無料ブログはココログ

新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

  • ">

2021年キネマ旬報年間ベストテン予想

日本映画の1位は

「いとみち」
 
外国映画の1位は

「スウィート・シング」
 
☆日本映画
 
①いとみち

(横浜聡子監督の最高傑作)
Photo_20211129223001
②茜色に焼かれる

(尾野真千子の最高演技)

Photo_20211129223501
③ドライブ・マイ・カー

(カンヌで受賞)

Photo_20211129223701
④空白

(古田新太の怪演)

Photo_20211129223702
⑤すばらしき世界

(西川美和監督の新作)

Photo_20211129223801
⑥街の上で

(今泉力哉監督作)
 
⑦由宇子の天秤

(瀧内公美が快演)
 
⑧あのこは貴族

(新星女性監督の女性映画)
 
⑨いのちの停車場

(吉永小百合と広瀬すず共演)
 
⑩草の響き

(佐藤泰志原作)
 
次点:キネマの神様

(山田洋次監督作)
 
☆外国映画
 
 
①スウィート・シング

(美しく甘酸っぱい白黒映画)

Photo_20211129224301
②リスペクト

(歌姫実話の傑作)

Photo_20211129224401
③ノマドランド

(オスカー作品賞)


Photo_20211129224601
④MONOS 猿と呼ばれし者たち

(衝撃の兵士群像劇)

Monos_20211129224901

⑤ファーザー

(老いを謎めいて描く)

Photo_20211129225001

⑥DUNE/砂の惑星

(1980年代SFのリメイク)

⑦ライトハウス

(暗鬱のモノクロが怪しい)


⑧ミナリ

(良質の家族ドラマ)


⑨わたしはダフネ

(罹病ヒロインの前向き映画)


⑩春江水暖

(映画的作りを示す中国映画)
 

次点:ミナマタ

(ジョニー・デップが渋い)

●5位までは画像を掲載。

データを省き、

()に1ポイントだけを

書いています。

データなどについては、

検索で調べていただき、

見たい場合は

DVD借りたり買ったり、

まだやってる場合は

映画館へどうぞ。

各作品の詳細はあえて割愛します。
 
邦画では、

「護られなかった者たちへ」

「孤狼の血 LEVEL2」

「ヤクザと家族 The Family」

などが、洋画では

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」

なども外しましたが、

ベストテン内は充分あり得ます。
 

結果は2022年2月5日に

講評と共に発表いたします。

(選=映画分析研究所 

所長 宮城正樹)
 

2022年1月25日 (火)

音楽映画「クレッシェンド 音楽の架け橋」

2_20220124231901
実話ベースの音楽映画
 
音楽は国境と戦争を越える快作
 
 
1月28日のフライデーから、松竹の配給により、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか、全国ロードショー。

本作は、2019年製作の、ドイツ映画112分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

ⒸCCC Filmkunst GmbH

1_20220124233201

音楽映画は、多彩なジャンルに

合わせるように、多彩に存在する。

本作のジャンルはクラシック。

オーソドックスな、音楽は国境を

越えるものだというスタイルを、

ストレートに打ち出した作品。

しかも、敵対する2国

(パレスチナとイスラエル)の

メンバーたちを入れて、さて

それでも音楽は…とゆう

ハードルをメインに入れた。

巨匠コンサートマスターの

ダニエル・バレンボイムの

実話をベースにした。

3_20220124233201

コンテスト映画とか、バンドや

ミュージシャンを描く映画は

いっぱいあるけど、明らかに

敵対する2派をまとめて、

素晴らしい演奏を披露するような、

音楽映画はかつてない。しかも、

コンサート会場で披露

するんじゃない。ライブが

できない状況において、

ある場所でアドリブ的に

披露していくのだ。

こういう結末もまた

ドラマティックで、かつて

ないんじゃないだろうか。

2派のいがみ合いはあるにしても、

ココロが演奏によって通い合う

このタッチは、ベタ

かもしれないけど、音楽の

素晴らしさを強烈に伝える、

ココロに残る

シークエンスになっている。

4_20220124233301

各国のプレイヤーたちの

実情も映される。

オーディションに行くのにも、

イロイロある困難が

冒頭から披露される。そんな

ハードルを乗り越えてゆく

ヒロインの前向きな生き方に

好感があり、また、

ラブストーリー部もあって、

まあ、そんなラブが

ドラマ的に汚点に

なってはいるんだけど、

最後には一気に解消される

仕上がり具合だ。

5_20220124233301

みんな聞き覚えのある、

クラシック・ナンバーを中心に、

演奏されるのもいい。

ヴィヴァルディの「四季」の「冬」

やドヴォルザークの「新世界より」

など、分かりやすく入りやすい選曲。

テーマがキチッした音楽映画として、

いろんな障害はあるにしても、

さわやかなエンディングを

迎える作品。最後には音楽映画の

心地良さに着地する快作品だ。
 

2022年1月21日 (金)

「真夜中乙女戦争」

1_20220119224201
King & Princeの

永瀬廉主演サスペンス
 
池田エライザと柄本佑

と共に犯罪へ走る
 
 
1月21日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、全国ロードショー。

本作は2022年製作の日本映画113分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2022『真夜中乙女戦争』製作委員会

2_20220119225601

1980年代の角川アイドル映画には、

単なるアイドル映画は

1つとしてなかった。

恋愛映画であれSF映画であれ、

その種の映画の最上級を

求めた上での作品であった。

本作もまた、その伝統を

引き継いだ会心作である。

ジャンルは犯罪サスペンスだが、

大学生たちの青春映画模様

もあるといった作品。

アイドル的には、ジャニーズ

King & Princeの永瀬廉主演だが、

池田エライザちゃんも強力。

しかも、彼女は映画監督も

「夏、至るころ」(2000年製作・

本ブログ分析済み)で体験した。

映画への想いは熱い。

3_20220119225601

永瀬廉の「私」と言う

ナレーションで物語は始まる。

東京タワーの象徴的な

使い方も意味深。永瀬廉は

謎めいたバイトに応募し、

その面接を担当した

池田エライザと出会う。即採用で、

いきなりパーティーへ出席。一方、

ガソリン撒き爆弾魔の柄本佑

と出会い、仲良くなる。

戦前のモノクロ映画を

柄本の自宅で一緒に見たり、

一緒に映画上映会なんかも開催。

しかも、柄本佑と

エライザちゃんは結託して、

謎めいた秘密結社を作っている。

永瀬廉の大学の青春生活が、

急激に変転していくところが、

唐突だけど劇的で、

衝撃ある作品となっている。

4_20220119225701

「チワワちゃん」(2019年)や

「とんかつDJ アゲ太郎」

(2020年)など、痛みある峻烈な

青春映画を作ってきた二宮健監督の、

さらなる強烈な一撃が

本作である。転倒カット、

スローモーション、

アップ・クローズアップの配置具合、

影ではなく人物を黒で映す

ところなど、細部の撮り方にも

映画作家性な鋭さを感じた。

東京タワーをセンターに配した

ロングショットなども

冴えていたと思う。

エライザちゃんが披露する

ジャズ・ナンバー、

ラストロールで流れる、

グラミー賞アーティスト、

ビリー・アイリッシュの

スロー・ナンバーなど、

歌もココロに残る

仕上がりの快作である。
 

2022年1月20日 (木)

「シルクロード.com 史上最大の闇サイト」

1_20220119215701
販売闇サイトの犯罪映画
 
アナログ刑事とサイバー犯罪者の対決
 
 
1月21日の金曜日から、ショウゲートの配給により、新宿バルト9ほか、全国ロードショー。

本作は2021年製作のアメリカ映画117分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2020 SILK ROAD MOVIE, LLC ALL RIGHTS RESERVED. VE

2_20220119223501

ネット犯罪映画は、SFだった

「ウォーゲーム」(1983年製作・

アメリカ)以来進化し、

リアリティーある

現実の話となった。

21世紀以降には、かなりの

タイトル数が出てきたが、

本作の場合は、趣向が

少し違っていた。犯罪者に対し、

サイバー犯罪課の刑事が

対応するのだが、彼は

元麻薬取締り局の

アナログ刑事であった。

そんな刑事が、麻薬や

殺人請け負いを、販売したり

仲介したりする、とんでもない

ネット犯罪の捜査をする。

旧式と最新式の対決の構図は、

この種のドラマでは新しい。

3_20220119223601

犯罪者側と刑事側が

交互に映される展開で、この

ミステリー・サスペンスは進行する。

さらに、両者とも私生活部を、

人間臭く描いていて、単なる
冷たい

対決のドラマにはなっていない。

彼女の親に嫌われたけど、

彼女は世界を変えようとする志を

持った彼氏を愛し、その犯罪となる

ネット販売の、強力な

パートナーになっていく。

4_20220119223601

一方、サイバー犯罪課へ

異動した刑事は、

プライベートでは幼い娘と

妻とほほえましく暮らしている。

そういう普通の若者や刑事である

シーンを映しながら、いよいよ

逼迫する犯罪捜査へと

入り込むとゆう、緩和と緊張の

匙加減がほどよく、そして、

クライマックスへと突入するのだ。

パソコン音痴の刑事が、いかに

犯人を追い詰めていくのか、

そのあたりの手法にも

注目したい作品だが、あくまで

パソコンを活かした点が

興味深い内容となっている。

5_20220119223701

実話ベース映画だと言うが、

これがホントに実話か、

といった驚きがある作品だ。
ラストロールでは、キャッチーな

バンド・ギター・ロックが

流れてくる。心地よく

シメられる映画だった。
 

「三度目の、正直」

2_20220118211301
神戸が舞台のヒロイン映画
 
子供が欲しい女性の物語
 
 
1月22日の土曜日から、ブライトホース・フィルムの配給により、シアター・イメージフォーラムほか、全国順次のロードショー。

本作は、2021年製作の日本映画112分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2021 NEOPA Inc.

3_20220118212201

「ドライブ・マイ・カー」

(2021年製作)。

今や説明不要のこの映画の

監督・濱口竜介監督の作品

「ハッピーアワー」(2015年)で、

監督との共同脚本と

プロデュースした野原位

(ただし)が、本作で

劇場長編作を初監督した作品。

「キネマ旬報」の年間

ベストスリーにも入り、評論家から

大絶賛された大長尺映画の

「ハッピーアワー」の

舞台は神戸であった。そして、

そこで出演した女優・川村りらが、

同じく神戸を舞台に、

快演技を示してみせた。

「ハッピーアワー」の

群像劇スタイルを堅持

しながらも、子供が欲しい

ヒロイン映画へと、

クローズアップしていく。

1_20220118212301

まずは普通の4人家族の、

ファミレスでの一幕から始まる。

ヒロインの川村りらは、

母としてそこにいる。

娘の一人立ちを見送る。

一方、ミュージシャンの

川村りらの弟の

3人家族が描かれる。

川村りらは自ら作れない体のため、

里子の子供を欲しているらしいが、

夫から離婚を言われて同意し、

母1人の実家へ戻る。しかし、

ある日、公園で倒れていた

記憶喪失の10代の男の子を見つけ、

実家で一緒に住むようになり、

彼を養子にしようとするものの、

実の父親が現れて…。

4_20220118212301

子供が欲しいヒロインの映画だが、

この種の映画では、ボクは

「神様のくれた赤ん坊」

(1979年)が、一番

ココロにきた映画だった。

捨て子や養子の話。そして、

義母が養子にハマる映画となれば、

狂気めいたものも含めてあるけど、

本作はグーンとあっさりしている

けども、静かながらも

ヒロインの想いが、重々に

伝わってくるような映画であった。

ジャズ・ピアノなどの

サントラ使いも渋くていい。

ヒロインの弟がやっている

ジャンルがヒップホップで、

おのが想いを口にする

スタイルなのもいい。

ヒロインを軸に、多彩な

人間ドラマが展開。川村りらの

存在感が光る好編である。
 

2022年1月19日 (水)

日中合作映画「安魂」(あんこん)

2_20220118213001
蘇えりか、ソックリさんか
 
亡き人とのキズナを描く快作
 
 
1月15日から、パル企画の配給により、岩波ホールほかで、2月4日からシネ・リーブル梅田ほかで、全国順次のロードショー。

本作は、2021年製作の日本&中国合作映画108分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2021「安魂」製作委員会

3_20220118214301

死んだ人の蘇えり映画は結構ある。

戦前の映画のリメイク作となった

「天国から来たチャンピオン」

(1978年製作・アメリカ)が、

ボクが見た最初の

蘇えり映画だったが、その後には、

一時的に蘇えるとゆう

タイプの映画が登場し、

タイムリミットを設定して

ドラマティックやサスペンス、

そしてコミカルまでを

作り出していた。しかし、

本作はちょっと趣向が違っていた。

見出しにも書いたように、

ソックリさんなのか、

本当の蘇えりなのか、

よく分からないというものだ。

だが、蘇えりの本人である息子は、

父母も彼女にも、初めて会う人

のように反応しない。どころか、

「心霊診療所」なる騙しの病院を、

父と共にやっていて、自ら

サギ師とも語る男なのであった。

ところがどっこい、しかし、

がある…とゆう映画である。

1_20220118214401

中国が舞台だ。

中国のテレビドラマなどの、

ベテラン俳優たちに加え、

若き俳優たちに混じって、

日本からは

元AKB48の北原里英が、

中国留学生役で出演。

彼氏(チアン・ユー)の親にも

結婚を反対された上に、

その彼氏が突然死する

憂き目に遭う女

(ルアン・レイイン)を、

サポートする好感度高い役を、

気丈に演技している。

見事な助演ぶりであった。

4_20220118214401

監督は日中合作ながら、

日向寺太郎が監督した。

「火垂るの墓」(2008年)

の実写版や、「こどもしょくどう」

(2019年・本ブログ分析済み)など、

キズナ系を泣ける人情系よりも、

登場人物の心理に合わせて、

フレキシブルに描くスタイルは、

今作でも健在だった。

お涙ちょうだい映画ではない。

渋みあるじわじわと

涙腺にくる映画だ。

夕陽に映える川沿いの父や、

ラストシーンの家族一同の

サッカー観戦など、

ワンカット・ワンシーンで示す、

心理描写
やキズナ描写が冴えている。

日中合作映画の

新生面を示した快作だ。
 

2022年1月18日 (火)

「なん・なんだ」

2_20220117225801
老夫妻の三角関係ドラマだ
 
京都・奈良ロケーションで贈る
 
 
1月15日から、太秦の配給により、新宿K's cinemaほか、全国順次のロードショー。

関西なら、1月28日京都シネマ、2月12日第七藝術劇場などで公開。

本作は2021年製作の日本映画107分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒなん・なんだ製作運動体

1_20220117231101

烏丸せつこって、

みんな、知ってるかい?

1970年代末から

1980年代前半にかけて

一世風靡したモデル兼女優さんで、

「四季・奈津子」(1980年製作)

などが、高い評価を得た。

その自由闊達・奔放な

演技スタイルが、高齢期を迎えて

丸くなったにせよ、

三角関係ドラマにも今も

機能していた。随分老けたな

の印象はある。しかし、

そこのところは、夫(下元史朗)が

烏丸演じる妻の過去を探る、

ミステリアスな前半によって、

ゆるやかに解消していく。

3_20220117231201

これまでに数多く輩出された

夫妻映画ではあるが、老年を

迎えた夫妻の三角関係ドラマ

とゆうとこで、新たな夫妻ものを

構築せんとする意図が

見えて良かった。烏丸せつこの

イメージを壊すことなく、

彼女が長らく浮気していた

とゆう秘匿部も、何やら

彼女らしい。まあ、結婚40年目に

ようやく夫に33年の妻の浮気が

バレるなんて展開も、今まで

夫は何も感じなかったのか

とゆう疑問はあるものの、

3年目や7年目の浮気も、

男ならわかるけど、女なら

紛らわせることができるんだ

と大目に見てあげよう。

4_20220117231301

「なん・なんだ」のタイトルも、

夫側からの視点によるものだ。

つまり、今までなんで

気付かなかったんだ、情けない

といった嘆きの意味が

大いに含まれている。妻が京都で

交通事故に遭い意識不明の重態。

駆け付けた夫だが、妻の所持品に

カメラを見つけフィルムを

現像に出すと、

見知らぬ男が映っていた。

こいつは一体誰なんだと、

夫は娘と共に、奈良の妻の

実家へと調査に出かけ、やがて

妻が浮気してた男に

たどり着くのであった。

しかし…。

5_20220117231301

京都・奈良ロケーションだが、

その種の色合いを

全く感じさせずに、物語を

展開させていく。むしろ、

夫の焦燥部の心理的描写が、

際立っていて、地方ロケの

味わいを排除したような

作りになっている。そこに

逆に新鮮味を感じた次第。

とんでもない着地を含めて

鮮烈な印象を残す。

老若男女関係なく、

三角関係恋愛映画の

新境地を描いた作品だ。
 

2022年1月14日 (金)

「ハウス・オブ・グッチ」⇒レディー・ガガ主演

1_20220112221701
グッチ家夫妻役に

レディー・ガガと

アダム・ドライバー
 
巨匠リドリー・スコット監督の新作
 
 
1月14日のフライデーから、東宝東和の配給により、全国ロードショー。

本作は2021年製作のアメリカ映画159分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2021 METRO - GOLDWYN - MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

3_20220112222501

ブランドもの家族ファミリーの、

実話ベース映画。これまで、

シャネルやらのドラマ映画

があったけど、その種の映画では、

最もドラマティックな展開の

映画になったと思う。何しろ

オーナー(アダム・ドライバー)が、

妻(レディー・ガガ)に、

殺し屋を使って暗殺されるとゆう、

実話がベースになっているからだ。

暗殺がなぜ行われたのか、

その経緯が2時間39分にわたり、

緻密に稠密に描かれる映画である。

2_20220112222601

まずは、レディー・ガガの

迫真の演技だ。

妻役歌手役の前作

「アリー/スター誕生」(2018年・

アメリカ・本ブログ分析済み)

とは、微妙に違う、

硬軟両用を兼ねた演技ぶり。

エキセントリックじゃないけど、

夫との関わりの中で、微細に

変化していく表情演技など、

格段の違いがあった。

歌手系演技者として、

ベッド・ミドラーを超えた

演技性を示している。

5_20220112222601

対して、アダム・ドライバーは、

常時穏やかで冷静な

演技を披露し続ける。

別れ話においても冷静沈着。

むしろ、大ベテランの巨匠俳優

アル・パチーノの集大成演技的とは、

静と動の演技的対比があり、

強烈だった。もちろん、演出が

最大の任務となる監督、

これまた巨匠監督の

リドリー・スコットの、

演出力が素晴らしいわけだ。

リドリー・スコット監督の

系譜的に見ても、ファミリー映画や

夫妻映画はないけども、コッポラの

「ゴッド・ファーザー」シリーズ

(1972年・1974年・1990年)

的な作りを、

目指したんじゃないだろうか。

4_20220112222601

サントラ使いも印象的だ。

1980年代の歌ものを

中心にした作り。

ユーリズミックス

「スイート・ドリームス」や

ブロンディ「ハート・オブ・グラス」

など、シーンに合わせて使われて、

物語をノリノリもしくは時に

ブルージーに見られる

ようになっている。監督が

これほど歌サントラを使った作品は

かつてなく、それだけに、かつてない

意気込みが感じられた次第。

6_20220112222701

ラブストーリーとしての面白さが、

2人の経営参画によって、

徐々に壊れていく様子が

緻密に描かれる。いやはや、

これはグッチの企業ドラマじゃない。

往年の作品にも退けを取らない

恋愛映画なのだ。

名作「風と共に去りぬ」

(1939年)へも通じる作品なのだ。
 

「シチリアを征服したクマ王国の物語」

5_20220112220101
クマたちと多彩な怪物との戦いだ
 
クマ親子のキズナも描く
 
 
1月14日のフライデーから、ミラクルヴォイスの配給により、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2019年製作のフランス・イタリア合作82分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2019 PRIMA LINEA PRODUCTIONS - PATHE FILMS - FRANCE 3 CINEMA - INDIGO FILM

1_20220112221301

ヨーロッパ産のクマ・アニメ。

子供向けのディズニー・アニメ

などのクマ物語とは、

大いに違うところが味わえる。

まず、イントロから物語的だ

各地を旅する、

語り部の大人と助手の少女。

そんな語り部が物語を語る

とゆうスタイルで、

クマの物語の中へと入っていく。

息子グマが蒸発し、

失意の中にいる父グマが、

息子を探す旅に出る。

しかし、その行く手には、

多彩な動物モンスターたちが

待ち構えていた。

2_20220112221301

ディズニーやスタジオジブリ系の

原色色使いとは違い、

少しく淡色で展開。いわゆる

ロードムービー・スタイルの

アニメだが、ジブリの

「ハウルの動く城」(2004年製作・

日本)並みに、波乱万丈が

ある映画となっている。

クマたちと戦う相手は、

イノシシの大群、巨大ネコ、

巨大ヘビなどと、物語が

進行するにつれ、強敵となっていく。

今のゲーム感覚の格闘ものへも

通じるだろうか。

そんな過酷な戦いだが、

魔法使いやらがサポートする

なんて作りなので、ファンタジーな

物語性はビビッドに

増していくのだった。

3_20220112221401

父が息子を探し当てた時、

息子は何と銃殺される。そして…。

サプライズが

やってくる映画である。

語り部が語る後半では、

意外なドラマへと発展していく。

父と息子のキズナ・ドラマだが、

最後には泣ける感動が待っている。

4_20220112221401

2つの話を、

人間側とクマ側から描く

斬新さもさることながら、

その対比効果が

強烈で印象深かった。

永く心に残る作品である。

管弦楽によるオーケストラ・

サントラもドラマティック。

日本語吹き替え版では、

柄本佑、伊藤沙莉、

リリー・フランキーらが、

渾身の声優ぶりを披露している。

ディズニーとは違うけども、

家族一同で見に行ける、

ファミリー・ムービーとしても、

おすすめの仕上がりだ。
 

2022年1月13日 (木)

「ポプラン」とは何ぞや?

2_20220110235901
下ネタコメディの

画期的ナンセンス映画
 
「カメラを止めるな!」

上田慎一郎監督の奇作
 
 
1月14日の金曜日から、エイベックス・ピクチャーズの配給により、テアトル新宿ほか、全国ロードショー。

本作は2022年製作の日本映画96分。

文=映画分析研究所・所長・宮城正樹

Ⓒ映画「ポプラン」製作委員会

4_20220111223601

上田慎一郎監督は、本作を

何年も温めていたらしい。

構想10年。ホンマかいな~。

いやはや、とんでもない

奇作である。

下ネタコメディといえば、

アメリカンがある意味で

本場だと思うけど、でもしか、

本作はあくまでストレート勝負

でやってきたぞ。とんでもなく

すがすがしい仕上がりだ。

表記禁止にはなってないけど、

本ブログではそれを「息子」

と表記させてもらいます。

マンガ配信会社の社長主人公

(皆川暢二)が、売り込みの女と

ベッドインした翌日、

息子が消えた。主人公は、

息子を探すべく、「ポプランの会」

なる集いへ参加し、

息子を探すコツを教えてもらう。

1_20220111223601

探すにはタイムリミットが

あるらしい。ということで、

6日間にわたる、主人公の

息子探しの旅が始まる

のでありました。

会社を辞めさせた男や元カノ

(徳永えり)のとこへ行って、

網を手にした息子捕獲

アクションが展開する。

下ネタコメディ数々あれど、

これほど画期的にして

ナンセンス極まりない映画は、

かつてなかったと断じたい。

しかも、映画的作りを心得た

作りの映画なのがビックリだ。

映画メイキング映画の

かつてない画期的な粋で魅せた

「カメラを止めるな!」(2018年)の、

上田慎一郎監督の新作だけに、

一筋縄ではいかない破天荒がある。

5_20220111223701

ロングショットとアップの

バランス感、俯瞰撮影の臨場感、

スローモーションやモノクロ・

カットの使い方など、

映画的を遺憾なく発揮した。

タイムリミットを設けた作りや、

その最終日をクライマックス

もどきに持ってきて、さらに両親

(渡辺裕之・原日出子)との

キズナへと持っていく、

チカラワザにグッときたね。

下ネタコメディ、しかも

ヒューマン映画の隠れ傑作だけど、

ヒットすれば隠れはない。

公開後の行方を見守りたい。
 

台湾映画「無聲 The Silent Forest」

2_20220111224201
ろうあ学校の

イジメ・虐待問題を描く
 
実話ベースの問題作品だ
 
 
1月14日のフライデーから、ライツキューブの配給により、 シネマート新宿、シネマート心斎橋、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2020年製作の台湾映画104分。

Ⓒ2020 Taiwan Public Television Service Foundation, Oxygen Film Co., Ltd., The Graduate Co., Ltd. and Man Man Er Co., Ltd. All Rights Reserved.

1_20220111225401

声を聲と表記したタイトル付け

から、何やら問題作を

イメージする本作。案の定、

それに見合った作りになった。

イジメや虐待を描いた

問題映画は多い。しかし、

その舞台がろうあ学校となれば、

従来のイジメ映画とは

一線を画する。もっと悲惨で

残酷な感じが強いだろう。

そして、本作はその感の否めない

作品となってしまった。しかも、

実話がベースなんだけど、

登校バスの車内でイジメられる

女の子ヒロインが、それを

嫌とは思っていない点が、

まず問題で悩ましい。

3_20220111225401

そんな女の子の

ディスコティークな踊りを見た、

ろうあ学校の男の子の

ナイーブな恋物語と、

彼女を守る戦いが始まる。
 

無論、彼だけでは

どうしようもない。

先生たちにも相談し、

ヒロイズムある男性教師が、

女経営者校長とも掛け合い、

イジメ・虐待の実態を

探ろうとするのだが…。

その男の子もまた、

イジメの標的になる。

首謀者は一体誰なのか。

衝撃的な結末が待っている。

4_20220111225501

イジメ問題を描いた、

台湾映画は異例だ。

しかも実話がベース。

実話ベースの

エドワード・ヤン監督の名作

「クーリンチェ少年殺人事件」

(1991年製作・台湾)へも

相関する。でも、ろうあ者同士の

少年・少女の淡い恋模様も描かれ、

「アベンジャーズ」を2人で

映画館で見るシーンなど、

映画の
衝撃度合いを緩ませる、

エピソードになっている。

映画館へぜひ足をお運びください。
 

«イギリス映画「モンスーン」