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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

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「チャイルド・プレイ」

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あの快作シリーズが、21世紀に戻ってきたぞ!
怖くないコミカル・ホラーが、メッチャ怖くなってリターンだ!
7月19日のフライデーから、東和ピクチャーズの配給により全国ロードショー。
本作は、2019年製作のアメリカ映画90分。「R-18+」指定映画。
ⓒ2019 Orion Releasing LLC. All Rights Reserved CHILD`S PLAY is a trademark of Orion Pictures Corporation All Rights Reserved.
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1970年代の「エクソシスト」(1973年製作・アメリカ映画)の衝撃以来、綿々と製作・公開され続けてきた、ホラー映画の系譜。
そんな中、1980年代末に現れた、ホラーはホラーでも、怖くない、ある種カワイイくらいの、
コミカル・ホラーとして登場した「チャイルド・プレイ」シリーズ(1988年~2004年・アメリカ・全5作)。
コミカル・ホラーの嚆矢なあのシリーズが、
21世紀も、2010年代の後期に戻ってきたぞい。
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あのシリーズの、でも、バディ人形ことチャッキー人形は、今作では、吊り目の怒りの尖り目ではなく、
アイドルチックなおっきな目になった。
それでいて、元祖チャッキーよりも、よりバイオレントで過激な性格を有している。
たがために、「R-15」指定なんかに指定されちゃった。
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ホンマのホンマに、ハンパない過激で衝撃的だ。
そんな人形の誕生は、人形工場での悪意に満ちた従業員の設定により、善意ある人形が悪の権化たるものに転化した。
そして、そいつが市場に流通し、本作主人公の少年(ガブリエル・ベイトマン)の母(オーブリー・プラザ)を経由して、
息子への誕生日プレゼントとして、少年の元に届けられたのだ。
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あのシリーズのセオリー通り、少年の相棒として、喋るチャッキー人形は機能していく。
だから、少年の想いが、チャッキーの行動に、全て反映されるのだ。
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だから、少年の嫌いな人間は、少年の心理を読んで、チャッキーは抹殺してしまうのだ。
まず、その犠牲になるのは、母の彼氏である。
少年の嫌いなそんな彼氏を、チャッキーが斬首する残虐ぶりは、目を覆いたくなるほどだ。
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あのシリーズは、ディープ・インパクトに進化した。
再シリーズ化されれば、さらに過激度合いは増していくだろう。
コドモには見せられない、大人のための過激ホラーへと、変身していくのである。
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あのシリーズのハチャメチャなノリは、でも健在だが、
今回新たに設定された、チャッキーが歌を歌うシーンの、何とも言えなさは、寒々しくココロを震えさせる作り。
モチ、前シリーズにはなかったノリだ。
前向きな歌を、暗く歌う。
これはチャッキーの性格を示す、新たなフック・ポイントとなっている。
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あのシリーズのリメイク・リブート・リターンは、
何はともあれ、チャッキー・サポーターには嬉しい限り。
本作からチャッキーのトリコになる人へも、ぜひとも推薦したいホラー作品だ。

2019年7月16日 (火)

「僕はイエス様が嫌い」

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少年映画の初々しい快作
若き監督・奥山大史(ひろし)の才能がほとばしる!
ショウゲートの配給により、大阪ステーションシティシネマほかで上映中。
ⓒ2019 閉会宣言
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少女視点・少女映画もあるが、本作は、少年視点による少年映画の王道編だ。
大人の視点が一切入らない、この種の映画の傑作には、
映画的に特殊性や作家性を持たせるために、ある種の設定、あるいは舞台背景が設定される。
主に多いのが、邦画に限らず、戦争時代を背景にした映画だろうか。
「少年時代」(1990年製作)とか、「美しい夏キリシマ」(2002年)などの名作が、それに当たる。
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一方、少年映画の少年映画たる、純粋無垢に帰納する映画もある。
古くは、小津安二郎監督のユーモアチックな「生れてはみたけれど」(1932年)や、
文学小説を原作にしたオオマジの「次郎物語」(1955年)などだが、
本作は、特殊設定ものと純潔ものを、程よくブレンドした作品になった。
しかも、何作も映画を撮ってる手慣れた監督や、巨匠監督によるものではない。
20代の監督、奥山大史が撮り上げた作品であり、その初々しさが光る快作となっている。
スペインの「サンセバスチャン国際映画祭」で史上最年少の22歳で、最優秀新人監督賞をゲット。
その映画作家性にも、注目してもらいたい作品だ。
 
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都会から田舎に来た少年とゆう設定は、疎開してきた「少年時代」を想起させるが、
ナイーブさ加減においては、本作の主人公は「少年時代」の少年と変わらない。
ミッション系の学校に通い、サッカーに興じる友達もできる。
ごくごくフツーの少年時代が淡々と描かれてゆく。
しかし、特殊設定としては、彼の前に時々、ミニチュアなイエス・キリストが現れることだ。
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本作をフツーの少年映画にしていないところは、ココにある。
神頼みとゆう言葉がある。でも、彼は神なんかに頼っていない。
そんな彼に唐突に、彼にしか見えない、神の子イエス様が現れるのだ。
そのタッチは、ユーモラスにして、まるでかわいいちっちゃなペットが、現れたノリなのである。
このセンスこそが、本作のオリジナル・ポイントとなるところだろう。
そんなイエス様が、ペット並みに頼りないところもまた、面白い。
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少年の友達のオカン役で、佐伯日菜子ネーさんが出演。
若き頃の作品「毎日が夏休み」(1994年)とほとんど変わらない、自然体系演技が、本作に大きなフックをもたらしていた。
そして、主人公少年役の佐藤結良クン。
悲喜こもごもを、無表情で演技する演技ぶりには、逆にインパクトをもたらした。
ミニ・イエスとの関わりにおいても、それがどうしたとゆうカンジが、なんや知らん、メッチャええやん。
悲しい話なのに、暗みのない作りも良かったと思う。

2019年7月14日 (日)

「アンダー・ユア・ベッド」⇒日曜邦画劇場

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高良健吾が妄想男を怪演
「R-18」指定の衝撃に満ちた作品
7月19日の金曜日から、テアトル新宿ほか、全国順次のロードショー。
本作は2019年製作の、日本映画98分「R-18+」指定。
ⓒ2019映画「アンダー・ユア・ベッド」製作委員会
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ストーカー映画とゆうか、男の妄想系の映画なんだけど…。
でも、男にとってシャイな作りといい、
片想いながらも、好きな恋する愛する彼女を、守ってあげたいとゆう、
男にとって、普遍的なヒロイズムといい、
メッチャ共感できる作りになった、
大人のための「R-18」指定作品。
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この種の、一方的な男や女の偏執・変態チックな、片想い映画となれば、ケッコーあるんだけど、
でも、本作の男(高良健吾)の場合は、かなりとクセのあるユニークな、キャラクター付けとなった。
ナイーブな男。目立たない男。孤独な男。友達は誰もいない。
孤独映画には「タクシードライバー」(1976年製作・アメリカ映画)のように、戦争帰りで鬱屈したとかゆう時代性があったけど、
本作の高良クンの場合は、社会性や現代性とは少し違う。
未だかつて、名前で呼んでもらったことがない男とゆう設定など、ありえないところがある。
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しかし、大学時代に、名前で呼んでくれた女の子(西川可奈子)がいた。
高良クンはそんな彼女にハマッてしまうのだ。
2人を結ぶのは、高良クンが好きな、グッピーとゆう観賞小魚だ。
男は女にグッピーを届けようとした。
そんな過去の大学時代の、エピソードのナゾがある。
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過去と現在が交錯する。
現在は、男は観賞魚を売る店の店主。
女は既婚してるけど、ダンナからドメスティック・バイオレンスされている。
男は店に来た、男を覚えていない女に、過去から引きずる想いもあって、
近くに住むその女に接近し、盗聴器を家の各所に付け、カメラで監視するのでありました。
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夫から虐待される彼女の姿が、「R-18」に指定されているように、
メッチャエゲツナイカンジで披露される。
何とかそんな彼女を守ってあげたい。
そのために、彼はどうするのか。
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妄想か現実か。
セックス・シーンや殺人シーンが、アレアレオイオイとゆうカンジで描かれる。
彼女を彼が救い出すシーンは、ホントなのかウソなのか。じっくり見ていただきたい。
冒頭の夫と彼女の濡れ場を、ベッドの下にひそんで聞いている彼・高良クンの姿から、映画の中に引き込まれるが、
そこへ到る過程、そして、その後の話など、スリリングかつサスペンスな、ハラハラドキドキで描かれていく。
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「屋根裏の散歩者」(1976年)とか、「陰獣」(1977年)とか、
江戸川乱歩原作映画チックな怪しさ・妖しさのある映画だった。

2019年7月11日 (木)

フランス映画「田園の守り人たち」

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女たちの農業映画なんてどうよ!
何やらエロティックでもあるんだぜ!
7月6日のサタデーから、岩波ホールほか、全国順次のロードショー。
関西では、7月19日からテアトル梅田、7月20日から京都シネマなどで、上映。
本作は2017年製作の、フランス・スイス合作の135分。
ⓒ2017 - Les films du Worso - Rita Productions  - KNM - Pathe Production - Orange Studio - France 3 Cinema - Versus production - RTS Radio Television Suisse
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農業を媒介にして、人間ドラマ、家族ドラマを、展開していく映画。
漁業・林業・畜産業などもあるけれど、
ここでは、大地を耕す農業系に特化して、その種のマイ・ベスト&カルト・スリー(各順不同)を披露すると…。
●ベスト⇒①南部の人(1945年製作・アメリカ映画・モノクロ)
②裸の島(1960年・日本・モノクロ)
③天国の日々(1978年・アメリカ・弊ブログ分析済み)
●カルト⇒①本作
②にがい米(1948年・イタリア・モノクロ)
③ブルゴーニュで会いましょう(2018年・フランス・弊ブログ分析済み)
●全ての作品が農業とゆう日々の営みの中で、人間関係の多彩なドラマが、静かに繰り広げられる。
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ベスト①②はある意味で地味な作りだ。
だけど、カルトはユーロ映画がメインになったけど、
ボク的には、シルヴァーナ・マンガーノ主演のカルト②のように、
農業なのに女優の魅力が、はちきれそうな作品に、ついついココロ奪われてしまう。
ワイン作りの実際を、詳細にドラマティックに描いたカルト③、
そして、本作は、地味な農作業を描きつつ、女たちのドラマが密かにクールに紡がれながら、
最後には、悲喜こもごもの、何とも言えないところへと着地する。
加えて、テレンス・マリック監督の傑作ベスト③の、ビミョーかつシニカルな視点も、付加された快作となった。
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第一次大戦下で男たちが戦場で戦う中、家業を守る女たちとゆう、戦時下の映画は、これまでにもあった。
宮廷舞台ながら、今年公開の傑作「女王陛下のお気にいり」(2018年・イギリス・ブログ分析済み)も、同様のテーマ性がある。
でもって、本作は戦場シーンを描かずに、女たちの守る側を、全編にわたって展開していく。
母とヨメ入り娘(実の母娘・ナタリー・バイとローラ・スメットの共演)に加え、
母が雇った孤児院育ちの、天涯孤独な女(本作のオーディションで選ばれたイリス・ブリー)が、必死に農作業にいそしむ。
のイリス・ブリーが、シルヴァーナ・マンガーノ並みに、ココロ魅かれる演技をしていたと思う。
彼女と、戦場から休暇で帰ってくる次男との、悲恋なども、かなりシビアな設定だが、戦争悲恋ものの在り方も示している。
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ミレーの名画「落穂拾い」や「種をまく人」的な、芸術的農作業カットな構図に加え、
それを長回し撮影で披露していくなど、細部の描写も、ウーンと唸る作りになっている。
「神々と男たち」(2010年・フランス)で、カンヌ国際映画祭グランプリをゲットした、グザヴィエ・ボーヴォワ監督の、映画作家性が遺憾なく発揮された。
また、「シェルブールの雨傘」(1964年・フランス)などの音楽監督ミシェル・ルグランの、遺作となった作品でもある。
そのドラマティックでゴージャスなサントラ使いだが、
本作でも、フエとバイオリンとゆう限られた楽器の中で、静謐ながらも、シーンに合わせて琴線に触れるように、ビビッドに披露して見せる。
何はともあれ、必見の映画です。

2019年7月 9日 (火)

インド映画「SANJU サンジュ」

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実話系のヒューマン・ドラマ映画
インド映画の定番を覆す作品だ
京都シネマ、シネ・ピピア(7月27日~)ほか、全国順次のロードショー。
本作は2018年製作のインド映画159分。
ⓒCopyright RH Films LLP, 2018
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インド映画は今、どうなっている?
チョイ系譜的に見てみよう。
サタジット・ライ監督など、大河系の重厚なドラマがかつてはあったが、
1990年代の半ば頃から、長尺ミュージカル映画が本邦に上陸し始め、
21世紀前後に、日本のミニ・シアター系劇場で渋くヒットした。
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しかし、インド・ミュージカルの波は、長くは続かなかった。
21世紀以降、インド映画のヒットはあまりなかったが、2018年に「バーフバリ」が大ブレイク。
インド映画のエンタな全てを、凝縮した大作だった。
そして、本作の登場だ。
ヒューマン・ドラマ映画となれば、サタジット・ライ以降では、未公開の映画を含め結構あったのだが、
本作の監督ラージクマール・ヒラニ監督が撮った「きっと、うまくいく」(2015年)など、ハリウッド映画流のエンタと人間ドラマをミックスした作品が誕生したのである。
 
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インドの映画スターの実話だ。実話ベースと言えば、「ガンジー」(1982年)など、
ハリウッドやイギリスなどの資本が入った、インドを舞台にした映画はあるけど、インド製作となれば、稀少となる。
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映画スターを描いた映画は数多くあれど、これほど波乱万丈なタイプはあんましないだろう。
マリリン・モンローなどは、死の謎を絡めてサスペンス・タッチで描けるが、波乱は万丈ではない。
本作の主人公は栄光と挫折を体現、イロイロあって罪に問われ、長らく投獄される。
その過程で、恋のドラマがあり、友情のドラマがあり、家族のキズナ・ドラマがある。
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主人公スターの自伝を、書いてもらうとゆうイントロから、この種の映画の意外性を見せる。
彼に関わる女優たちも、キラキラ輝いていて、彼の凋落との段差を際立たせている。
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また、陰陽を兼ねる彼の生き方そのものが、ドラマティックでもあるので、ヒューマン・ドラマとしても、抑揚の効いたシブミあるものになった。
インド映画に特有な、ミュージカル・シーンもいくつか挿入される。
ということで、本作は、現代のインド映画の在り方を示す快作となった。

アキラ100%出演「こはく」

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驚きのアキラ100%と、井浦新の共演映画だ
父子のキズナを、父を探しての視点で描く
7月6日よりユーロスペース、シネマート新宿ほか、全国順次のロードショー。
本作は2019年製作の日本映画104分。
ⓒ2018「こはく」製作委員会
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幼い頃に蒸発した父を探す、兄弟を描く映画。
地方ロケ映画が続く井浦新と、芸人アキラ100%(実名の大橋彰名義)が、兄弟役で共演した作品。
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本作は長崎ロケ映画だ。
長崎ロケによる家族映画となれば、
「TOMORROW 明日」(1988年)や「母と暮せば」(2015年)など、戦時下の原爆絡みに名作があるが、
現代を描く映画では、さだまさし原作映画の「精霊流し」(2003年)「解夏」(2003年)などがある。
しかし、戦争絡み以外には目立った作品は、ないように思われるが、決してそうではない。
低予算ながらも、胸にググッと食い入る映画はある。
そんな1作が本作である。
情緒や泣きがある「精霊流し」と同じく、本作にも泣きのポイントはある。
ただしかし、本作の泣きは泣きを誘発するものではなく、もっとずっと自然な作りになっている。
お涙ちょうだいではなく、見ていれば自然に涙が流れてくる作りなのだ。
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セピアの海辺の夕景を、兄弟2人が眺めるシーンが、
幼い頃と大人になった時の2バージョンで披露されるが、この対比が本作の行方を大いに左右する。
父への想いが深まるシーンでもある。
そんな2人が大人になってから、父を一緒に探すことになるのだ。
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父や母を探すとゆう行動は、
母を探して何千里などがあるように、コドモたちを主な主人公にして、ロードムービー仕様になるのが定番だけど、
本作は成人兄弟が、ワケありの父を、いろんな大人の事情を踏まえつつ、
長崎県内を探しまくるとゆう設定になっている。
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父との過去が脳裏にチラつく、壊れかけの父の会社を継いだ、妻(遠藤久美子)帯者の弟役。
複雑系の心理演技を、演技派の井浦新が、演技派を見せない自然体を通して演じる。
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また、驚きなのは、アキラ100%とは真逆の、大橋彰のシリアスな演技だ。
本作のサプライズは、感動のラストシークエンスよりも、アキラ100%にあるのかもしれない。
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鶴田真由や鶴見辰吾の登場も、もちろん驚かせてくれる。
そして、父子のキズナの感動節。
家族の泣ける系に着地する、日本映画の伝統的なノリに、いつになく感動できる作品だった。

2019年7月 5日 (金)

「Diner ダイナー」⇒週末日本映画劇場

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藤原竜也主演映画
特殊設定のアクションが目に焼き付く
7月5日の金曜日から、全国ロードショー。
ⓒ2019「Diner ダイナー」製作委員会
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藤原竜也主演映画。
ということで、ここで、彼の主演映画の、各順不同で、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露してみよう。
●ベスト⇒①バトル・ロワイアル(2000年製作)
②パレード(2010年)
③藁の楯(2013年)
●カルト⇒①本作(2019年)
②僕だけがいない街(2016年)
③カイジ 人生逆転ゲーム(2009年)
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藤原竜也主演映画には、ある種の特徴がある。
基本はミステリアスなアクション系。
そして、それらの映画で披露される演技性は、
究極の試練を課せられた中で、
どう生き抜いてゆくのかがポイントになっている。
冷静に対処したり、逼迫したりと、
1本の映画の中で、この2面性がいったりきたりする、
パターンが多いのだが、どちらかに比重が偏る場合が当然ある。
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冷静対処系にシフトした演技性・アクションでいくと、
ベスト②③カルト②などと、本作は同等のように思われる。
しかし、クールイズムに徹した点においては、本作がイチバンであろうか。
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ベスト①の頃の、過激アクションと非情系演技へと、
リターンしたような映画である。
但し、サバイバル系の映画ノリの中で、ベスト①にあったように、
ヒロイン(玉城ティナ)と最後には、ココロ通じ合わせるところは、
好感ある作りになっている。
ヒロインを守るとゆうヒロイズムを見せる映画としては、
カルト②と双璧の出来だと思う。
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藤原竜也主演映画に、付きものといえば、あり得ない特殊設定である。
あるいは、本人がフツーの人間のようであっても、犯罪者役であっても、
異能な存在感を示す点だ。
そのあたりが、顕著に顕現したのが本作である。
まさに、藤原竜也のために、作られた映画にも思える。
真矢ミキたちとの最終決戦は、トンデモない作りで、目が点になるに違いない。
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闇の殺し屋たちが集う、ダイナーとゆうのが設定され、
藤原竜也はそこの店主にしてシェフ。
彼もまた、元殺し屋だ。
そんなとこへ、ワケありの玉城ティナが、拘束されて連れてこられ、
藤原竜也の助手として、無理矢理働かさせられる。
集う客はメッチャ変な者ばかり。
窪田正孝、本郷奏多、斎藤工やらが、そんな妙なクセモノぶりを、絶妙に演じている。
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蜷川実花監督作品だ。
藤原竜也にとっては、彼女のおとうさん故蜷川幸雄に、演劇で鍛え上げられた経緯もあり、
何やら運命的なつながりを感じた。
蜷川実花監督らしい色彩感あふれる中で、渾身の藤原竜也流演技を披露していたのには、とても印象深かった。
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音楽監督・元モンドグロッソの大沢伸一の、デジタル・サントラ使いも、舞台背景にはピッタリ。
ラストロールで流れる、DAYOKOとMIYABIによる、ピコピコ・ナンバーも、本作の異世界感を反映していた。

2019年7月 4日 (木)

「劇場版パタリロ!」

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コミック原作によるミュージカル映画の快作だ
ただ今、ヒット中!
6月28日の金曜日から、HIGH BROW CINEMAの配給により、全国順次公開中。
ⓒ鷹夜峰央・白泉社/劇場版「パタリロ!」製作委員会2019
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日本映画のミュージカル映画となれば、古今より、あんましエエもんがないとゆうのが、定説になっていた。
しかし、ブロードウェイほどのゴージャス感やキレはなくとも、邦画には邦画らしいノリのある、娯楽作品がある。
とゆうことで、邦画ミュージカルの、マイ・ベスト・カルト・スリーを、順不同にて披露してみると…。
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●ベスト⇒①モテキ(2011年)②嫌われ松子の一生(2006年)③ニッポン無責任時代(1962年)
●カルト⇒①本作②少年たち(2019年)③舞妓はレディ(2014年)
●岡本喜八監督による「ああ爆弾」(1964年・モノクロ)やベスト③の、賛否両論・物議をかもした映画以来、
松竹・東映・日活にも、面白い作品があるけれど、
ミュージカル映画のブランドは、ベスト①②カルト③など、東宝映画とゆうことで、脈々と続いてきた経緯がある。
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しかし、大手の東宝以外にも、時代時代に応じて、イロイロ多彩な作品が出てきている。
2019年の現代においても、異色ながらも、本作やジャニー喜多川原作のカルト②などが、輩出されている。
その2作に共通するキー・ワードは、1970年代だ。
1970年代に舞台初演を迎えたカルト②。
でもって、本作は2010年代に舞台化・映画化されたけど、
原作となったコミックは、1978年から雑誌連載されたものである。
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大作感は本作にはない。
だが、小演劇で何が表現できるのかを、追求した舞台版に続き、そのインディペンデント・スピリッツに満ちた作りは、
まさにクセになり、まさに理屈抜きに楽しめる作品となった。
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映画らしくCG・VFXを駆使しながら、四つ巴にわたる対決が展開してゆく。
男同士のキス・シーンなんか妙にそそられた。
そんな中で、いろんな大ヒット映画が引用されているのも、面白い。
「スター・ウォーズ」から「インデペンデンス・デイ」などが想起される。
 
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昭和ミュージカル的な色彩も強い。
また、チャッチーな歌からキャッチーなダンス・ナンバーまで、ストーリー展開に合わせた、ギャグチックに展開しつつも、
ある種本格的でもある、ミュージカル・シーンの造形ぶりは、特筆すべきところだろう。
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舞台版の役者たちが、映画でもケッコー演じているのだけど、
そんな中でも、パタリロ殿下を演じた主演の加藤諒には、
そののほほんぶりといい、お気楽ぶりといい、肩の力を抜いた演技ぶりに魅せられた。
単館系ながらも、渋くヒット中のこの映画。
みなさんの期待を、決して裏切らない作品になっています。

2019年7月 3日 (水)

フランス映画「アマンダと僕」

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今年のベストテン級の映画だ
大人と少女のキズナが胸に染みる
7月5日のフライデーから、シネ・リーブル梅田ほか、全国順次のロードショー。
本作は、2018年製作の、フランス映画107分。
ⓒ2018 NORD-QUEST FILMS-ARTE FRANCE CINEMA
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少女もの映画の宝庫でもある、フランス映画界から、新しいタイプの少女映画が登場した。
「禁じられた遊び」(1952年製作・フランス映画)の戦時とは違い、
本作は現代のテロリズムが背景になっている。
大人と少女のキズナを描く映画でもある。
「ロリータ」(1962年・イギリス/1997年・アメリカ)や恋愛系「シベールの日曜日」(1962年・フランス)は、特殊で論外かもしれないが、
本作は、叔父(ヴァンサン・ラコスト)と姪(イゾール・ミュルトリエ)の、深きキズナを描く映画だ。
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親が死んで、親族の誰かが、1人になった少女を引き取るタイプの映画で、思い出されるのは、
例えば、松山ケンイチと芦田愛菜が共演した「うさぎドロップ」(2011年・日本・弊ブログ分析済み)なんかだけど、
大人と少女のおのおのの立場やキモチを、ナイーブに捉えた意味においては、本作は圧倒的であり、
最後の感動も、押しつけがましくない作りになっている。
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オカンと娘少女の間で、映画の冒頭で話される、エルヴィス・プレスリーにまつわる逸話が、本作の感動の大きなキーワードになっている。
「エルヴィスは建物を出た」の言葉は、つまりエルヴィスはもうコンサート会場にはいない。
だから、みんな出待ちしても無駄だよという話なんだけど、
少女はオカンのテロによる死によって、その言葉が終了の意味で、胸に刻みつけられるのだ。
 
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一方、少女を引き取る、叔父サイドの心理について。
オカンと叔父は、仲のいい姉弟だが、2人の親は今は近場にはいない。
だから、少女を引き取ることになるなら、独身の叔父になってくる。
でも、叔父は彼女もいて、少女の面倒をみることに躊躇し悩む。
そのあたりの心理描写かつ心理演技は、緻密で巧妙だった。
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叔父と姪少女のキズナ描写が、本作のメイン・テーマだとは思うが、
それに到る過程を含めて、一筋縄ではないところが、ミソでもある。
ストレートのように見えながら、複雑な心理を交錯させるとゆう、
これまでの大人と少女のキズナ描写には、なかった作りを施しているのだ。
 
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そして、叔父と姪のラストシーンのやり取り。
「もうおしまいよ」
「いや、終わりじゃない」
胸にしみじみとクルシーンである。
このシーンだけで、本作は年間マイ・ベストテン級映画になった。
映画評論家筋や一般大衆でも、ベストテンに入るだろう。
間違いない!

「COLD WAR あの歌、2つの心」

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冷戦時代のロミオ&ジュリエット
クールでシニシズムある悲恋ラブストーリー
6月28日の金曜日から、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル梅田ほかで、ロードショー。
本作は、2018年製作の、イギリス、フランスとの合作によるポーランド映画。モノクロ88分。
ⓒOPUS FILMp.zoo./Apocalypso Pictures Cold War Limited/MK Productions/APTE France Cinema/The British Film Institute/Channel Four Television Corporation/Chanal+Poland/ED1 Lodz/Mazowiechi Instytut Koltury/Instytucja Filmowa Silesia Film/Kino Swiat/Wbjewodzld Dom Kultury w Rzeszowie
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東西冷戦時代に、東と西に引き裂かれた2人の、悲恋系ラブストーリーだ。
「ロミオ&ジュリエット」を始め、悲恋ラブはこれまでに数多くあれど、
そんな系列に続くように、クールでシニカルなラブストーリーになった。
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さて、本作はモノクロで描かれる。21世紀になって以降も、モノクロ作品は時おり輩出される。
若い世代の人たちが、モノクロ映画を避けるような、今の時代において、 モノクロで撮る意味とは何だ? 
その検証の前に、21世紀のモノクロ映画(一部カラーになる、パートカラー映画含む)の、
各順不同で、マイ・ベスト&カルト・スリーを披露してみよう。
●ベスト⇒①本作②ニーチェの馬(2011年製作・ハンガリー映画・弊ブログ分析済み)③白いリボン(2009年・オーストリア)
●カルト⇒①アーティスト(2011年・フランス・ブログ分析済み)②グッドナイト&グッドラック(2005年・アメリカ)③ユリイカ(2001年・日本)
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●全ての作品が映画作家性を志向する作品だ。
そして、舞台はカルト③を除いて、現代ではなく過去を描いている。
アメコミ原作のSF系「シン・シティ」(2008年・アメリカ)などは異例として、過去を描くにはモノクロが最適であり、
しかも悲しい話となれば、よりその悲しみが、胸にクル作りになってくるだろう。
暗い時代を反映する意味でのモノクロ選択もあり、本作もそうだけど、
サイレント時代のハッピー恋愛を描いた、アカデミー作品賞のカルト①とは、全くもって好対照な恋愛映画となっている。
ユーロ映画にモノクロ作品の傑作が多いのも、今作の紹介であらためて感じ入った。
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ソ連支配下の1949年の、ポーランドから物語は始まる。
西へ亡命する主人公(トマシュ・コット)のコンサートマスターは、いたってマトモで熱情的だが、
一緒に亡命しようと持ち掛けて、結局約束の場所に来なかった、歌手のヒロイン(ヨアンナ・クーリク)の設定は、父親を殺した過去があり、
冷戦時代のクールイズムを、反映したような複雑系の、キャラクターに設定されている。
そこのところの妙味が、ロミオとジュリエットの直情系の恋愛ではなく、
不倫系ながら、変型のラブストーリーになっていて、
こんなラブもあるんだなーと、驚きつつ見入ってしまう作りになっている。
また、説明は少なく、描写に徹した作りになっていて、スクリーンの画面を、食い入って見ておく必要のある映画である点にも、ご注意!
 
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音楽ムービーとしての側面も見逃せない。
2人の行く末を暗示するようなバラッドを、ヒロインが歌い上げるシーンや、ロックに乗って踊るシーン、
さらに、2人のレコーディング現場の様子など、リアリティーある音楽性を示している。
ラストロールでは、切ないピアノ・ソロと、フィメール・ソロの、もの悲しいアカペラで締められて、より一層泣きの領界へと誘導していく。
ということで、アート系恋愛映画の傑作だ。

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