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新作映画分析

  • 映画・音楽分析研究所 所長 宮城正樹
    1→新作含む公開前映画の批評分析を、1日1本を毎日行います。関西発なので、あえて関西弁にて批評いたします。2009年12月11日よりスタートし、5年連続を突破しましたが、2015年5月中旬より、週3~4作更新といたします。厳選した作品分析を、お楽しみください。 2→不定期となりますが、新作映画の出演者・監督・スタッフらのインタヴューや取材記事、CDアルバムやシングルのレコ評、DVD評に、小説・書籍評、各種の分析批評なんぞをいたします。

音楽・小説分析


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2009年12月の記事

2009年12月31日 (木)

映画「カティンの森」

「カティンの森」

http://www.katyn-movie.com

ポーランドの巨匠監督アンジェイ・ワイダはんの大ケッサクやー

2010年1月9日(土)から、シネ・リーブル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸ほか、全国順次ロードショーだす。アルバトロス・フィルム配給作品でおます。

文=映画分析研究所・所長=宮城正樹

Sあなたが、もし映画ファンを自認してはるのでしたら、絶対、見ておかんといけない作品でござります。

2010年で84歳になられるアンジェイ・ワイダ監督の、力をふりしぼっての1作でござります。

若い方は、まあ、おそらく、知らはらへんでしょうけど、映画史にサンゼンと輝いてはる、ポーランドの映画監督でござります。

こういう映画を見ますと、テレビなんか二度と見たくないなんて、思たりすんのは、果たして僕だけでありましょうか。ワイダ印は、21世紀を10年過ぎても、健在であります。

ポーランドという国は、ナチに占領されてしもて虐待をされた歴史、さらに戦後における抵抗運動やら、ワレサ委員長らによるグループ「連帯」など、波乱に満ちた国であります。

そういう中で映画が作られるので、エンターテインメントはほとんど作られず、また笑ってる場合でもありまへんので、コメディもほとんどありまへん。緊張感に満ち満ちた毎日なのです。

そして、そんな中で、血を吐くような思いで作られた映画がコレです。

ワイダ監督のおとうさんに捧げられております。監督のオトハンは、ここで描かれてる虐殺で死なはりました。合掌です。

ホンマに目をそむけたくなるくらいの、えげつないシーンが出てきよります。その意味では、デート・ムービーには向かんやろけど、1人ジックリ映画と向きおうて、映画の映画らしいとこを堪能したいねんという人には、ピッタリでおます。

いろいろヤラレてしまう人々の群像劇やけど、一番スゴイのんは、当然ラストでおます。

何てゆうたらええのか、言葉がなかなか出てきよりまへんけれど、見終わって映画館を出て、しばらくボーゼンとして黙々と歩いているうちに、気がついたら、どこか遠くへ来てしまったみたいなカンジ、ちゅうか、場合によっちゃ、映画のシーンが夢にまで出てくる人もいるかな、みたいな。

21世紀に入ってからも、第二次大戦ものが次々に出てきとります。ロマン・ポランスキー監督の「戦場のピアニスト」(2002年製作)とか、「おくりびと」と同じく、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「ヒトラーの贋札」(2007年)とか。でも、本作のズシリとした手ごたえには及びまへん。

個人的なことを申しますと、泣ける「ライフ・イズ・ビューティフル」(1998年)の、180度正反対の仕上がりと申しましょうか。いずれにしましても、心に深く残る映画であることは、間違いおまへん。

2009年12月30日 (水)

映画「キャピタリズム マネーは踊る」

「キャピタリズム マネーは踊る」http://capitalism.jp

リーマン・ショック以降のオトロシキ現実やー

2010年1月9日(土)から、ショウゲート配給によりまして、敷島シネポップ、TOHOシネマズ二条ほか、全国いっせい、大不況をはねかえしまっせ、ロードショーやらかします。

文=映画分析評論家・宮城正樹Photo

Ⓒ 2009 PARAMOUNT PICTURES CORPORATION AND OVERTURE FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

みなさん、ドキュメンタリー映画って見やはった経験ってありますか。そやね、たぶん、NHKの「プロジェクトX」とかテレビで、タダで見られるドキュメンタリーを、見たりしやはったかも分かりません。

でも、コレはお金をぜひ払ってでも見ておきたい、今の現実をえぐりださはった、価値あるドキュメントでおます。

ほら、銃社会のアメリカをば糾弾しやはった「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年製作)で、アカデミー賞を受賞しやはったり、2.11テロの内幕をバラさはった「華氏911」(2004年)でカンヌ国際映画祭で金メダルをもらわはった、マイケル・ムーア監督の新作でおます。

2008年9月に破綻してしもた、リーマン・ブラザーズによって、アメリカだけやなく日本含めまして、全世界的な大不況が、やってこんでもええのに、やってきよりました。教科書にも出てきます、1929年の「世界恐慌」の二の舞いだす。その実態、でもってその解決策は、ホンマにあるんかいなを追究した作品が本作だす。

オバマ大統領はモチ、前ブッシュ大統領やらを始め、モノクロで登場しやはります、ルーズベルト大統領(世界史の教科書で太字で載ってる「ニューディール政策」をやらはった方です)やらも、フィーチャーしてはります。

それはともかく、TVのドキュメンタリーとは違う、映画としてのドキュメンタリーの在り方を提示しとこうかと思います。

かつての映画のシーンやニュース映像を、映画の本筋とは関連性はないのにつなげたり、CM映像の女性ナレーションを、かつてのシブい男優マーロン・ブランドのセリフへと変換したり、現実のフィルム映像にバックをアニメ加工したりと、アレヨアレヨのスピード感ある映像展開にハッとしてしまうんだす。いわゆるコラージュ映像の多さで、スルスル見せてしまう、ハットトリックな映像と申しますか、コレはホンマにドキュメントなの? やと思わせていく作りにこそ、映画でなければならないドキュメンタリーなのであります。

いろんな方にインタビューしていく。この積み重ねもまた、ドキュメンタリーとしては重要やろと思いますが、えてして、それが退屈なシーンの連続になったりしよるのですが、コレは違います。いろんな人に聞いてはりますけど、上で述べましたように、スピード感がありますよってに、退屈なんか一つもせえへんのですわ。

ドキュメンタリーなんて、いっぺんも、見たことおへん、とおっしゃる方。いっぺん、ぜひ、ためして、おくんなはれ。きっと、病みつきになりますで、ホンマ。

2009年12月29日 (火)

映画「(500)日のサマー」

「(500)日のサマー」http://www.500summer.jp

21世紀的ラブ・ストーリーの在り方とは?

1月9日(土)から、20世紀フォックス映画配給によりまして、TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイント、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸ほか、全国順次ロードショーでおます。地方の方々、いつかは必ず、お近くの映画館でかかりますよってに、お楽しみに。

文=映画分析評論家・宮城正樹

5001 5002 Ⓒ2009 Twentieth Century Fox

デート・ムービーのラブ・ストーリーを探してはる方に、ピッタリの恋愛映画の登場でおます。

恋人同士、彼女を狙ってはる彼氏、彼を狙ってはる彼女、そういう全ての方々に、コレはとっても素晴らしいヒントを与えてくれはります。

みなさん、フジテレビやTBS、日本テレビのトレンディー・ドラマなんて、見やはりまっか。

コレは、そういうドラマの中で、展開しよりました、いくつかの仮想シーンがいっぱいござります。

TVドラマからの映画化バージョンが、確かに今や日本では、大ヒットしとる傾向がござります。でも、映画的な撮り方による、映画愛の映画愛による、映画的映画なるものは、最近富に少なくなっております。しかし、本作こそ、そういう映画らしき映画的なるものを、フィーチュアしやはりました快作でおます。

2人の出会いからの500日を、映画的に描き上げはりました。ニューヨーク・ラブ・ストーリーって、みなさん、結構見やはったことがあるでしょうけど、コレはロサンゼルス・ラブ・ストーリーでおます。そんな500日を、日にち順には見せません。500日のアッチへ行ったり、コッチへ行ったりの、時間旅行でおます。ですよってに、なかなか2人は一体、どないなるねんが見えてこないところに、ハラハラドキドキのドラマが発生しよります。

2人の真ん中に黒柱入れてのスクリーン分割カットや、モノクロでの2人の紹介シーン、CGやアニメを使ったり、いろいろやってはります。略奪婚映画「卒業」(1967年製作)などを実際に流して、そのサントラを担当した「サイモン&ガーファンクル」の曲を流して、恋愛映画を盛り上げます。

サントラや主人公たちの音楽嗜好も、個人的には、オモロかったです。2人がカラオケへ行かはるんですが、そこで歌わはるのが、パンクな「クラッシュ」の曲や、ミスター・アメリカン・ロッカーのブルース・スプリングスティーンの「明日なき暴走」でおます。あんまし上手くはありまへんけど、おっと、こんなとこで、この2曲を! なんてビックラこきました。

また、この2人の音楽嗜好が、80年代のイギリスの「ザ・スミス」や、ビートルズの中でも最も目立たんかったドラマーのリンゴ・スターである点も、何やらこの2人の性格も表していてはるようで、オモロイですわー。

2009年12月28日 (月)

映画「彼岸島」

「彼岸島」http://www.higanjima.jp

大ブレイク・コミックが映画になって大バクハツやー

2010年1月9日(土)から、ワーナー・ブラザース映画の配給によりまして、新宿バルト9やら梅田ブルク7やらで、ニッポン全国の東西南北で、ドカーンとロードショーしまんねん。

文=映画分析研究所・所長・宮城正樹

Photo_5 Ⓒ2010 松本光司/講談社・「彼岸島」フィルムパートナーズ

韓国の監督がメガホンを握らはったニッポン映画でおます。キム・テギュンって方でおますが、みなさん、知ってはるやろか。高校生と先生がVFXバチバチに、仁義なき戦いをば展開しやはった「火山高」(2001年製作)やらを作らはりました。

そんな監督はんが、その高校生バクレツ・スタイルから始めますのが、本作だす。でも、高校生的学園青春ノリは、イントロだけです。脱色映像に赤い血やら、吸血鬼のゾンビ・タイプやら、怪物キャラクターの登場やら、VFX、CG着色のオンパレードがゆっくりやってきよります。

吸血鬼のトンデモ・キャラが登場しまして、水川あさみ嬢が現れはるあたりから、物語はひと夏のアドベンチャー・ノリへと変形してまいります。水川はんは、「今度は愛妻家」(1月16日公開)にも出てはりますが、謎めいていて、アクショナブルで、オキャンな元気系が、よう似合わはります。「今度は愛妻家」でも、元気な女を演じてはります。

ソンナあさみハンは、行方不明の渡辺大扮する兄が、とある島におりまっせー、と石黒英雄扮する弟に、関西弁やないけど、キツ~く言いはります。でもって、弟はんは、兄やんを探すために、5人の同級生と共に、その危ない島「彼岸島」へと、いざ、向かわはるんだす。命知らずだす。でも、命がけやないと、冒険物語そのものが成立しよりません。

「リング」(1998年)以降に登場したJホラーのノリでもなく、またサバイバル・ホラー系でも、「バトル・ロワイアル」(2000年)のノリとはビミョーに違いよります。ホラー小説の原作ではなく、あくまでコミック原作であります。コミックとなれば、文章で表現するのではなく、絵柄やイラストでおます。

その感覚を映画的に表現するためには、どないしても、VFXやCGを有効的・効果的に使わんといけまへん。また、ゲーム感覚もおます。「遊びはコレからだ」とか、吸血鬼のボスに扮します山本耕史のセリフ「楽しく遊べた」など、ゲーマーたちの闘いという図式もありますよってに、たまりません。ゲーム・マニアやコミック・マニアの人たちにとっては、ひょっとしたら、バイブル的な作りに、なっとるんやないかいなと思いよります。

手持ちカメラによる、スクリーンが揺れるようなショットの連続やら、夕景の海のセピアとブルーが混じり合った美しい風景描写に加え、韓国映画や韓流ドラマらしい、叫ぶような泣きのシーンやら、ところどころ、ついクセになってまうシーンが、テンコ盛りでおます。

シリーズ化されるのんとちゃうん? なラストもまた、胸さわぎの1本だす。

2009年12月27日 (日)

映画「食堂かたつむり」

天才シェフ・柴咲コウが開花しましたでー

癒やしムービーの快作がまた、1つでおます

http://www.katatsumuri-movie.jp

2010年2月6日(土)から、東宝配給によりまして、全国いっせい、どっこい、柴咲コウは負けまへんでー、ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

1_2 2

美しい自然に囲まれた田舎で、柴咲コウおネーさまが作ってくれはる、おいしい料理の数々に、酔いしれます映画が登場だす。

1_3 ペットで飼ってはったブタをKトラで運ぶ以外は、いっさい車とゆうもんが出てきよりません。こんなド田舎も見たことおまへん。何しろ、白馬に乗って移動しやはる人もいてはるんです。

自然のことを言うついでに言いよりますに、ヒバリ、フクロウ、ハト、スズ虫やら、冒頭からええ感じで、さえずったり鳴いたりしとりますし、一番上の写真を見ていただきとうござりますが、コウおネーさまの、おかあちゃん役の余貴美子はんと一緒に、美風景を見てはるシーンでおます。オッパイ山やなんて、素晴らしいくらい美しい風景が出てきよります。これってCG?

柴咲コウのおネーさまですけども、13歳の時に家出しやはりまして、いろいろ人生ありまして、インドの人と結ばれまして、カレー屋おっ始めまして、そのインド夫に何もかも盗まれてしまいまして、ショックの余り、声が出よらんようになりまして、仕方なく、おかあちゃんのとこに帰ってきよりまして、で、手作りの食堂始めまして、現在に至るでおます。

この辺は、CGイラスト使いまして、スラリスラリと紹介していただいております。また、オルガンをバックに、何やら「サザエさん」の歌みたいな、ほのぼのとした歌に乗っております。おかあちゃん役の余はんの経歴も紹介されよります。自然描写とCGの混ぜ合わせもありますよってに、お楽しみくだされ。

声の出えへん役は、妻夫木聡と共演しはったテレビドラマ「オレンジデイズ」以来どす。でも、最後にはヤッパ、声が出ます。「おいしい」

スクリーンの周囲を、食材イラストCGで囲われて「おいしい」と、思わず言うシーンは、コウおネーさまの多彩な料理を食べはった方の、ほとんどの方のキメゼリフでおます。ハートマーク型サイズの皿に盛られたカレーから、世界一周食巡りの逸品、そして、フツーっぽく見えるお茶漬けまで。ああ、僕も食べさしてもうて、癒やされとう思いよりました。

「かもめ食堂」(2005年製作)よりも、料理そのものをよう映してくれはるよってに、ホンマに食べたくてたまらんのでおました。ポテチン。

Ⓒ2010「食堂かたつむり」フィルムパートナーズ

2009年12月26日 (土)

映画「パレード」

藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、小出恵介、林遣都の共同生活でおます。

http://www.parade-movie.com

2月20日(土)から、ショウゲート配給により、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸ほか、北海道から沖縄まで、全国どっとロードショーしますねん。

文=映画分析研究所・所長=宮城正樹

Mainss 映画会社のエリート社員に藤原竜也、イラストレーターやら雑貨屋店員でメシ食うてはる女に香里奈。まあ、この辺までは、マトモだす。

バイトはあるけど大学生の小出恵介と、彼氏が出てる昼メロ見て喜んではる、チョーヒマ人の貫地谷しほりは、映画の冒頭から、さっそくヒマでヒマでしゃーない感じを披露しやはります。

そんな人らが、写真のように一緒に住んではります。なんで一緒に住まはるようになったんかにつきましては、よう分かりまへん。世の中、よう分からんことが多いですよってに、それでいいのだー、です。

アレ? 写真をよう見てみたら、1人多いやないかいな、でおますが、林遣人クンでござります。藤原竜也はんや香里奈はんは、毎晩のように酒飲んで、酔っ払ってはりまして、特に、香里奈はんは、本人もよう分からんくらいの、タチの悪いヨッパライでおまして、いつの間にやら知らん間に、林クンを連れ込んでしもたんであります。でもって、林クンも、ついでのように、おジャマすることと相なりよりました。

何やらさっぱりワケの分からへん、共同生活でござります。こんな共同生活は見たことおまへん。しかし、ちょいと、お話させてくだされ。

今は60歳以上の世代に当たります、かつて「団塊の世代」と呼ばれた世代がございまして、その頃にはやりよりました、吉本隆明の「共同幻想論」なるものがございました。その吉本はんの娘さんの吉本ばななが、そんな父へアンサーを捧げる形で書きました小説が「キッチン」だと僕は思とります。森田芳光監督により、1989年に映画化もされた、共同生活映画です。

ある種の連帯感を持って、また共有すべき何かがある、共同生活をすることは、果たして可能なのか。その連帯感の実態とは一体、何なのか。このテーマは、これまでの文学界でも、多数追究されてきよりました。そして、その流れにあるのが、芥川龍之介賞受賞作家の吉田修一による、本作の原作小説となります「パレード」だす。

林クンは「チャットルームみたいな、表向きの付き合い」なんて言いよります。でも、それが、最後には大きく変わるような事件がやってきます。

林クンを外した4人の人間の話が、順グリに展開していきよります構成でありますが、真打ちの藤原竜也編が、最大のヤマ場でござります。

居酒屋で林クンと飲んでる時に、林クンから、今まで見た映画の最高傑作はと聞かれて、藤原はんは「2001年宇宙の旅」(1968年製作)やと答えます。「エイリアンでも出てくるんですか」に「もっと凄いのが出てくるんだ。この映画は真実だ」と言い張ります。

コレはこの映画の大きな伏線になっておりました。ホンマに「す・ご・い・こ・と」があるんです。共同幻想が幻想でなくなる瞬間。その一瞬のスゴサに、僕は狂喜し、震えよったのでありました。

Ⓒ2010映画「バレード」製作委員会

2009年12月25日 (金)

映画「Dr.パルナサスの鏡」

「Dr.パルナサスの鏡」http://www.parnassus.jp

ジョニー・デップらが、ヒース・レジャーへ哀悼を捧げよります。

1月23日(土)から、ショウゲート配給によりまして、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸ほか、全国いっせいロードショーだんねん。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ss Sub1ss Ⓒ2009 Imaginarium Films, Inc. All Rights Reserved.

Ⓒ2009 Parnassus Productions Inc. All Rights Reserved.

ヒース・レジャーはん、死なはりました。合掌でおます。ヒースよ、フォーエバーでござんす。そんなヒースに対しまして、みんながよってたかって、哀悼を捧げました。もう、これだけで、感動だす。

ヒースはんは、この映画の撮影中に死なはりました。撮れていないところが、当然ござります。そこへ、みなはんが、こら、やらなあきまへんでと、思いっきり、ヒースはんへの思いを込めまして、必死のパッチで演技してくれはりました。

まあ、何と申しましても、ジョニー・デップはんの代役演技でおます。やらかしてくれはりました。デップはんの、思わずウットリな演技には、みんな、ドップリはまれまんねん。

長~いハシゴに乗らはって、竹馬の友みたいな感じで、トンデモ・アクションをやってくれはった、ジュード・ロウはんも、何やらスゴイっす。

シメを担当されはりました、コリン・ファレルはんも、もの凄いウルトラワザを披露してくれはります。

大ケッサク「未来世紀ブラジル」(1985年製作)のテリー・ギリアム監督の、トンデモ・ファンタジーがサクレツしよります。旅芸人のロードムービー的スタイルを取りながら、ユニークで楽しいシーンが次々に展開しよります。

ファンタジー部はあくまで、登場人物の夢シンボライズ・シーンではありますが、コレがすっかりどっぷりハマれるような作りになっとります。夢見心地の素晴らしいシーンが、次々にやってきよりまして、めまいクラクラでおます。

いわゆる、CG部分も心をくすぐりよります。紙書きノリと申しますか、ホンワカ手作りノリが、何やらたまりまへんわ。

大昔を設定した監督の「ブラザーズ・グリム」よりも、21世紀の現代社会の中における、アナクロニズムの時代遅れ感を示した作りに、メッチャはまりよりました。

2009年12月24日 (木)

映画「ずっとあなたを愛してる」

「ずっとあなたを愛してる」http://www.zutto-movie.jp

フランス映画のシブ・シブ・シブいキズナ映画でおます。

コレがフランス映画です。

2009年12月26日(土)から、銀座テアトルシネマを皮切りに、1月テアトル梅田、シネ・リーブル神戸、2月に名古屋の名演小劇場ほか、全国順次ロードショーしますよってにヨロシクだす。配給はロングライドでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

5 Ⓒ 2008 UGC YM-UGC IMAGES-FRANCE 3 CINEMA-INTEGRAL FILM

ドイツとの合作になっとりますが、フランス映画の、ムショ帰り人間ドラマ映画がやってまいります。

ムショ帰りとなりますれば、そら、ニッポン的にはヤクザ映画やら、アメリカやったら「ショーシャンクの空に」(1994年製作)やらを思い出しますけども…。

でも、そのムショ帰りの方は女性でおます。しかも、15年も入ってはりました。しかも、裁判所やらでもノーコメントを通した結果の15年でおます。しかも、フランスの裁判制度が、どないな風になっとるやらは、僕には分かりませんけど、罪状は殺人だす。

何やら恐ろしそうな方のように思われますけども、いたってフツーだす。「キル・ビル」(2003年・2004年)のユマ・サーマンみたいなことはござりません。「平凡」過ぎることもないけど、輝く「明星」ということもありまへん。「平凡」と「明星」。この2つを合わせたジョークが、30歳代以下には、全くさっぱりでしょ?

映画は、そんな彼女が出所して、妹と空港で対面するところから、静かに始まります。妹はんと申しましても15年も会っとりませんが、ムショに面会には来てはるので、大たいはお互い分かるわけでおます。

そのお姉さん役で、ムショ帰りの一匹女オオカミに扮しますは、写真右のクリスティン・スコット・トーマスはんです。えー、誰やら、知らんでという方に、ちょっとだけお話しますと、イギリスの女優さんでありまして、アカデミー作品賞をゲットした「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年製作)で、不倫しやはる悩ましい人妻役を演じはりました。

先頃、逝去した「慕情」(1955年)のジェニファー・ジョーンズさんみたいに、往年のハリウッド恋愛映画女優を思い出させてくれはる、演技をば見せてくれはりました。

そのスコットさんがあれから13年。円熟の演技で魅せてくれはります。妹やら母とのキズナ描写も心をそそりますけども、特に「私はここにいる」のラストのセリフが、強く深く心にきよります。

ちょっと横道にソレよりますが、映画に関するセリフがありまして、「日本映画は眠たくなる」と登場人物に言わせるシーンがおます。その前に、黒澤明についても、「クロサワ」のセリフが出よります。また、シェークスピアとシルベスター・スタローンについての話もジョークで出よります。気になったのは、フランス人のハリウッド映画や日本映画に対する思いでありました。

いや、むしろそれは、文学小説家として有名なフィリップ・クローデル監督の、個人的な思いなのかもしれません。小説家が映画監督をやるというスタイルは、今までいろいろありました。ただ、そんな中でも、本作は散文的ではあるとは思いますが、映画へのこだわりや、演出のさりげなさなど、いろいろ見受けられます。

スコットさんの演技は当然見ものではありますが、そのあたりの細かいとこも、ビミョーに心の琴線にくるところでおます。傑作かどうかについては言及しませんし、みなさんにお任せいたしますが、僕的には、心に何かが残る作品ではおました。

2009年12月23日 (水)

台湾映画「海角七号 君想う、国境の南」

「海角七号(かいかくななごう) 君想う、国境の南」http://www.kaikaku7.jp

12月26日(土)からシネスイッチ銀座で、2010年1月上旬から梅田ガーデンシネマ(http://www.kadokawa-gardencinema.jp)で、ザジフィルムズ社とマクザム社の2社共同配給によりまして、全国順次、感動のロードショーしよりまんねん。嗚呼、ポテチン。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo 写真を見ますにPhoto_2、何かええ感じやわー。

Ⓒ 2008 ARS Film Production. All Rights Reserved.

みなさん、これまで台湾映画って見たことありますでしょうか。見たことおへん、なんておっしゃられる方こそ、コレを見なけりゃシネマ(死ねま)へん。

台湾本国で、何とまあ、あの「タイタニック」(1997年製作)に次ぐ、歴代2位の大ヒットを記録した映画でおます。しかも、正真正銘の台湾製作映画でおます。つまり、日本でゆうたら、「千と千尋の神隠し」(2001年)みたいなもんでおます。

いろんな娯楽の要素が、いっぱい詰まっとります。音楽映画、群像劇、ラブ・ストーリーなど。そのラブ・ストーリーも、2パターンにて魅せていただけますよってに、コレはもう見てもらわんことには、どないしようもござんせん。

日本から台湾の田舎町へ、ミュージシャン中(あたり)孝介クンがやってくることに相なりまして、それを迎える町としては、その前座を、町内会の即席バンドで対応しようといたします。

中孝介は、知らない人もおられるかもしれませんけど、「火天の城」(2009年)の主題歌を、素晴らしき歌唱力で歌わはった、日本のJポップ界のエースでおます。特に、バラードの威力がスゴイッす。この映画では、そんな中クンだけが、実在の人物として登場いたします。その意味では、音楽ドラマ映画でも、音楽ドキュメンタリーのフレイバーも入ってござります。

取りあえずは、町おこしや~っちゅうことで、下はローティーンのキーボーディスト少女から、上は80歳の死にかけの月琴弾きの自称・国宝級ご老人まで、6人が集められよりまして、リード・ボーカルが若手20代の主人公という編成でおます。

こんなんで、ホンマに大丈夫なんかいな、な感じでおますが、練習ではハチャメチャなのに、本番ではコレが実に素晴らしいのでござります。16ビートロックにバラード、でもって、月琴によるシューベルトはんの「野ばら」ですわ。出来すぎでおます。

しかし、老若男女のどの世代でも、登場人物の誰かに感情移入できそうな作りでありまして、だからこそ国民的大ヒットへとつながったんやろなと、僕は勝手に分析しよります。

でもって、メイン・エベントは、ラブ・ストーリーでおます。台湾で大ブレイク中の日本人女優の田中千絵チャンが、本国でミュージシャンとして大ブレイク中のイケメンの主人公、ファン・イーチェンとフォール・イン・ラブと相なります。

一方で、第ニ次大戦で敗北し台湾から帰還する日本人の、現地の別れた恋人へ宛てた手紙の朗読が、つまりナレーションにより、随時披露されていきよります。この場面は薄ブルー・トーンで披露されます。

この2つの恋愛が結びついた時に、大いなる感動がやってまいります。ラストシーンには、僕は思わず号泣いたしました。コレは台湾版邦画「君の名は」(1953~1954年)と言えるでしょう。ちなみに、「君の名は」は、「ゴールデンウイーク」の言葉が作られた、日本の映画黄金時代1950年代に、最も売れた作品であります。

とにかく、とっても楽しめるステキな映画でおます。

2009年12月19日 (土)

映画「黄金花 -秘すれば花、死すれば蝶-」

「黄金花 -秘すれば花、死すれば蝶-」http://www.airplanelabel.com/ougonka/

2010年1月9日(土)から、太秦配給により、大阪・十三(じゅうそう)の第七藝術劇場にてロードショー後、全国順次ロードショーでおま。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ougonka_main Ⓒ PROJECT LAMU / UZUMASA

老人ホームドラマの傑作が出てきよりましたでー。最後を静かに迎えようやんかでは、フランス映画「旅路の果て」(1948年日本公開)とか、また元気老人の犯罪ものやったら、邦画「死に花」(2004年製作・公開)なんかが出ておりま。

でもって、コレは、松坂慶子おネーさまが、「嘘とホントの混ぜ合わせ」ってゆわはるように、フィクションとノンフィクション、それらを自在に行き来する、ユニークなアート映画となっております。ちなみに松坂はんが主演した、かつての名作「蒲田行進曲」(1982年製作・公開)もまた、この混ぜ合わせでおました。

「丹下左膳」がどないしたやら、「生きるか死ぬかそれが問題だ」などシェークスピアの「ハムレット」吟じる川津祐介やら、松原智恵子やら、元日活系の方々も多数出演しよりまして、群像劇としてのオモロサもあります。

「平行線はやがて交わる、宇宙はゆがんでいるのだ」やらのセリフや、サブ・タイトルのキー・ポイントになっとります、能楽の巨匠・世阿弥の言葉「死すれば花、蝶」など、オモロイ・セリフも満載でおます。

でも、最もハイライトになっとりますんは、写真の原田芳雄はんのエピソードだす。大学時代の恋人との逸話が流れよりまんねん。その恋人はどうやら不治の病で死んでしもたらしく、そのあたりは「セカチュウ」ともシンクロしよります。

クライマックスは、字幕入りサイレント映画ノリで展開しよります。しかも、流れに合わせてサントラ使いがコロコロ変わりよるんです。「おくりびと」やらで有名なチェロ→雅楽→交響曲→ピアノ入り往年の日活ギャング・アクション系の音→バイオリン→ネクラ系フォーク節→ラストはピアノに乗った低音ハミング→ロック寄りバンド・サウンドなんて感じで続きます。

「劔岳 点の記」で気を吐かはった木村大作監督と、シンクロさせるわけやおまへんのやけど、W木村と呼びたくなるくらいの、最長老監督デビューのギネス認定・木村威夫(たけお)監督の第2作目でおます。キムタクならぬ、思わずキムタケと呼んで拍手喝采したくなる、映画でおました。

2009年12月18日 (金)

「映画レイトン教授と永遠の歌姫」

「映画レイトン教授と永遠の歌姫」http://www.layton-movie.jp/

12月19日(土)から、東宝配給によりまして、全国東宝系にてロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo 1 ⒸLEVEL-5/Team Layton 2009

ゲーム原作のアニメーション映画でおまして、ゲーム・シリーズからの映画編スライドとなりました1編でおます。

映画は英国人ばっかし出ておりますが、声優はシッカリ日本人でおます。主人公のレイトン教授は、大泉洋です。あのちょっと突き放したみたいな渋い声で、胸キュンになる方もおられることでありましょう。

レイトン教授の助手役ルークは、堀北マッキー、堀北真希ちゃんであります。ルーク君は少年ですので、少年声です。でも、堀北ちゃんはようガンバってはります。応援したってくだされ。

ナゾトキが触れ込みになっとります。英国ならば「シャーロック・ホームズ」の探偵ホームズ・助手ワトソンのノリと、日本の江戸川乱歩が作りました「少年探偵団」なんかのノリが、ほどよくブレンドされとります。

本格的なナゾトキというよりは、超常系でもありますゆえ、「ハリー・ポッター」みたいなノリでもあります。でも、シッカリした謎解き部もあるよってに、「名探偵コナン」のノリもあるとみておくんなはれ。2

スケッチとか水彩画みたいな、薄イロな配色であります。青とグリーンの空、見る方向で違う空色、星が散らばるダークブルーの空など、空色の使い方一つからして、目に優しい配色でおます。家族みんなで見るのに、ピッタリの1作になっとります。

サントラにも注目してやー。声優でも参加してはります水樹奈々ちゃんと言えば、オリコンで1位になった実績を持ってはる方でおます。歌唱力はおスミ付きの実力派でおま。この方が、海やら星やら太陽やらの歌を披露します。記憶コピーの多彩楽器も登場しまんねん。

アニメとしての面白さはもちろんなんやけど、それ以外のところにも、注目して見られる映画でんねん。

2009年12月17日 (木)

映画「ウルルの森の物語」

「ウルルの森の物語」http://www.Ululu-movie.jp

12月19日(土)から、東宝配給により、全国東宝系にてロードショー(ビックリ・マーク)しまんねん。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Photo Photo_2Ⓒ2009「ウルルの恋の物語」製作委員会

正真正銘、まさにド真ん中のストレート・ファミリー映画でおます。

見ているこちらも、ハートで打つ場合も、まさに、ドカーンとハート・バットの芯に当たりまして、場外ホームランでおます。

しかも、父親に扮してはります、2時間ドラマのエース、船越英一郎はんやら、マタギやってはる長老俳優の大滝秀治はんやらが、写真に写ってはる2人のコドモ店長と次店長ちゃんに、大いに説教しやはりまんねん。いわゆる、なんちゅうの、教育映画ですか、まあ、そんな側面もございます。

でも、写真に写ってはる、父の妹役に扮します、フカキョンこと深田恭子お嬢は、そんなに説教はやらはりません。自分がやられる方に回ることはあっても。

そして、写真に写っておます、子犬みたいな狼でおます。もうこの世にはおらんと思われとります、北海道産のエゾオオカミでおます。野生系の動物と戯れて交流するっちゅう映画は、ディズニー映画始め、「野生のエルザ」(1966年製作)やら、大昔からいっぱいござります。

「野生のエルザ」はライオンでしたけれども、この子はオオカミでおます。「男はオオカミなのよ、気をつけなさーい」なんて、かつてピンクレディーが歌ってはりましたけども、オオカミはホンマは怖いんですわ。「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990年)なんかでも、ケビン・コスナーはんはだいぶ往生してはりましたわな。でも、この子はよう人になつかはるんですわ。ホンマかいな、そうかいな、でおます。

コドモたちや大人も含めまして、このオオカミ君との交流が、まさに家族一同で見に行くにふさわしい、大いなる泣ける感動で包まれております。でも、僕は泣きまへんでした。根性が曲がっとるのかもしれまへんが、実は僕は、全然違うところに目がいっておったのであります。

見る前でおます。「ウルルの森の物語」を「アデルの恋の物語」(1975年)の語呂合わせのように思たんです。「アデル」はフランスのフランソワ・トリュフォー監督の名作であります。多分、本作が映画初監督となる、長沼誠氏の映画への思いが込められた作品やと見たのです。

この長沼氏は日本テレビのディレクターでありますが、おそらく、映画監督を志していた方なのではないか。でも、1980年代には、もうその種の仕事の募集はありませんでした。そこで、テレビの方を希望されたんやないかと、勝手に推量するわけでおます。

そんなわけで、この映画は、ホンマに映画的な撮り方をしてはる映画となっております。

北海道の美しい風景も、空陸上下2分カット、夕景セピア、ブルーの海、グリーンの湖などで多彩に描き、アップも少なめで、全体構図をできるだけ捉えようとする意気込みが感じられよるんであります。

この映画魂が、作品の素晴らしさに貢献したかどうかは、みなさんのご判断にゆだねるといたしまして、僕自身は結構楽しめたっちゅうことです。

2009年12月16日 (水)

映画「誰がため」

「誰がため」http://www.alcine-terran.com/tagatame/

12月19日(土)から、アルシネテラン配給により、シネマライズにてロードショーいたし、その後テアトル梅田ほか全国順次ロードショーしまんねん。

文=映画分析評論家・宮城正樹

B

いきなりボクチンの決意表明でおます。一般公開を前にした映画を、毎日マスコミ試写室で鑑賞して、それでもって、毎日1作分析を続けようと思とります。さてさて、何日連続で続きますもんやら、分かりまへんし、世界記録が何日かも知らへんのですが、とにかく、新記録目指してガンバるでー。

というわけで、本日の映画解剖でおます。

デンマーク、チェコ、ドイツの合作やけど、第二次世界大戦中のデンマークが舞台ですよってに、デンマーク映画ですわ。しかも、第二次世界大戦のずっと隠されとった、ちゅうか、これまで映画で描かれへんかった秘密を暴露する映画ですねん。ほら、「カティンの森」とか「セントアンナの奇跡」とか、大戦秘話は2009年には結構公開されとるわけやけど、その真打ちの格好でのお披露目であります。

これが何とビックラこきました。まるでハリウッドのギャング映画のノリなんですわ。普通、ヨーロッパ映画で、戦争レジスタンスものを描くとなると、どうしても理屈っぽい暗~い感じになりよるんですね。それが全然ないんですわ。決してハッピー・エンドとは言えないのですけども、例えば「ゴッドファーザー」(1972年製作)とか、「スカーフェイス」(1983年)なんかのノリなんですよ。

クライマックスはとんでもない銃撃戦でおます。ナチスの軍隊VSビル内のたった1人の対決でおます。「ディア・ハンター」(1978年)のクリストファー・ウォーケンっぽい、エキセントリックな若手俳優、トゥーレ・リントハート君が、僕的には強烈な印象を与えてくれました。

アップ、クローズアップも多いのですが、ただ、映す方向違いのロングショットが、バランス良く配置されとるよってに、見やすい見やすい。もちろん、それだけやおまへん。

自然な光を使って映すシーンと、ダークな夜の室内シーンの対比効果が、クッキリハッキリしとるのには、ちょっと驚いたで。例えば、試写室の暗がりでは、明るいシーンでは腕時計の針が見えるけど、ダークな場面では全く見えない。中途半端に見えないのじゃなく、全然見えないのですわ。映画館でも同じやと思います。みなさんも映画館で、ぜひ試されてみはったらいかがでしょうか。

2009年12月14日 (月)

映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」http://Millennium.gaga.ne.jp

2010年、1月から、ギャガ配給により、シネマライズほか全国順次ロードショーでおます。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ミステリー小説の原作も素晴らしいからと言って、映画も素晴らしいとは限りまへん。つまり、活字と映像の違いってことやねん。でも、「羊たちの沈黙」(1991年製作)とか、たまにどっちもええやん、みたいな作品も出てきよります。でもって、コレはどないやねん、なのですが、原作を超えたとは申しませんが、原作の雰囲気やキャラクターをうまく引き出して、ええ線いっとります。

原作も映画もスウェーデン発です。スウェーデンのミステリー小説で思い出すのは、マルティン・ベック刑事が活躍する、ペール・ヴァールー&マイ・シューヴァル夫妻によるシリーズ(1965年~1975年発表・全10巻)があります。また、このシリーズは映画化もされ、僕としては、スクリーンではお目にかかれなかったのやけど、淀川長治が解説したテレビの「日曜洋画劇場」で見た記憶があります。原作よりも、よりハードで、ダイナミックなアクションがサクレPhotoツしておりました。

さて、コイツはどないか。コイツは、アクションはカーチェイスなんかが、あるにはあるのですが、原作の持っとる本格ミステリー色を、反映した仕上がりになっとります。だから、ハラハラドキドキのサスペンス度合いが高いわけでおます。

ミステリー的に分析いたしますと、ハードボイルド作品に多い失踪から始まる物語なのですが、プロセスをよく見てみますに、聖書にのっとり事件が起こる「セブン」(1995年)→ナチスが関わっていそうでは「オデッサ・ファイル」(1974年)→「コレクター」(1965年)「羊たちの沈黙」「模倣犯」(2002年)などへとシンクロしながら、意外な着地があり、どんでん返しがあるという展開です。

もう、これだけでも、えー、何やしらん、凄そうやんか~ですが、男女コンビの探偵キャラについて、特に女の方が、これまであんまし映画に登場せんかった、キャラクター設定になっとります。天才的なハッカーで、映像を完全記憶できる特殊能力を持ってはるんです。つまり、1度映画を見たら、完全に記憶できるわけでして、僕なんか絶対そうなりたいんやけど、それがなれまへんねん。なんせ、ボケが始まりかかっとりますもんで。

北欧の雰囲気を表現するために、薄い淡めの映像作りをしたり、照明をわざと入れずに、登場人物たちの表情の陰陽を際立たせたりと、撮り方もいろいろと工夫されとります。そういう工夫もありまして、2時間33分の長丁場をアッと言う間に見れてしもてん。公開日をお楽しみにしとってください。

Ⓒ Yellow Bird Millennium Rights AB, Nordisk Film, Sveriges Television AB, Film Ⅰ V rast 2009

 

2009年12月11日 (金)

新作映画試写室日記

「釣りバカ日誌20 ファイナル」http://www.tsuribaka-movie.jp

12月26日(土)より、年末年始・お正月ロードショーですねん。 

文=映画分析評論家・宮城正樹

西田敏行演じるハマちゃんと三國連太郎扮するスーさんが、ああ! たまらんくらいに素晴らしいフィナーレを迎え、しかもでんな、カーテンコールでヤンヤヤンヤの喝采を浴びるのです。これまでは、お盆前後に公開されとりましたが、ホンマに正月に家族みんなで見るのにふさわしいラストランであります。

しかも、最後にして初の北海道ロケでおます。北海道の釣りといえばイトウだす。この本格的な幻の巨大魚を釣るシーンが、遂に登場ですわ。ビックラこきました。ちなみに、今年公開された「釣りキチ三平」(「おくりびと」の滝田洋二郎監督作品です)でも、この魚について取り上げられましたが、それ以上のホンモノぶりが、画面からグイグイと伝わってきます。「釣りバカ日誌」の原点は釣りなのでありまして、そのあたりが最後に強烈に示されております。

また、原作コミックとして、最もポイントとなっとりました、釣りを通して、社長と平社員の立場を超えて2人が交流し、会社の人は誰も知らないけど、それを知っているのは身内だけというスタイルも、最後にもキチンと出てくるのです。この大不況期に、岸部一徳とサウナに行くだけで、何千億もの建設受注を取ってきたハマちゃんが、社長賞をもらうシーンがあるのですが、「ハマザキじゃない、ハマサキです」と、他の役員連中を尻目に、マイペースぶりを披露するところなど、ああ、こんなシーンも、もう見られないんやなー、と思うと、何やら感無量となったわけであります。

この作品が完成した時には、国民栄誉賞を得た森繁久弥氏は、存命中でありました。しかし、何と、ハマちゃんがいつも披露する宴会シーンで、森繁久弥氏の名曲「知床旅情」を歌う場面があります。何という偶然でしょうか。何かこう、因縁と申しますか、めぐり合わせと申しましょうか。山田洋次が脚本で参加しているだけに、山田洋次はひょっとして、天からの秘密の声を聞いたのかもしれません。

しかも、スーさん演じきった三國連太郎への敬意も、しっかり入っておるのです。三國氏の代表作に、1965年に公開された「飢餓海峡」があります。ここで、三國氏は北海道で犯罪を犯し本州へと逃げるのですが、その津軽上陸後のさまよいシーンみたいなんが、スーさん危篤の夢シーンで出てきます。でも、その夢は、最初は悪夢的ですが、三途の川を前にした、チャチャやルンバによるゴージャスなダンス・ミュージカルや、川釣りシーンなどで、コミカルに明るくなっていくのは、この映画のとっても楽しい、ハイ・ハイライト・シーンであります。笑って、泣いて、また笑って、しみじみ、たまりまへんわ、こりゃ。

新シリーズ、期待してまっせ、まっせ、まっせ、まっせの10乗でおます。

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