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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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キネマ旬報2020年年間ベストテン予想

キネマ旬報2020年


年間ベストテン結果


☆予想(2020年年末)


●日本映画

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①海辺の映画館 キネマの玉手箱


(大林宣彦監督の遺作)

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②朝が来る


(来年の米アカデミー賞の


日本代表で送り出された作品)

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③浅田家!


(嵐のニノが主演した


写真家ドラマにして家族ドラマ)

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④マザー


(長澤まさみが


汚れ演技で魅せる)

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⑤スパイの妻


(ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞)

 

⑥罪の声


(グリコ・森永事件の今を描く)

 

⑦れいわ一揆


(原一男監督の長尺


ヒューマン・ドキュ)

⑧本気のしるし


(男女ラブの変型を


微妙・絶妙に描く)

⑨ラストレター


(福山雅治・広瀬すず共演の


岩井俊二監督作)

⑩さくら


(家族ドラマの問題作)

次点:男はつらいよ お帰り寅さん


(新・寅さんシリーズ第1弾)

 

●外国映画

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①パラサイト 半地下の家族(韓国)


(2019年アカデミー賞作品賞受賞)

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②TENET テネット(アメリカ)


(クリストファー・ノーラン監督の新作)

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③マーティン・エデン(イタリア)


(ブルーカラー作家の


ヒューマン・ドラマ)

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④ペイン・アンド・グローリー


(スペイン)


(ペドロ・アルモドバル監督の新作)

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⑤リチャード・ジュエル


(アメリカ)


(クリント・イーストウッド監督作)




⑥レ・ミゼラブル(フランス)


(カンヌ国際映画祭で受賞の群像劇)

⑦ロングデイズ・ジャーニー


(中国)


(中華映画のヌーヴェル・バーグ)

⑧はちどり(韓国)


(韓国インディーズ映画の今年の代表作)

 

⑨シラノ・ド・ベルジュラック


に会いたい(フランス)


(
演劇メイキング映画の傑作)

 

⑩1917(アメリカ)

 

(サム・メンデス監督の新作)

 

次点:フォード&フェラーリ


(アメリカ)(実在レースマンの実話)

●コロナ禍がカルチャーの


公開・上演部の全てを


奪ったといえる2020年。


試写室での試写も一時の閉鎖・


現況の制限された中において、


マイ・ベストテンの披露


(無理にでも年末に披露します)も


躊躇するんだけど、でもしか、


今年もキネマ旬報の、


邦画・洋画に分けた、


年間ベストテンを


マイ予想してみました。


自身が見ていない映画もあります。


そんな中での予想は


不遜ではあるけども、


みなさんの非難覚悟でやってみました。


見ていない作品は評判・


評価を基準にし、


見た作品はマイ評価のままに、


羅列してみたカンジです。


監督で選んだところも


あるんですが、各作品には


一口コメントを入れました。


ボク的には、邦画では②、


洋画では⑦⑧が印象深かった。

 

(選=宮城正樹)


●結果(2021年2月5日付け)


●日本映画

①スパイの妻<劇場版>

 

②海辺の映画館-キネマの玉手箱


③朝が来る


④アンダードッグ


⑤本気のしるし<劇場版>


⑥37セカンズ


⑦罪の声


⑧喜劇 愛妻物語


⑨空に住む


⑩アルプススタンドのはしの方


次点:れいこいるか


●外国映画


①パラサイト 半地下の家族


②はちどり


③燃ゆる女の肖像


④ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語


⑤死霊魂


⑥異端の鳥


⑦フォード vs フェラーリ


⑧ペイン・アンド・グローリー


⑨1917 命をかけた伝令


⑩TENET テネット


次点:レ・ミゼラブル


☆講評


●順位は別にして、


邦画・洋画で各5作ずつの


10本の的中。


50パーセントの的中率は、


映画評論家を標榜してる者としては、


決して誉められたもの


ではありません。


マイナー系の作品は、


コロナ禍の大阪とゆうところでは、


ほとんど見る機会がなく、


まあ言い訳であるのは


間違いありませんが、


見ようと思えば、


DVDででも見られたわけで、


自分の不徳とゆうところでしょう。


一方において、今年の


キネ旬年間ベストテンで


最も驚いたのは、


読者のベストテンで


邦画の1位になった、


故・三浦春馬の主演作


「天外者」が、評論家の方で


誰も投票していなかったことです。


う~ん、これは一体


どおゆうことなのか。


試写がなかったから


誰も見ていなかったのか、


それとも…。謎めきあるこの点が、


奇妙にも心に引っ掛かりました。


いずれにしても、今年は


100パーセント当てたいと思います。

 

 

 

2021年2月27日 (土)

「街の上で」⇒今泉力哉監督の新作

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彼女と別れた男が
 
ヨリを戻すまでの
 
フツーのお話だけど
 
年間ベストテン級の作品だ
 
 
「第16回大阪アジアン映画祭」(3月5日~3月14日)で上映(3月13日午後1時/ABCホール)後、4月9日の金曜日から、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル梅田ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作の日本映画130分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ「街の上で」フィルムパートナーズ

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彼女(穂志もえか)と

別れた主人公(若葉竜也)が、

3人の女たち

(古川琴音・萩原みのり・中田青渚)と、

会話だけの関係ながら、

濃厚接触をしてのちに、

彼女とヨリを戻すまでのお話。

女遍歴な主人公の話ではなく、

女に淡白な主人公が、

下北沢を背景に、

日々の暮らしを営んでゆく。

主人公の性格に合わせて、

まさに淡々と、

長回し撮影を多投して

スローリーなユルユル展開で

物語は進む。

下北沢ロケ映画は

ケッコーあるけど、

例えば、故市川準監督が撮った

群像劇「ざわざわ下北沢」

(2000年製作)のノリと、

何となく似ているかもしれない。

そこが下北沢らしい

人のあったかさなのだろうか。

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とはいえ、主人公を含めて、

個性的な女たちが登場する。

古書店に勤める古川琴音は

ナイーブながらクセのある役だし、

学生映画監督役の萩原みのりは

ちょっと今どき風にトンがってるし、

中田青渚は関西弁のおっとりながら

なんや知らんムムムとくるし、

穂志もえかは、悩んでいるようで

そんなに深くは悩んでないキャラで、

主人公の若葉竜也は、

流れのままにホワーンと漂流中。

今泉力哉監督の

アドリブっぽい演出ぶりは、

登場人物たちがキレず熱くならずに、

女からの一方的片思いを描いた

「愛がなんだ」(2019年・弊ブログ分析済み)

を踏襲しているようだ。

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さらりとした恋愛群像劇

「サッドティー」

(2011年・弊ブログ分析済み)も良かったけど、

特殊な恋愛系の「愛がなんだ」もいいし、

本作のような、なんやかんやあって、

結局元のサヤに収まる

タイプの恋愛映画も、

映画的に粋なんやあーりませんか!

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そんな中で、「愛がなんだ」の

クセ者演技派俳優、成田凌が、

サプライズに関わる

演技を披露している。

今泉監督の最高傑作だった

「愛がなんだ」を、

本作は超えたと、

私見では言いたい。

いろいろ意見はあるだろうけど、

本作には、優しさとかゆとりや

和みがあった点において、

今の時代に見るに、

ふさわしい作品だと見た。
 
そして、今年のベストテン級の

作品だ。

2021年2月25日 (木)

「ターコイズの空の下で」

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柳楽優弥主演の海外合作映画
 
モンゴル・ロードムービーの快作
 
 
2月26日の金曜日から、新宿ピカデリーほか、3月12日からシネ・リーブル梅田、アップリンク京都など、全国順次のロードショー。

本作は、日本・モンゴル・フランス合作による本編95分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

ⒸTURQUOISE SKY FILM PARTNERS/IFI PRODUCTION/KTRFILMS

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柳楽優弥主演による、

モンゴル・ロードムービー。

かつて弊ブログでは、

ロードムービーのベスト&カルト

などを披露したし、ロードする人の

組み合わせ別のベストも披露した。

追いつ追われつな西部劇や

サスペンスを除く、

ロードムービー映画となれば、

これまでにいろんなパターンがあり、

ある意味ドラマティックであり、

波乱に満ちた展開と共に、

いろんな人たちとの出会いと別れ、

そして何より一緒に

旅する者とのキズナが、

映画の大きな感動を呼ぶ。

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カンヌ国際映画祭主演男優賞を

受賞したデビュー作

「誰も知らない」(2004年製作)の

ぶっきら棒節だったり、悪役もある

ワイルドかつバイオレントな演技で

魅せ続けてきた柳楽優弥が、

今回はモンゴルへ行き、

モンゴル人案内人とロードしながら、

癒やしの自然と

人々との出会いによって、

丸くなってゆく姿を、

さわやかささえ感じさせる

新機軸の演技で魅せてくれる。

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祖父の社長から、

終戦後にモンゴルで生まれた

自分の娘を探しに行ってくれ

と言われ、柳楽優弥は

旅費は出してくれるとのことで、

観光気分で現地へと旅立つ。

バン、馬、スクーターなどと

引き継いで旅するが、

途中で案内人がリタイアする事態に。

太鼓と民族楽器の弦楽器の

演奏に乗った独特な踊りとか、

ターコイズ色や水色の空の下、

荒野や草原を馬で行く、

映画的なロングショットなど、

随所にフック的見せどころを

示しつつ、人探しの旅は展開する。

柳楽は果たして祖父の娘、

自分の叔母に会えるのか、注目だ。

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そんな中で、柳楽と

妊娠中のモンゴル女との出会いは、

本作のキモともなる

重要なシークエンスとなった。

主人公の人生観や

人間観が変わる瞬間を、

ぜひとも体現していただきたい。
 

2021年2月24日 (水)

こんな恋愛「写真の女」もあり!

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インディーズ映画の心意気を示す
 
こんなラブストーリーもいいね~
 
 
2月27日の土曜日から、第七藝術劇場ほか、全国順次のロードショー。

本作は2020年製作の日本映画89分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2020「写真の女」PYRAMID FILM INC.

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日本のインディーズ映画

(自主製作含む)は、

コロナ禍の今は別にして、

毎年多数の作品が作られてきた。

しかもかなりの作品が、

公開待機中もしくは、

お蔵入りなんてゆう

憂き目に遭っている。

そんな中で、

単館系公開だとしても、

公開される選ばれた作品には、

低予算の中でも目を瞠る、

オリジナリティー度の高い

作品が多く見受けられる。

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ゾンビ映画のメイキング映画

とゆう、新しさを打ち出した

「カメラを止めるな!」

(2018年)の大ヒットにより、

インディーズ映画への注目度が

増したのは現実としてあったが、

その後が続かない状況にある。

コロナ禍になってはいやはやだが、

しかし、それはあくまで

言い訳にすぎない。ただ、

本作なんかを見させてもらうと、

やはりインディーズ映画

捨てたもんじゃないぜと

思える仕上がりになっていた。

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「カメラを止めるな!」の、

映画カメラ撮りではなく、

写真カメラ撮りのお話である。

写真館を営む、喋れない主人公

(永井秀樹・

劇団「青年団」所属)が登場。

見合い写真など、写真修正も

売りにしている写真館だ。まずは、

そんな主人公の、

働いて下宿に帰って銭湯に行って、

カマキリ飼ってなユニークな

とこを見せつつ、

サイレント映画ノリで

日常が映される。

何げない日々だが、

ある日森へ昆虫散策に行って、

ヒロイン(大滝樹=いつき・

バレエダンサー兼女優)と

運命の出会いをするのだ。

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胸に傷ある彼女を

撮り続ける主人公。

「ピアノ・レッスン」

(1993年製作・オーストラリア)や、

ある種のセクシャル映画に見られる、

女への偏執的かつ不器用な愛が、

本作ではある意味、

ストイックにナイーブに

描かれてゆくのだ。対して、

ヒロインは自分のSNS上の写真に

一喜一憂しながらも、

基本はあっけらかん。

「くるみ割り人形」に乗って踊る

ミュージカル・シーンもあって、

好感度あるたたずまいで魅せる。

恋愛映画の新たな側面を見せる本作。

泣ける切な感を排した

作りが渋い快作だ。
 

2021年2月23日 (火)

「ミス・フランスになりたい!」

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ジェンダー映画の

画期的な1作
 
ユーロ映画らしいユーモアも
 
 
2月26日の金曜日から、彩プロの配給により、シネスイッチ銀座ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2020年製作の、フランス映画107分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020 ZAZI FILMS - CHAPKA FILMS - FRANCE 2 CINEMA - MARVELOUS PRODUCTIONS

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ゲイやドラッグクイーンや

性同一性障害や

ジェンダー映画など、

その種の映画は

1ジャンルと思えるくらい、

かなりのタイトル数が

これまでに輩出されている。

「ボーイズ・ドント・クライ」

(1999年製作・アメリカ映画)

のように、それによって

虐待される悩み深いものから、

同時期に製作された

「オール・アバウト・マイ・マザー」

(1999年・スペイン)のように、

ジェンダーな母を探してな、

芸術的に昇華する映画もある。

そんな中で本作は、

「Mr.レディ Mr.マダム」

(1978年・フランス&イタリア)

のように、コミカルで飄々

安心して、見られるような

ジェンダー映画となった。

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軽みのカルチャーだと言えるけど、

その種の映画をあまり重々しい

感じで見たくない人には、

ピッタリフィットな映画になった。

何しろ誰にでも分かりやすくて

普遍的な、夢を追いかけることの

素晴らしさを伝える映画なのだから。

ジェンダーものとは違うけど、

男の子がバレエを目指す

「リトル・ダンサー」

(2000年・イギリス)にも似た、

キャラ的に応援したく好感を

覚えるような作りになった映画だ。

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主人公の男の子が、

ミスコンで優勝したい、

なんてゆう将来の夢を話す

シーンからこの映画は始まる。

一方で主人公は

ボクサーになるための

練習もしていた。同じくボクサーとして

有名になった同期の男とのやり取り。

ボクサーとミス・フランスとゆう、

極端だけど、この段差によって、

物語はすごく弾む感じに

なってゆくのだ。そして、

女として挑んだ

ミス・ユニバース・フランスの

地区大会・前哨戦で1位となり、

最終選考の権利を得た主人公。

ジェンダーを明かさないけど、

女性としてのプライドを

随所で示すシーンが胸にクル。

そして、ミスコン決勝大会に

堂々進出した主人公は…。

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歌ものナンバーが次々に流されてゆく。

キャッチーなナンバー、

ダンサブルなナンバーに加え、

哀愁の胸にクルナンバーまで、

サントラ使いの妙にも魅せられる。

重みを排し、ジェンダーの

前向きな生き方を示す映画になった。

普遍的な人間の誇りへと通じる

作りが好感を覚える作品だ。
 

2021年2月18日 (木)

柄本佑主演「痛くない死に方」⇒年間ベストワン級だ

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高橋伴明バンメイ監督の

最高傑作の登場だ
 
医者ヒューマニズム映画の

年間ベストワン級の映画だ
 
 
2月20日からシネスイッチ銀座ほか、3月5日からテアトル梅田ほか、渋谷プロダクションの配給により、全国順次のロードショー。上映時間は112分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ映画「痛くない死に方」製作委員会

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高橋伴明(バンメイ)監督の最新作。

彼の最高傑作とゆう、

我が分析だが、コロナ禍中の

医療逼迫の今だからこそ、

分析すべき

医者ヒューマニズム映画を、

監督は撮ってきたのだ

とゆうことで、順位通りに、

医者ヒューマニズム映画

(患者側も含む)の

マイ・ベスト・ファイブと、

バンメイ監督作品の

ベストを披露してみよう。

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●医者(患者含む)映画編⇒

①白い巨塔

(1966年製作・モノクロ)

②カンゾー先生(1998年)

③本作

④本日休診(1952年・モノクロ)

⑤病院へ行こう(1990年)

●高橋伴明監督作編⇒

①本作

②愛の新世界(1994年)

③TATOO<刺青>あり(1982年)

④光の雨(2001年)

⑤丘を越えて(2008年)


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●まずは医者編。

医療ミスの裁判沙汰になる

逼迫系の①や、

コミカル・モード入りの

④⑤とは違い、

シビアと軽みを飄々と

混成して見せたのが本作だ。

本作医者役主演の柄本佑の父親

柄本明が主演した

今村昌平監督の②とも通じるが、

広島原爆を背景にした②とは違い、

コロナ禍に翻弄される前だが、

21世紀の最新版を

描くところである。

現代の医療状況や在り方を

描くことが今、

どれほど重要であるかを、

本作は示しているようだ。

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続いて、バンメイ監督編。

学生たちとのコラボは別にして、

実話系の映画をおのが

映画作家性を駆使しながら、

リアルに撮ることが多い、

バンメイ監督だが、鈴木砂羽が

キュート(!?)だった②を除いて、

その種の力作が上位にきた。

キネマ旬報の年間ベストテンでいうと、

まだ未定の本作と⑤以外は、

ベストテンに入っている。しかし、

本作は1位が狙えるような映画に

なったのではないだろうか。



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在宅医療患者を診る

主人公医師(柄本佑)が登場する。

そして診るのは、

前半は娘役・坂井真紀と

末期がんの父親。後半は、

大谷直子が妻役の

末期がんの夫役・宇崎竜童だ。

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主人公が在宅医療について、

相談する医者役には、

奥田瑛二が扮した。

本作の原作者で同日紹介の、

ドキュメンタリー

「けったいな町医者」の

主人公・長尾和宏だ

原作者本人が登場するのではなく、

その役柄としてプロの役者が

キャスティングされるのは

非常に珍しいのではないか。

「おくりびと」(2009年)で

クローズアップされた

余貴美子の看護師役も、

目立たないけど印象に残った。

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何はともあれ、

柄本佑の飄然・冷静沈着な

医者ぶりは、捻り系の多い柄本明の

演技性と比較するなら、

人による好みの上で

どうだろうかだけど、

ボクは個人的には

②の柄本明演技より

僅かながら上だと思った。

ヤケクソ犯罪者を演じた

③の宇崎竜童が、死を前にして
 
渋枯れの演技を披露して

メッチャ胸にきた。
 

ドキュメンタリー「けったいな町医者」

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ドラマ映画「痛くない死に方」の

奥田瑛二の
モデルとなった

町医者のドキュメンタリーだ
 
 
2月13日からシネスイッチ銀座ほかで上映中。

関西では、2月26日から、なんばパークスシネマ、京都シネマ、神戸国際松竹、塚口サンサン劇場ほかで上映。

配給は渋谷プロダクション。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ「けったいな町医者」製作委員会

Ⓒ「痛くない死に方」製作委員会

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兵庫県尼崎ことアマの

ユニークな町医者・長尾和宏の

日々をドキュメントした映画。

本人が原作の、

医者ヒューマニズム映画

「痛くない死に方」

(本日付けで本作と同時紹介)の、

助演を演じた奥田瑛二

(写真上から5枚目)の役柄の

モデルとなった。医者映画は

ドラマ・ドキュに関わらず、

医者のヒューマニズムが

クローズアップされて、それが

正義感あるヒロイズムを

生んでいることが多い。

あの人口に膾炙した

「白い巨塔」でいえば、

ドラマ的には脇役となる医者が、

善なる医者ヒューマニズムを

披露していた。

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本作もドキュながら、

医者の人間性に肉迫したドキュだ。

患者とのやり取りには、

ユーモアあふれる和みや

人情節があるけど、やはり

見ていけば、正義の味方的

医者の在り方が、そこはかとなく

漂ってくるのである。主人公が

1人紅白をホールを借り切って

開催し、患者たちに見せる

なんてゆう、ユーモアチックな

ところもあっていい。

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いろんな患者との診療を見せるけど、

メインは在宅医療の在り方だ。

医者ドキュメンタリーでいえば、

「人生をしまう時間(とき)」

(2018年・弊ブログ分析済み)や

「精神O」(2019)などの、

高評価なドキュと

相関する映画だといえる。

また、シビアにいえば、

薬に頼らない治療、

医療とは往診であるなどの、

確固とした

医者としての信念があり、

それがあったかでユーモアある

往診シーンのそこかしこに

見え隠れしていく。患者に

患者の好きな八代亜紀の歌を

歌わせるシーンなど、まあ、

他の医者にはまずないとこだろう。

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「痛くない死に方」で

主演した柄本佑が、

本作のナレーションを担当している。

誠実で真摯なナレートぶりは、

主人公の演技ぶりと

カブってくるようだった。

ラストロールで流れる、

玉置浩二がリード・ボーカルの

「安全地帯」のバラードも、

映画の余韻を深めていた。
 

2021年2月16日 (火)

渋い感動作「めぐみへの誓い」

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横田めぐみ拉致の
 

謎に迫る映画だ
 
両親の想いが
 
胸にクル仕上がり
 
 
2月19日の金曜日から、アティカスの配給により、池袋シネマ・ロサ、秋田・AL☆VEシアターほか、全国順次のロードショー。

本作は2020年製作の、日本映画102分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ映画「めぐみへの誓い」製作委員会

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1970年代の北朝鮮の

日本人拉致問題とゆう社会問題を

リアルに描いた映画。

なんてゆうありふれた言い方が

こそばゆくなるくらい、

実直に誠実に事件のその後を、

現実と虚構をないまぜに

描き出したシビアな映画である。

横田めぐみ拉致問題は、

今や誰もが知っていて、

今の状況がどんなもので

あるのかも知られている。

拉致問題で最も関心の高い

彼女の謎に、ミステリアスに

サスペンスフルに挑んだ映画だが、

その虚構部が

いかに説得力があるかが、

注目を集める1作となった。

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いわゆる、迷宮入り事件の今を

描いた映画に、本作は相当する。

例えば、昨年ベストテン級の映画

となった、グリコ・森永事件を

描いた「罪の声」

(弊ブログ分析済み)などと、

裏向きにはリンクするが、

表向きはかつて撮られた

ドラマ映画や

ドキュメンタリーなどと、

ストレートに相関する映画だろう。

しかし、それらの「めぐみ」系映画

とは大いに違っているのは、

「罪の声」にもあったように、

想定部の謎解き部分である。

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特に、本作では

めぐみ拉致だけでなく、

拉致被害者・田口八重子と、

1987年の大韓航空機爆破事件を

起こしたキム・ヒョンヒとの

エピソードを描いた点だろう。

その2話がリンクした時には

ウーンと唸れる想定になっている。

さらに、娘めぐみの拉致問題を

訴え続ける横田滋・早紀江の

両親・夫妻の想いに、

真実の姿とはいえ、かなり

ココロ揺すぶられる

作りになっていた。

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久々に見た、横田滋役の原田大二郎。

なりきり型演技は

近々の実像だけに、

モロに比較されるゆえに

難役だと言えるが、

重々しさはあるけど飄々と

軽々と演じていたのが

印象的に映った。

「モルエラニの霧の中」

(2月2日付けで分析)にも出ていた、

先頃逝去した小松政夫の

チョイ役のシブミや、

「日本独立」

(昨年12月17日付けで分析)に続く

大鶴義丹の妙演など、

目立たないところでの

渋演技がグッときた。

めぐみの過去のセピアな

家族シーンや夢シーンを含め、

家族との再会を願うシーンの

いくつかのところもまた、

直球のお涙ちょうだいとは違う、

稠密な感動系ノリを作っていた。
 

2021年2月11日 (木)

「BOLT」⇒永瀬正敏主演・林海象監督の新作

Bolt
「Fukushima 50」よりも

絶対面白い!
 
福島原発映画の問題作だ
 
 
2月13日の土曜日から、シネ・ヌーヴォで全国順次上映。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ林海象、ドリームキッド、レスパスビジョン

Bolt1

監督デビュー作

「夢みるように眠りたい」

(弊ブログ2月4日付けで分析)の

デジタルリマスター版が公開中の、

林海象監督の7年ぶりの新作。

3話オムニバスだが、

林海象組のスター俳優・

永瀬正敏を主演にした会心作。

東日本大震災を採り上げた、

ドラマ映画はこれまでに多数ある。

実話をベースにした大手の大作

「Fukushima 50」

(以降「50」と表記)と

リンクするところはあるが、

「50」に主演していた

佐藤浩市が司令塔の声を

担当していた接点はあるものの、

原発冷却水漏洩をどう処理するのか、

その命懸けの任務を

リアリティーある具体的な

緊張感を持って描いたところは、

「50」を上回っていた。

Bolt2

それだけじゃない。

原発の後遺症やその後なども、

キチンと描いているのも

好感がある。地震直後の

原発爆発防御任務の

第1エピソード「BOLT」。

それに続く、避難指定地区に

住み続けて亡くなった老人の

あと処理のお話「LIFE」。そして、

100ミリシーベルトの男となった

永瀬正敏と死んだ妻との再会を、

謎めいたミステリー色の中で描く

「GOOD YEAR」へ。

Bolt3

美術監督ヤノベケンジによる、

高松市美術館に作り上げた

原発セットでの撮影など、

映画のリアリズムを完璧に

魅せるところが強烈だった。

第1話における、永瀬を始め、

「夢みる」の佐野史郎などの

原発作業員役たちの、

「50」と退けを取らない

逼迫の演技性の凄み。でもって、

その後の永瀬のトラウマを見せる、

抑制された巧妙かつ複雑な演技。

見事だった。

子守唄のように鳴るパーカッション、

「アベマリア」など、

サントラ使いも良かった。

Bolt4

東京では昨年の12月11日に公開され、

関西公開は今年なので、

昨年作品と見られた本作は、

キネ旬年間ベストテンでは、

下位ランクにはなったけど、

そこんところは全くもって、

どうでもいいところだろう。

年末公開のためちゃんとした

評価がされなかった作品。

そんな作品なんて

これまでに何百作もあったからね。

とゆうことで、投票してた

人たちが全員見ていたなら、

ベストテンに入っていた作品だ。

それが嘘か真か、

映画館にてご確認ください。
 

「君の名は(総集編)」

C1954

アニメのあの作品じゃない

 

でも同じくらい大ヒットした


実写恋愛映画だ

 

http://cinenouveau.com/

 

松竹映画100周年「松竹メロドラマの系譜」の特集上映(2月6日~3月26日)の1本として、シネ・ヌーヴォで


2月14日午後1時5分・2月15日午後3時5分・2月16日午後11時・2月17日午後3時5分・2月18日午前11時20分に上映。


本作は、1953年・1954年製作のモノクロ日本映画185分。


文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Omote

基本はラブストーリーなのである。


メロドラマの特集となっているけど、


メロってそもそも何?


メロメロになるような恋愛映画か。


いや、そうじゃない。


メロはメロディ
ーの略称のように、


いわゆる音楽を意味している。


音楽入りのドラマとゆうのが、


ユーロの演劇界から


起こった言葉なんだ。でもしか、


そんなサントラ入りのドラマが


ラブストーリーになるなんて、


どおゆうことなの?なんて


思うでしょ?それはそれ。


そんなのは関係なく、


ヤッパメロメロになれるような


恋愛映画ってことにしとこう。


とゆうか、本作なんか、ヤッパ


メロメロとしか言いようが


ない映画なんだ。しかも、


すれ違いから始まった


三角関係ドラマ、不倫ドラマ


とゆうテイストで、今ある


恋愛ドラマの原型がほとんど


取り揃えられた感のある


映画なのである。


中井貴一のお父さん


佐田啓二が、岸恵子と、


戦中の東京空襲で出会い、


数寄屋橋で半年後に


再会を約したけど、


彼女は現れなかった。でも、


彼女は彼を探して、


彼の三重県の実家まで訪ねるのだ。


でも、不発。でもって、


一緒に探しに行った男と


結婚しちゃうんだ。おいおい。


ところがどっこい、


だんなの勤める会社に彼がいて、


姑との仲も良くない岸恵子は、


佐田啓二と再びってなことになり、


第二部では北海道、


第三部では九州と、話は


日本の南北に大きく


広がっていくのでありました。


傑作として評価の高い、


「また逢う日まで」


(1950年製作・モノクロ)や


「浮雲」(1955年・モノクロ)


などの
ラブストーリーと


リンクするとこはあるんだけど、


すれ違い系をかなり強調し、


最後には病系などを取り入れて、


2人がなかなか結ばれない、


もどかし系の恋愛映画として、


鉄壁(!?)の映画であった。


アニメで大ヒットした


「君の名は。」(2017年)も


すれ違い系のもどかし


恋愛だったから、そういう映画が


日本人には合っているのだろうか。


さてはて、「鬼滅の刃」のヒットが


話題になっているけど、本作こそ


これまでの日本映画で


イチバンヒットした作品の


1作になるのではないか。


当時と現代の金銭の違い


だけでしかない。公式的ではないが、


過去最高に売れた


(動員数含む)日本映画として、


市川崑監督の「東京オリンピック」


(1965年)を
挙げる人もいる。

何はともあれ、


実写映画のラブストーリーとして、


日本で最も売れた作品が


本作だと、言っておきたい。

 

2021年2月10日 (水)

中国映画「春江水暖~しゅんこうすいだん」

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三世代家族を稠密に描く
 
映画芸術の粋で魅せる家族映画
 
 
2月11日の建国記念日から、ムヴィオラの配給により、Bunkamuraル・シネマほかで、2月19日からテアトル梅田、京都シネマほか、全国順次のロードショー。

本作は2019年製作の中国映画150分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

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家族ドラマ映画は各国から、

イロイロ出てきていて、

名作の宝庫でもある。日本なら、

家族映画こそが日本映画の

名作であった時期さえあった。

でもって、本作は中国映画だ。

中国の家族映画は、

イロイロ取り上げてきたけど、

大家族系の家族ドラマ、

そこに加えて、大河系に

なっている映画とかはあったけど、

本作は、息子たちが独立した

バージョンを含めて、

三世代家族を捉えている。

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多彩な家族ドラマが世界中に

いっぱいある中において、本作の

一番の特質部は何かといえば、

それは第七芸術映画として、

家族映画を撮ったところにある。

アート映画として

家族映画を撮るとゆうのは、

かなりハードルの高いところである。

しかし、グー・シャオガン監督は、

デビュー作にしてその高き

ハードルに挑んでみせた。

ヨコ移動撮影による、

ロングショットによる

長回し撮影など、随所に

映画作家性なアプローチを

繰り出している。

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問題は、それがスムーズに

分かりやすく、ハマッているかだが、

ギリシャのテオ・アンゲロプロス作品

のような催眠性を催すことなく

確かに流れは淀みなく

見られるようにはなっている。

ただ、アップが極端に少ないので、

家族間の関係とかが

分かりにくいところがある。

ロングショットだと、

誰が喋っているのか

とゆうとこもありで…。だが、

こんな撮り方や作りが、

徐々に癖になってきて、

ウーンとくるようになっている。

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いずれにしても、

映画芸術の粋で魅せる、

家族映画は稀少である。

中国の一地方都市の

自然美を織り交ぜながら、

アルツハイマーな母、4人の息子、

恋人のいる孫娘などが、

波乱の緊張感あるドラマを

作っていくのだ。

シンセ、パーカッション、

太鼓などを使った

静かなサントラ使いもまた、

ゆるやかだけに逆に危機感を

あおっていたようだ。そして、

続編のあるような終わり方なので、

次も楽しみにしたい映画だった。

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