依頼殺人のおとり捜査
トゥルー・ストーリーの
犯罪コメディだ
9月13日のフライデーから、KADOKAWAの配給により、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマほか全国ロードショー。
本作は2023年製作のアメリカ映画115分。
文=映画分析評論家・宮城正樹
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★本作はKADOKAWA主催の試写会に招待されて鑑賞した。
恋愛映画、家族映画、コメディ映画
などに、普通じゃない実験的な
ところを必ず取り入れる
リチャード・リンクレイター監督
の新作。今度はノワール、恋愛、
コメディほか多彩なジャンルを
混成させながらも、
リンクレイター調へと帰結する
会心の1作。やや本当の話などと
最初に字幕で入れながらも、
実話とはとても思えない設定が
次々に出てくる。主人公
(グレン・パウエル)のナレーション
からして嘘っぽい。
主人公はニューオーリンズ大学で
哲学と心理学を教えながら、
副業で警察のおとり捜査を
やっていると言う。その内容は、
主人公は殺人請け負い人役で、
客からこれだけ払うから誰々を
殺してくれとの依頼を引き出し、
警察に逮捕させるのだった。しかも
客に合わせて殺人者キャラを
外見を含めて変えるのだ。
おとりもかなり風変わりで、普通の
おとり捜査の常識を超えている。
やがてセクシーな好みの女性
(アドリア・アルホナ)と出会い、
恋に落ちる。彼女は夫を
殺したがっているのだが…。
ここのところだが、
ラブコメ・モードと女ノワールもの
が微妙に合体したような展開で
進行していく。さらに、
夫が本当に殺されて物語は
ターニング・ポイントを迎える。
本作のプロデューサーでもあり、
監督と共同で脚本も書いた
グレン・パウエルのクールな佇まい
が本作のキーポイントに
なっているようだ。
お相手役のアドリア・アルホナの
悪女らしくない振る舞いや
セクシー度合いも、パウエルの
演技とマッチしていた。
意外な展開と着地に加え、
数年後のシニカルでハッピーな
エンディングも、A24チックな
アイロニカルを思わせてくれた。
リンクレイター監督らしさ全開の
怪作にして傑作だ。
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