDVD化もされとりますんで、みなさん、ぜひ、見てみなはれ。

海と海に生きとる生物を描くとなりますれば、どないしても、この作品と比べてみとうなるボクちんでござります。

ちなみに、金は映画ドキュメンタリー史上最高となる、70億円が使われよりました。まあ、それだけに、迫真の映像が次々にやってきよります。

共同監督となりますジャック・ペランはんは、昆虫界を描いた「ミクロコスモス」(1996年)製作や、鳥社会をビビッドに撮らはりました「WATARIDORI」(2001年)共同監督なんやらで、自然界、特に生きものたちに、えらい熱い視線を送ってはるんだす。

でもって、今度は海ですわ。果たして「沈黙の世界」の仕上がりを超えることができよったんか。これが、最大のマイ・テーマでおます。

弁士となりますナレーション(ニッポン語吹替えバージョンでは、宮沢りえちゃんが声を出さはります)に乗りよりまして、また、ハープ・バイオリン・オーケストラなんかのウットリな音楽にも乗りよりまして、今まで見たことないような、オモシロ海洋の生物キャラクターたちが、サイレント映画を演じはります。

波がスクリーンの下から上へと流れ、お客さん側へも打ち寄せてきよる冒頭から胸騒ぎがしよります。

宮崎駿アニメに出てきよるような、けったいなキャラクターのオンパレードだす。アニメーターやVFX製作者なんかを目指してはる方には、大変、勉強になるんやないかいなとも思われます。

ゴジラのようなウミガメ君、NASAのロケットの打ち上げにビビる生き物、うようよ行進しやはってキモイ、海底のグロテスクなカニたち。動くオブジェみたいな生物の数々。たまりまへん。

色彩的にも、モスグリーンの深海、空を映しての白波ショットに、時おり海上がラムネ色になったりしよります。

また、21世紀的にCG使うシーンも入っとりま。津波パニックに男女混成合唱を乗せて、海中から空へ、雲も越えて人工衛星まで上がっていくシーンやら、地球そのもんをCGにして海中へ降りていったりやら。

さて、それで、総合評価はどないやねん、なのですが、間違いなく21世紀の「沈黙の世界」にはなっているのやけれど…ですわ。

でも、家族みんな、特にコドモさんらを連れて見にいかはったら、メッチャ楽しいハズですわ。理屈っぽいナレーションもそんなにありまへんし、宮沢りえちゃんバージョンは見とりまへんが、きっと優しい声で癒やされるハズでおます。

Ⓒ 2009 Galatee Films-Pathe-France 2 Cinema-France 3 Cinema-Notro Films-JMH-TSR

2010年1月10日 (日)

映画「秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 http://鷹の爪.jp は永遠に~」

TVアニメ・シリーズ以上に盛り上がる「鷹のツメ団」映画版、有終の美を飾りまんねん

http://鷹の爪.jp

1月16日(土)から、DLE配給によりまして、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんばほか、全国各地のTOHOシネマズ系シネコンにて、いっさいがっさいロードショーでおます。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Photo 世界征服を狙ってるねんけど、ホンマにマジメに狙っとんかいな、コイツラーな、みたいな感じの、悪の団体はん御一行でおます。

マジメに地球侵略しよらへん「ケロロ軍曹」の地球版みたいなもんだす。

まあ、写真を見ておくんなはれ。

左より、死んだり生き返ったりするフィリップはん、チームの総統、コドモ店長くらいの発想しかでけへん「吉田君」、本編でいてはるだけで、何もしないしシャベれへん菩薩峠(ボサツトウゲ)少年。ボサツやから、「もうおまえは、とっくの昔に死んでいる」のかもしれまへんな。

クマのプーサンみたいな、レオナルド博士なんちゅうのもいてはるのやけど、コイツは顔に似合わず天才博士でおまして、アメリカのでっかい研究所に拉致されてしまいよりまんねん。これが本編の始まりでおます。

あと、島根県が何者かに日本列島から切り離されて、盗まれてしまうやなんて、そんなアホな。そう、どアホウ映画でおます。おバカ・アニメというより、どアホウ・アニメゆう言い方が似おとります。

しかし、まあ、今の3D、CG、VFXの技術革新進化型の時代に、ヨコ移動や、唇や体の一部が動くといった動きしかないアニメやなんて、信じられへんでしょ。

コレは、1960年代から1970年代のTVアニメの感覚を、温故知新しとるわけでおます。温故知新、つまり、古いものをヒントに新しいものを作っとるというワケですな。

年金特別便、発泡酒、アニメの殿堂、サブ・プライム・ショック、ミクシィ、雇用不安、オバマを文字ったオババ大統領など、現代用語の基礎知識がセリフにいっぱい出てきよります。まあ、お遊びでんな。

お遊びは本編のいたるところで展開しよります。ちょっとやり過ぎとちゃうん、なとこもござります。「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですが、臨界点を過ぎると、時々、快感に変わる場合もおます。コレはソレでおます。

「遊びゴコロが走り出している」のストレートなセリフのほか、シーンにダ円囲みで解説シーンなんかも入り、眠っていた観客に対し、そこまでのあらすじを解説したりしやはります。

最後に、マライア・キャリーやサラ・ブライトマン級のボーカルで、バラード「夢破れて」が流れよりますが、スーザン・ボイルはんです。この感動の歌はこのアニメとミスマッチな感じでおますが、そういうとこもビミョーに面白いのでおました。

ところで、「シンデレラ」をパロッた、ショート・アニメ「コフンデレラ」が、本作の前座で流れよります。こちらも懐かしい感じのアニメに、こんがり仕上がっておりますんで、楽しいでおます。

Ⓒ「秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3」製作委員会

2010年1月 9日 (土)

ブルース・ウィリス主演映画「サロゲート」

「マトリックス」みたいな仮想世界がスパークするハリウッド映画、イコールそいつの名は「サロゲート」やでー

http://www.SURROGATE.JP

1月22日(金)より、TOHOシネマズ梅田ほか、東京から北海道、名古屋やら九州、沖縄まで日本列島全国いっせい、ショーゲキのロードショーやらかします。配給会社はちょっと長いで~、ええか~、よう聞いとってや~。ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン、でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_2ブルース・ウィリスはんが刑事役で主演しやはりました。「ダイ・ハード」シリーズ(1988年・1990年・1995年・2008年製作)のジョン・マックレーン刑事はんが帰ってまいりました。やなんて、いや、すんません、ちょっと変わらはりました。

どない変わってもうたんや、でおますけどな、

いや、そのう、何と申せばよろしいのでありましょうか、つまり、未来社会の刑事はん役でおまして、女刑事はんとコンビを組んで、事件解決のために、そこらを飛び回らはります。

「ダイ・ハード4」では、ヘリを撃ち落とさはりましたけど、ココでは逆に撃ち落とされる側に回らはります。それでも、死なはりまへんので、マックレーン刑事時代と変わらず、タフはタフでおます。

ほな、ええやんかでおますが、そうではござらんのでありました。

その未来社会では、自分ソックリの分身ロボットっちゅう「サロゲート」ゆうもんが、開発されとりまして、おとなしくしとったらええもんを、そいつがでんな、時々暴れだしたり、問題起こしたりしよるんです。

そんなサロゲートが関わっとる事件でおましてな、ほんでもって、ブルース・ウィリスはんも、そのサロゲートを持ってはるんですわ。そやから、話の展開によっては、どれがニセモンやらホンモノやら、分からんようになってきよったりするワケでおます。

そやから、ウィリスはんも本編内で「気が狂いそうになる」やなんて嘆かはるんです。

仮想世界系の物語としては、モチ「マトリックス」(1999年)という大ヒットした作品がおます。コレはその傑作に、SF作家のフィリップ・K・ディック原作映画のノリをまぶしたような感じに仕上がっとるんだす。

例えば、ハリソン君主演の「ブレードランナー」(1982年)であり、シュワちゃん主演の「トータル・リコール」(1990年)であり、トム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」(2002年)やらでありま。

ブルース・ウィリスはん的には、SF映画には結構出ております。「フィフス・エレメント」(1997年)やら、タイムトラベラーになった「12モンキーズ」(1995年)やら。

でも、本作の演技ぶりは、それらの作品での演技とは、少しちごとります。より、謎めいたカンヂが出てきてると申しますか。その点においては、「シックス・センス」(1999年)の演技に近いもんがあるかもしれまへん。

決して、ブルース・ウィリス・ファンの期待は裏切りまへんので、ヨロシクだす。

Ⓒ2009 Touchstone Pictures All Rights Reserved.

映画「今度は愛妻家」

トヨエツはんと薬師丸ひろ子はんが

ナゾめいた夫婦を演じ抜かはりました

ビックリします展開やー

http://www.kondoha-aisaika.com

2010年1月16日(土)から、東映配給によりまして、梅田ブルク7ほか全国ロードショーいたします。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo Photo_2 Photo_3Ⓒ2010「今度は愛妻家」製作委員会

2002年に東京・俳優座劇場と大阪・近鉄小劇場で上演されました、小演劇が原作でおます。

演劇原作の映画となりますれば、古くはシェークスピアから、最近では長澤まさみ主演の「「曲がれ!スプーン」まで、よりどりみどりでおます。

もとより、小演劇ですから、どうあっても、室内劇がメインとなります。室内での会話のやり取りによって、みなさんを笑かしたり、泣かしたりしてくれはります。

しかし、これにはタマゲました。ポイントは、あくまでオシドリ夫婦と言えなくもない夫婦ドラマでおます。夫婦ドラマ映画はこれまでに、いっぱい、ぎょうさん、出てきよりました。それでも、しかし、でも、BUT、けれども、だが、だけど、けれど、ですわ。これは今までの普通の夫婦映画とは違うんですわ。取り扱いにご注意! だす。

そこで、一体どこがどう違うのか、ですが、うーん、難しいですな。こういうものを、文章にて紹介する時の、難しさとでも申しましょうか。あんまり、ディープには言えへんもどかしさとでも申しましょうか。どないしたらええねん、な悩み深さと申しましょうか。青春とは、ああ、悩み深きものとでも申しましょうか。まあ、今は「青春」は、ほとんど関係おまへんが。

取りあえずは、悩みの解消になるやらどうやらは、分かりませんが、上に載っとります、3枚の写真をご覧くだされ。

全部野外のカットやけど、一番上は自宅の庭、真ん中と下は、トヨエツこと豊川悦司と、薬師丸ひろ子が扮する夫妻が、沖縄旅行に行った時の思い出の写真でおます。この旅行が、この映画の重要なキーになっとりますが、まあ、そのあたりも深くは突っ込めまへん。

「今度は愛妻家」やなんて、「今までは一体、どないやったんや」なシーンが、いろいろ出てきよります。タイトルからして大きな伏線と言うなら、言えんこともないです。イミシンなことを言い続けてしもて、申し訳ありません。

この映画の宣伝を担当してはる方々は、「決して映画の結末や過程などを、バラさないでください」などとは、一言もおっしゃってはおりません。そやけど、円満夫婦の話なのに、この奥歯にものがはさまったみたいな気分はナンなんだ、ですわ。何やら妙に、気ィつこてしまうんどすえー。

「セカチュウ」こと「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作・公開)の、行定勲監督の新作でおますが、この映画公開のあとも、2月に「パレード」が控えております。この傑作「パレード」も近日中に紹介いたします。

「別に」が1人歩きしてしもた、沢尻えりかを主演にして描いたアイドル映画「クローズド・ノート」(2008年)も、行定監督作品です。その時に意識していたと、僕が勝手に思とります、80年代角川映画の主役にして代名詞、薬師丸ひろ子を本作で使わはりました。これもまた、本作の何やら面白い点やないかと思います。

2010年1月 8日 (金)

映画「ゴールデンスランバー」

「ゴールデンスランバー」http://www.golden-slumber.jp

堺雅人はん、竹内結子はんと必死のパッチでおます

1月30日(土)から、東宝配給により、全国一斉ロードショー。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo_4 Photo_5(C)2010「ゴールデンスランバー」製作委員会

伊坂幸太郎のミステリー小説を、みなさん、1作でも読まれた読書体験なんてありまっか。彼の持ち味はワケが分かれへん、分かれへんけど、最後には何や知らん、きれいに着地しとるやんか! な、面白さやねん。そないな面白さが、今作の原作映画でも、とんでもないくらい弾けてるやんか、なのです。ケネディ大統領暗殺事件で「JFK」(1991年製作)始め、幾多の傑作が生まれたんやけど、どうもその事件の日本版を、作ってみようかと思ったんやないやろか。

現役総理大臣が、ラジコン爆弾で暗殺されるやなんて。でもって、借金にまみれてそのチャラを願って、大学生の時の吉岡秀隆扮する友達が、堺雅人扮する主人公を、ニセ犯人に仕立て上げるやなんて。しかも、警察連中の動きにはさっぱりリアリティーがなく、ひたすら、「逃亡者」のごとく主人公が逃げるやなんて。加えて、逃げながら真犯人を究明しようなんて、そんなこともなく。

てなわけで、なんて、なんて、そんなバカな、そんなアホな、なんて展開が次々にやってきよるわけであります。ともすると、時おり、こら、付いていかれへんでー、なギブアップ状態になりそうになるんやけど、それでも話は続き、アレヨアレヨという間に、おっとこれは凄いんとちゃあうん? な伊坂ワールドに巻き込まれている自分に気付くのであります。伊坂のリアリティーにシバられない小説作りは、リアリティーを最重要視する「ホワイトアウト」やらの真保裕一の、ちょうど正反対の位置にいると言えるでしょう。

「アヒルと鴨のコインロッカー」のボブ・ディランに続き、ここでは曲名をタイトルにまで持ってきて、ビートルズへのオマージュも入れちゃってます。たぶん、彼は、「JFK」なんかよりは、このビートルズの名曲から、この荒唐無稽な物語を紡いでいったのでしょう。そして、そのとんでもない世界で生きる人たちも、その不可思議ワールドに応えるべく、必死のパッチの演技ぶりをふりしぼるのでありました。

何といっても、悲劇的な巻き込まれ型ヒーロー役が、いかにも似合っていそうな堺雅人クンです。ヒッチコックという、往年のサスペンス映画の巨匠監督が描いた「間違えられた男」(1956年製作)とか「北北西に進路を取れ」(1959年製作)とかを、つい思わせますが、この堺クンは逃げて、逃げて、逃げまくるのであります。まあ、元恋人役の竹内結子始め、柄本明扮する病人や、かつて主人公に助けられたことがある、貫地谷しほり扮するアイドルなんかに、助けられるのですが、その助け方も、え~そんなバカな~、な方法なのであります。僕は思わず舌を巻きましたし、噛みましたでー。「よくできました」より、ヤッパ「たいへんよくできました」でしょ。これは映画の一つのオチにもなっているので、ご注意ください。

さて、最後に、2007年に発表された本作の原作ですが、「整形」というのが、ある種のキーワードになっています。主人公はもちろん冤罪なのですが、市橋容疑者の事件を先取りしていたようなところも見受けられます。いやむしろ、市橋は原作を参考にまでしていたのではないかと思われるのです。つまり、伊坂作品はワケが分からなくても、時代を先取りするようなところがあるのではないかという、僕個人の手前勝手な感想です。

それはさておき、本作はハラハラドキドキ、ワクワクソワソワして見られる1本やねん、ということです。

中山美穂主演映画「サヨナライツカ」

Photo_3 ミポリンはんと辻仁成はんの「サヨナライツカ」は

ただのサヨナラとは違いまんねん

(http://www.sayo-itsu.com)

2010年1月23日(土)から、アスミック・エース配給により、梅田ブルク7ほか全国ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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ミポリンこと中山美穂が映画女優として帰ってきましたでー。しかも、夫のHitonari Tsuji(辻の正しい表記が出よらんよってに、英語表記にしておりま)の原作小説の映画化で、さらに、韓国映画「私の頭の中の消しゴム」(2004年製作・2005年日本公開)で、日本で200万人以上の人をせいだい、泣かしてくれはったイ・ジェハン監督がメガホンを執らはりました。

いや、これが何と申しましょうか、現在のアラフォー世代を夢中にさせた、1990年代の日本のトレンディー・ドラマと、その延長線上にあったと思われる「冬のソナタ」などの韓流ドラマが、素晴らしくも心地よい形でミキシングされていたので、僕はすっかりこの映画のトリコになってしもたんどすえー。アレレ? いつの間にやら京都弁? ごめんちゃい。

その合体は、上記の3人がいたことによって、成立したもんなんやと、僕は分析するのであります。辻仁成(つじ・じんせい)は、1980年代後半に「エコーズ」というバンドを率いてデビューし、ジャパニーズ・ロックをプレイしていました。小説家になる(1989年)よりも、早かったのです。でもって、「ZOO」という曲で「愛をください」なんて歌ってはりました。まさに、その通りで、彼は囚人の孤独を描いた「海峡の光」で芥川龍之介賞をもらいましたけど、もともとは恋愛小説家なのであります。

一方のミポリンも、1985年に歌手デビューしましたが、その後女優に挑戦し、90年代型テレビのトレンディー・ドラマでもラブ・ストーリー女優として、大いにその才能を発揮いたしました。しかも、トレンディー・ドラマでの初主演は1989年です。辻が恋愛小説「ピアニシモ」で文壇デビューした年と同じです。この「1Q84」ならぬ1989は、この2人のラブ・ストーリー魂の、精神的な出会いの始まりだったのではないでしょうか。

イ・ジェハンは前述した通りですが、ちなみに、みなさんもご存知の大ヒットした「セカチュウ」こと「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年製作・公開)にも、そんなフレイバーがあり、そちらは韓国でもリメイクされました。加えるならば、韓国でバラード「雪の華」がカラオケで大人気の中島美嘉の、意味深なバラード「ALWAYS」がラストに流れます。

それらの映画のキーワードとなっていた、3角関係、純愛、不倫、不治の病などが、実にバランス良く物語の中に溶け込んでいたので、僕は見ていて、ああ、これやがな、ああ、それやがな、ああ、あれやがな、とつい試写室で、おとなげない溜め息を漏らしていたのであります。お・ま・え・は・ア・ホ・か。

見せ方が何げないようでいまして、実はかなり凝っておりま。部屋内を映す場合、窓から射す陽光を利用してセピアな空間を作り出すのですが、それが、25年後になると、陽光使いは同じなのに、ダーク・ブルーな絵作りになるのです。これはマジカルでした。さらに、タイの空港での別れのシーンで、カメラを360度グルグル回転させるショットには、目がくらみました。そして、誰が見ても分かりやすいように、顔のアップ、クローズアップ、スクリーンはみ出し超クローズアップのオンパレードで、とにかく映画のリズムが、心地よくはずんでいるのであります。

また、仁成と江國香織との共作小説が原作となった「冷静と情熱のあいだ」(2001年製作・公開)よりも、セリフが練られているのでビックリ。時おり、何げにシモネタも出てまいります。「ゼロの焦点」でも魅せてくれましたが、ぶっきら棒演技がとってもうまい西島秀俊が「君は濡れないし、ボクも立たない」と言うのですが、それに応じるミポリンの返しは、まさに絶妙です。最後のミポリンのシンプルなセリフもまた、心に深ーくきよりましたでー。何で最後だけ大阪弁なの? まあまあ、そう堅いことはおっしゃらずに、封切日には映画館へ直行してくだされ。

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チョン・ウソン主演映画「きみに微笑む雨」

「きみに微笑む雨」(配給:ショウゲート)

http://www.kimiame.com

ドラマ「冬のソナタ」とか映画「私の頭の中の消しゴム」とか

ダイスキな方へ、コレが一番やー

1月9日(土)から、梅田ブルク7やらで、全国順次ロードショーかましますよってに、ヨロシクだす。タイトルの読みは「きみにほほえむあめ」でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Mainss

Photo韓国映画は韓流映画とは申しませんが、いわゆるアート系やら海外の映画祭で賞をもろたりできる韓国映画の路線と、ホラー・サスペンス・アクション・時代劇やらのエンタ路線、テレビドラマ「冬のソナタ」チックなラブ・ストーリーをメインにした韓国映画路線の、大たい3路線に分かれとります。

ちなみに、韓流というのは、テレビドラマの方から生まれた言葉でございます。

でもって、今回はウットリなれる終着駅へと向かいよります、ラブ・ストーリー路線でおます。

ホ・ジノ監督はんの作品でおます。ペ・ヨンジュンさんとソン・イェジンさん(「私の頭の中の消しゴム」2004年製作作品で「私」をやらはった女優はんです)のW不倫劇「四月の雪」(2005年)やら、ユ・ジテとイ・ヨンエの恋愛劇「春の日は過ぎゆく」(2001年)やらで、メガホンとらはりました。

この監督はモロ、ラブ・ストーリー監督だす。しかも、「冬ソナ」みたいに、男女のどちらか、あるいは両方に、何らかの問題がありよりまして、そいつをドラマのポイントにしやはります。ちゅうことで、コレもそのタイプでおます。

今回は韓国を出はりまして、中国の四川省へと出張ロケしやはりました。「私の頭の中の消しゴム」で日本でもブレイクしやはったチョン・ウソンはんも、中国に出張しやはる設定でおます。そこで、アメリカ留学中にラブラブになった、中国美女役カオ・ユアンユアンさんと再会し、恋の炎がメラメラと燃えたぎるのでありました。

チョン・ウソンはんのビジターぶりを示すためか、四川の杜甫記念館や竹林の様子、でもって会食シーンなどが続きよります。このまま観光映画のノリでいってしまうんかいなーと心配しとりますと、突然ガツンとやられますので、ご注意くだされ。

女の方に問題ありなんやけど、それをできるだけ隠したいがための、この演出ぶりやったんやなと、最後には気づかされます。なんで中国ロケやったのかの謎も明かされよりますんで、ヨロシクだす。

さて、ビジターが異国でフォーリン・ラブする恋愛映画は、これまでぎょうさん作られてまいりました。最近、地上波のテレビでやった「ラスト・サムライ」(2003年)にしても、トム・クルーズと小雪の恋愛がありましたわな。

そこで、本作の元ネタを探ってみよったんですが、「慕情」(1955年)が怪しいとニラみよりました。先頃死なはったジェニファー・ジョーンズさんが出てはりました。彼女は中国人役で、ビジター役のウィリアム・ホールデンはんと恋に落ちはりました。

ということで、2作を見比べはったら、オモロイかもしれまへん。

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2010年1月 7日 (木)

アート映画「夜の影 Shadows of the Night」

アングラとモノクロの関係性を「夜の影」に見よりました

1月9日(土)より、シネ・ヌーヴォX(http://www.cinenouveau.com)でロードショーやー。配給は銀影社やー。地方へも回るかもしれまへん。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

アングラ劇団出身の田中冬星はんと、アングラ劇団「劇団梁山泊」(ちなみに、パチンコとは何の関係もありまへん)出身の岡島博徳はんに、海外のアングラ界でも活躍してはった女優・星乃舞はんの、トリプル・コラボレーションでおます。

アングラって何やねん、でおますけども、アンダーグラウンドの略でおまして、直訳したら「地下」でおます。地下というたら、日が射しまへん。「日の当たらない場所」でおます。

ちなみに、「地下街」のイメージやらとは違いますんで。地下街には日は射しませんけど、照明やらでギンギラギンでおますので、これは対象外でおます。「光のないところ」となれば、洞クツやらもそうやも分かりまへん。

簡単に言えば、きらびやかな明るいノリやなく、つまるところ、暗いノリの映画と申しますか、でも、暗いノリでも、アートでありましてな、自分自身のオリジナルな世界でおましてな、暗さそのもんはそんなにクローズアップされとるわけやおまへん。

「何からぁ、何までぇ、マックぅラぁヤミよぉ」なんて歌も、はやったことがおました。あくまで、地上の明るいとこでは、表現でけへんものを目指してはるような感じでおます。いわゆる、一つの実験でおます。

1960年代は、世界的にアングラがはびこりよりました。でもって、日本にもアッ、ちゅうてる間に、火ついてもうたんですわ。この早さは、先輩によりますと、新型インフルエンザより早かったやなんて、ホンマかいな。ウラ取れてまへん。

でもって、さてさて、モノクロ映画でおます。モノクロはモノクロームの略でおます。モノクロ映像はこのアングラ感を示すのにバッチリでおます。

最近の方々はモノクロ映画を嫌がるなんて申しますが、いやいや、今やからこそ、新鮮なんやないかいな、このモノクロがね。白と黒によっていろんなシーンが表現されとります。ひょっとしたら、カラー映画よりも、多彩な感じが出よるかもしれへん。本作の雲の表現なんか見てみなはれ、ああ、この不穏な空気というんは、カラーでは出せへんやろなーと思いました。イントロとアウトロはカラーでおますが…。

たぶんコレはヨーロッパ映画を意識してはるんやろな。フランスの「ヌーベル・ヴァーグ」とか、今ちょっとえらい目におうてはるロマン・ポランスキー監督はんの初期の作品やら、イギリスの「第三の男」(1949年)やらのフレイバーが入っとりま。往年の日活アクションはどないかな。ちょっとあるかな。

でも、一番ビックラこいたんは、サイレント映画のタッチでんな。チョー往年のサイレント映画ちゅうたら、モノクロ・オンリーでおます。また、コレは字幕がないんで、役者の動きやらでストーリーを示していきよります。

しゃべらはっても、たどたどしかったり、叫ばはるだけやったり、何ゆうてんのか分かれへんかったりやらで、ほとんど黙ってはります。こういう演技は大変、難しいとちゃうのんと思いよります。長~いセリフをしゃべるよりも、難しいやろなあ。チャップリンは、やっぱ、スゴイんやなー、と思てしもた次第でおました。アア、ポテチン、でおました。

2010年1月 6日 (水)

ヒロイン映画オムニバス「ルナの子供 Lunar Child」

悩める「ルナの子供 Lunar Child」たちが、いろんな恋をしやはる物語どすえー

http://www.gineisya.net/Lunar.html

1月9日(土)から、シネ・ヌーヴォX(http://cinenouveau.com/)やらで全国順グリ、公開ロードショーやらかしますんで、ヨロシクだす。配給は銀影社でおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo Ⓒ2009 Gineisya Co ltd. All Rights Reserved

文化庁による映画製作への助成金なんかにより、これまで多数作られてきた、製作費を切り詰めて撮られた、インディーズ系のニッポン映画でおます。

一時は倉庫に完成フィルムが眠ったままの状態、通称「おクラ入り」の、かわいそうやんな~フィルムがホンマにいっぱいござったのですが、このところは、だいぶマシになっとりました。

でも、みなさん、昨年「事業仕分け」がありましたわな。ああ、これで予算カットやろから、映画製作本数そのものが減ってきよることでしょう。映画って「第七藝術」、つまり、第7番目に芸術に認定されよったもんですさかいに、6番目までの芸術ジャンルが優遇されよるんかな。7番目まで予算回ってきますのかいな。どないですやろ。

全国300館以上の規模で公開される映画と、こういうマイナー系の映画の格差が、ますます広がるやろと思うんですよ。厳しい環境は続いていくんやろかと、僕は首をヒネらざるを得まへん。

さて、そんなワケでおまして、何とか公開にはこぎつけた本作ですが、もちろん、ギャラの高そうな有名人は1人も出ておりません。キムタクなんかが出たら、えらいこってす。出えへんかったら、こういう映画が10本以上は作れます。

みなさんが、見る映画を選ばはるとしたら、やっぱりそのあたりでしょうけど、でも、何て言うたらええのかな、映画的な手作り感とか、テレビでは見られない映画的な手法やセリフとかで、魅せてくれはります。

ヒロインの心理描写をメインにした、ラブ・ストーリー3本立てでおます。ゆきずり、レズ、不倫と、「映画の中にいるみたいやー」みたいなキモチにはなれへんかもしれまへんけど、やはり、映画的な作りによって、その映画ゴコロはチャンと伝わってまいります。

濃いセピア照明の部屋と、外からのネオン照明のグリーンとピンクを交錯させた第1話「彼女の物語」は、照明使いがお上手だす。

末期ガンの男が、町をふらついてはった女(写真の女の子だす)を部屋に連れ込みよります。理屈っぽいことを話し合ってのベッド・シーンなど、セリフもよう練ってあります。

第2話「美月の物語」は、ヒロインの気持ちを字幕で伝えはるんです。コレは完全にサイレント映画のノリでおます。おじさんのセリフ「友達はいいよね」の言葉にホッとなごみますで。

トリの話「ヒカリの物語」が一番長いですけども、都会にある多彩な光を取り込んではって、またセピア色の16ミリ映像やら、手書きアニメ、だる~いカンヂを出すための長回し撮影シーンなど、テレビでは見られないショットがテンコ盛りでおます。

タイトルにおますルナは、ローマ神話に出よります、ムーンこと月の女神でおます。本作はある意味で、ルナティック・ラブとも申したいくらいでおますが、その月のカタチ、上弦の月から三日月、満月までいっぱい見せてくれはるとこも、ユニークなとこでんねん。

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2010年1月 5日 (火)

映画「板尾創路の脱獄王」

「130R」の「いたお いつじ」が吉本興業オールスターズと共に、「大脱走」か孤島脱走「パピヨン」かみたいな、映画を撮りよりました。

http://www.datsugoku.com

1月16日(土)から、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、三宮シネフェニックスほか、東京、地方やら含めよりまして、全国どこもかしこも大たいロードショーしよりまして、かからんところにも、そのうちロードショーやらかしますよってに、よろしく。角川映画株式会社配給でおます。

文=映画分析研究所・所長・宮城正樹

Photo 主演で監督の漫才コンビ「130R」の板尾はんですが、映画やらで、いろいろシブいヤラシーい演技で、変てこバラエティーなバイプレイヤーぶりを、披露し続けてくれてはる方でおます。

何やお笑いの人かいな、なんてバカにしたら、いや、僕も、いや、僕だけなんかもしれへんけど、バカにしとったんやけれど、いや、脱獄もんでも、えらい新しいもんを撮らはりました。ちょっと驚きました。

北野武、島田紳介、ダウンタウンのマッチャン始め、お笑いでも漫才系の方の映画監督進出となれば、あなどれまへん。「ドロップ」(2009年製作・公開)なんか、ビックラこくくらいヒットしよりました。

カンジンな本作のことでおますが、昨年公開の「パブリック・エネミーズ」でジョニー・デップはんが何回も脱獄してはった、たぶん1930年代、第二次世界大戦前か、戦中のお話です。まあ、戦前のことやから、ムショも甘いとゆうたら甘いかもしれまへん。

見出しに書きよりました通り、「大脱走」(1963年製作)か「パピヨン」(1973年)かの脱走劇でおます。どちらの作品でも、脱走しはったのは、スティーヴ・マックィーンでおますが、本作は脱走映画への限りなきオマージュを、捧げたろやないかと作られよったようです。

板尾はん、ホンマに何回でも、脱獄しやはるんです。で、脱獄したら、すぐに見つかるように目立つように動かはるんです。アホか、こいつ、何、考えとんね、ですわ。いや、何か、考えてはるんでしょう。それが、この映画の大きなナゾナゾでおます。

フツーの脱獄ものやない点では、後日紹介いたしますフランス映画「すべて彼女のために」と同じく、オリジナリティーがあふれております。

しかも、主人公の板尾はんは全く喋りません。サイレント映画のノリを、何と最後まで貫かはります。歌は歌わはりますが、それが何と戦前にはなかった、中村雅俊はんの「ふれあい」でおます。何じゃ、こら~、でおます。

遊んではるなー、と思いました。遊びはそのほかでも、ケッコー出てきよりますんで、要注意だす。結末もトンデモナイおバカで、アクロバティックなハットトリッキーを披露しやはるので、笑ってくだされ。

印象深いシーンがいくつかござります。パントマイムなサイレントの面白さに加えまして、冒頭の赤文字タイトルのシーンを、後半部でリフレインしやはります。この後半というか、残り30分から、ドラマは急旋回しよります。

セピアの夕日がムショに十字架模様のように射す中で、板尾と再会する因縁のライバル、刑務所所長・國村隼のスローモーションの、ドラマ的リズム効果。

スクリーンの真ん中にあるセピアの輝きから、主人公の過去へといざない、生まれ落ちた赤ん坊イコール主人公視点による近接撮影のカットへ。

こうした細部の描写が、僕的にはたまらんかったでおます。

吉本興業ファミリーがけっこう出てはりますので、上記の本作公式ホームページにてチェックしてくだされ。

Ⓒ2009 「板尾創路の脱獄王」製作委員会

2010年1月 4日 (月)

映画「かいじゅうたちのいるところ」

「かいじゅうたちのいるところ」(ワーナー・ブラザース映画配給)

http://www.kaiju.jp

日本語吹替え版主人公の声優・加藤清史郎クンが「こんな怪獣の島にはきとうはなかった」と言ったとか、言わんかったとか

1月15日(金)から、丸の内ルーブル、梅田ブルク7、梅田ピカデリーほか、全国ロードショーでおます。日本語吹替え版、同時上映だす。

文=映画分析研究所・所長=宮城正樹

Photo Photo_2 Photo_3 Photo_4Ⓒ2009 Warner Bros. Entertainment Inc. Photo_5 Photo_6

とにかく、けったいな話を作らはるスパイク・ジョーンズ監督だす。実在の俳優はんになれる穴のドラマ「マルコヴィッチの穴」(1999年製作)やら、マトモなんはまずござりません。

でもって、本作は、主人公の少年が家出してしもうて、海を勝手に船で渡って、怪獣たちがいっぱいの島に勝手にたどり着きよりまして、その変な怪獣たちと勝手にお遊びするっちゅう話だす。

一緒にダンスしたり、西部劇みたいに砦作ったり、泥ダンゴ投げ合って戦争ごっこやらをしやはります。何でんねん、それは! って感じでしょ?

しかも、そんな怪物キャラクターたちと少年の会話は、意味不明で何が何やらさっぱり分かれへん。分かれへんけど、お互い通じ合ってコミュニケーションが取れとるんです。不思議です。

コレは少年の空想ものやろと思います。こんな冒険がしたい、あんな冒険がしたいと、みんな思わはって、夢のような世界で遊ばはった経験っておありでしょ? アレですわ。

まあ、ファンタジーとゆうたら、「ハリー・ポッター」やら、「ナルニア国物語」やら、ありますけど、それらの作品に対して、アイロニーを捧げているみたいな、オ・モ・シ・ロ・イ見ごたえでおます。

怪獣と少年が島の砂漠みたいなとこを歩くシーンなど、「スター・ウォーズ」のサーガ編を思い出させてくれはるシーンも、さりげのう入ってございます。

同じ映画会社の配給作品として、この作品の1週前に公開されます、既にご紹介いたしました「彼岸島」と同じく、孤島ものでおます。でも、同じ孤島ものでも、全くテイストが違いよります。

「彼岸島」はサバイバル・アクション・ノリでおますが、こちらは、モンスターとの奇妙な交流もの。それでも、「キング・コング」(1933年・1976年・2005年)ほどのスケール感はありまへん。でも、心にクルのは、ラスト近くの怪獣クンの愛の叫びでしょう。クラシック映画の名作「シェーン」(1953年)の、コドモが叫んだ「シェーン、カミン・バック!」のノリですわ。

それに、ユニーク極まりないモンスター・キャラたちやけど、ミュータントものSFなんかよりも、よっぽど楽しくて親近感が持てますで。

日本語吹替え版は試写室では見られへんかったので、どんな感じになっとるのか、とても楽しみだす。主人公の声は加藤清史郎クンです。コドモ店長の声のアドベンチャーを、劇場でぜひお楽しみくだされ。

2010年1月 3日 (日)

山田洋次監督の新作映画「おとうと」

山田洋次監督・吉永小百合・笑福亭鶴瓶・蒼井優・加瀬亮らによりまして、早くも今年の日本映画ベストワン級映画がやってまいります

http://www.ototo-movie.jp

1月30日(土)から、松竹配給によりまして、全国いっせいロードショーまっしぐらでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2c2010 いやー、ギョーテンでおます。早くも今年のニッポン映画のベスト級作品が登場しよります。ああ、たまりまへん。

いろんな、多彩な角度から論じられます映画です。もう、それだけで、老若男女を問わない映画でございます。

若い人向きに言いますと、まず、写真に映っておます、蒼井優ちゃんと加瀬亮クンのラブ・ストーリーの、ほがらかな優しい感じでおます。

寅さんやら、ニッポンの家族を巧みに描いたり、「たそがれ清兵衛」(2002年製作・公開)なんかの時代劇が有名な山田洋次監督やけど、これまでこういう若いカップルの描き方も、的を射たものがございました。

現在ハリウッドでリメイク製作中の「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)の武田鉄矢と桃井かおり、「息子」(1991年)の永瀬正敏と和久井映見、「武士の一分」(2006年)の木村拓哉キムタクと檀れいなど、寅さんの恋のキューピッドやらも入れたら、そら、恐ろしいくらいにござります。

この優ちゃんと亮クンの場合は、特にプロポーズ・シーンが心にグッときよりました。

吉永小百合さんは優ちゃんのお母さん役で、本作の主演女優でござります。そんな小百合さんと娘の関係演出に加えまして、小百合さんの弟役の笑福亭鶴瓶との絡みが、本作の最大のハイライトだす。

いわゆる、現在の60歳以上の高齢者にとっては、小百合さんは超アイドルでおまして、かつては小百合ファンのことを「サユリスト」と呼ばれておらはりました。1960年代に流行語大賞がおましたら、間違いなく大賞をもらわはったやろと思います。

そんな小百合さんが、ええ年こいてはる弟を、心の底からホンマに、目をかけはります。娘はんの結婚式をヨッパラッて台無しにされはっても、おこらはりません。えー、何でやのん? 何か弱みでも握られとんかいなと思ったりするわけでおますが、その気持ちはきっちり本編で描かれております。

でも、何でそこまでしやはるのー、と見ているこっちといたしましては、もどかしい思いになったりしよります。若い人は、ナレーションもやってはる優ちゃんに、感情移入してハラハラしよるはずですわ。

そんな優ちゃんは、もちろん、おじさん役の鶴瓶はんが大キライでおます。大キライなんやけれど、最後には、感動的な、余りにも感動的な着地がござります。僕は思わず泣きよりました。これが山田洋次監督流の感動演出でおます。これが素晴らしきニッポン映画でおます。何回も見てみとうござります。ということで、みなさん、映画館で一緒に見ましょう。ヨロシクだす。

Ⓒ2010「おとうと」製作委員会

2010年1月 2日 (土)

チャン・ツィイー主演映画「ソフィーの復讐」

「ソフィーの復讐」

http://www.sophie-movie.jp

アジアン・ビューティーのチャン・ツィイー

初のコメディエンヌでおます!

1月9日から、新宿ピカデリー、MOVIXさいたま、なんばパークスシネマほか、全国ロードショーしよります。配給は、メディアファクトリー社と、熱帯美術館の2社による、共同配給でおます。

文=映画分析研究所・所長=宮城正樹

PhotoⒸ2009 SOPHIE PRODUCTION LTD. PERFECT WORLD CULTURE COMMUNICATION CO, LTD and CIENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED

画像にはチャン・ツィイーちゃんは、いてはりませんが、共演者の韓国男優のソ・ジソブはんと、 ベッピンはんの中国女優はんのファン・ビンビンちゃんでおます。

チャン・ツィイーちゃんは、今まではトンデモ・ラブ・コメディには出てはりません。でも、ツィイーちゃんは、とっても出たくてたまらんかったのでおます。

そやから、コレに製作資金を出してでも、出たかったのでおます。

いやー、何と申しましょうか、これまでのツィイーちゃんとは、全く違うオモロイ映画が、こんがり出来上がりましたでおます。いろんな表情演技を見せてくれはるのですけど、こんなにトンデル・コメディエンヌぶりは、エーって思うくらい意外で、笑わしてくれはります。

ジェントルマン演じはるソ・ジソブはんや、マジメなイケメンのピーター・ホーはんやら、男組もまた、ええカッコしいやんか、を披露してくれはります。

でも、やっぱり、本作はツィイーちゃんの独壇場でおます。あのツィイーちゃんが、思いっきりボケ・カス・スッポンな、おバカ丸出し演技を披露しやはりました。ビックリ・ドッキリでおます。せいだい笑ってくだされ。

そんな中で、映画的な面白さも、さりげなく入っております。撮り方でいきますと、スピード感ある短いカットの連続フラッシュ、スクリーンの中で丸い画像を取り込んだり、急速の移動撮影「パン」を使ったり、双眼鏡カット、スクリーン3分割、2分割カット、手書きアニメやCGの多彩な挿入、セピアな映画内映画シーンなど、ああ、コレは紛れもなく、映画なんやー、と認識させてくれはりました。

ラブコメとしましても、ツィイーちゃんの婚約者役ソ・ジソブへのリベンジ作戦を取りながらも、最後はステキなラブ・ストーリーへと着地しよります。感動だす。

かつて香港映画にあったラブコメ・タッチに、アメリカン・ラブコメのフレイバーを入れて、よりコンテンポラリーなラブコメと相なりました。必見でおます。

2010年1月 1日 (金)

映画「シネマ歌舞伎 隅田川続俤 法界坊」 

「シネマ歌舞伎 隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ) 法界坊(ほうかいぼう)」

http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki

とっても楽しい、カブキの世界へ、レッツラゴーでおます

1月9日(土)から、なんばパークスシネマ、1月13日(水)から、MOVIX京都、1月16日(土)から、MOVIXココエあまがさき、3月6日(土)から、MOVIX八尾・MOVIX堺やらで、全国順グリにロードショーしますよってに、お楽しみにしてておくんなはれ。配給は松竹だす。

文=映画分析評論家・宮城正樹

2Ⓒ松竹

伝統芸能・歌舞伎の公演を、そのまま映画にして魅せてくれはるシリーズの最新版でおます。

最近、演劇やらコンサートやらを、映画フィルムで撮ってそっくりそのまま見せるスタイルが、何やら静かなブームでおます。そのスタイルを開拓したと思われるのんが、このシネカブ・シリーズでござんす。

確かに、臨場感というか、ナマ(生)やからええねん、なカンジはありまへん。でも、そこのアータ、このデフレの時代にでんな、何万円も出してナマを見る余裕なんてありまっか。ありまへんやろ。

しかしでんな、本作の歌舞伎の演目そのものは、従来の歌舞伎の格式ばったスタイルを、打ち破る画期的な作品でおます。もし、コレを何十億円もかけて映画化したなら、ソラ、トンデモネーものになりまっしゃろ。

写真の中村勘三郎や、「おくりびと」の名演が有名な笹野高史やらが、思いっきり歌舞伎の堅さをやわらげてくれはるんどすえー。あ、久々の京都弁やー。すまんのう。

中村勘三郎はんの息子はん・中村勘太郎はんが大マジにうなってはると、勘三郎が「こいつはね…」なんて、実生活に戻ったみたいにシャベラはるし、観客席に降りてのアドリブ演技に加え、スローが基本の歌舞伎のセリフに対し「早くシャベれ」ってゆわはります。こういうパターン化はずしが、次々に披露されよります。痛快でおます。

笹野はんも同様だす。ジャニーズみたいにバクテンはムリですけど、体操演技も披露しやはります。

テレビの2時間ドラマで人気の中村扇雀はんは、女形(オヤマ・歌舞伎界は男たちだけのロマンの世界ですよってに、女役も男が扮しよります。それをオヤマと申します)になり、テレビとは全く違って、ゆっくりした、たどたどしい女声を作ってシャベリ続けはります。ある意味、バケモンです。

しかし、歌舞伎らしきアクション、1つ1つの動作を数秒ストップ・モーションさせて続けていく、あの動きは、当然見せてくれはります。ワケ分からん3者対決やら、勘三郎VS中村橋之助の一大決戦は見ものです。

そして、様式美に満ちたダンス・パフォーマンスでおます。和太鼓、三味線、拍子木、謡いの生演奏に乗って、壮絶な踊りを舞わはります。背景のブルーの川と薄グリーンの空が、バラけて桜フブキ舞うバックへと転化し、スペクタクルあふれるフィナーレへと向かうシーンでは、僕はすっかり目が点になっておりました。

ニューヨーク公演も大盛況やったとのこと。そら、やっぱ、そうでしょ。ブロードウェイのミュージカルにもヒケをとらへん、ヤマト魂がココにあります。

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