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新作映画分析

  • 映画分析研究所 所長 宮城正樹
    新作含む、公開前映画の批評分析を行います。 映画史を俯瞰するようなスタイルと、小説・演劇ほかではなく、映画評でしかできないところに、肉迫せんとしています。 2009年12月11日よりスタートし、ギネスレコーズ却下後の、2015年5月頃より、週3~4作更新としております。厳選した作品分析を、お楽しみください。

音楽・小説分析

  • ">

3月公開の年間ベストテン級映画

現時点の邦画・洋画ベスト3は
 
ロゴをクリックください⇒
 
3月までに公開中・

公開済み作品に限定

(選=映画分析評論家・宮城正樹)

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「オッペンハイマー」
 
 
ⒸUniversal Pictures.All Rights Reserved.


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このところ人間ドラマ

あるいはヒューマンドラマ

について、その違いを含めて

論じてきたが、本作は

実話をベースに骨太の

人間ドラマ映画となった

3時間の長尺大作。今年の

アカデミー賞で作品賞を含む

最多7冠に輝いた作品だが、

原爆を発明した

オッペンハイマーという人間を

深掘りした。また、主役を演じた

キリアン・マーフィも

痩せ型の
腺病質な演技性

を見せて印象深い。

クリストファー・ノーラン監督は

戦後をモノクロにし

戦中をカラーにした。これは

主人公の心理を描く上で

大きな効果をもたらした。

戦中は高揚していたが、戦後は

翳りの中でしぼんでいった。

原爆実験の成功シーンに歓喜し、

広島に原爆が落とされた時には、

関係者の歓喜と共に

ヒロイズムまがいまで見せる。

日本人にとって非常に

不愉快極まりないシーンで、

これでは本作はベストどころか

ワースト候補になるんじゃないか

と心配したところ、いや、これが

リアリズムなんだろうと改めて

思い直した。だが、ヒーローまがい

を見せた直後に心に影が射す

シーンを入れて対応したのは

監督の配慮なのだろうか。

ただその1点以外は、心理の

矛盾は見られなかった。

赤狩り聴取シーンなどで

主人公が追い詰められるところ、

カット割りとサントラのタイトな

畳みかけがアクション・シーン

並みにスリリングで、

「全て破壊した」という

自嘲のナレーションと

イメージ・ショットのモンタージュ

も映画的に人間を描くのに

効果的だった。そして主人公が

アインシュタインに会って

何を話したのか。それを最後の

謎かけ(ネタとなるところ)

にして、そのシーンを描いて

意味深に映画は終わる。

見てすぐにベストテン級だと

判断したわけではない。あとあと

じっくり考えた末に

辿り着いた結論だ。

その意味においては何度か

リピートしてみて映画の良さが

分かる映画なのかもしれない。


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「青春ジャック 

止められるか、俺たちを2」
 
 

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3月14日付けで紹介した1作。

ポイントとして書いた

ところを再録すると…。

前作に続く昭和映画であり、

映画のメイキング映画でもあり、

また映画館を舞台にした

さまざまな映画とシンクロする

映画でもあった。

トータルとして映画愛があり、

映画に懸ける青春がある。そして、

ラストの舞台挨拶シーンが

心地良い作品だった。

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2024年4月11日 (木)

「クラメルカガリ」「クラユカバ」⇒今週注目のアニメ

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少女ヒロイン・アニメ

「クラメルカガリ」
 
私立探偵主人公アニメ

「クラユカバ」
 
共にレトロな雰囲気の

ミステリー調だ
 
 
4月12日の金曜日から、東京テアトルとツインエンジンの配給により、丸の内TOEI、テアトル新宿、ユーロスペース、シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、アップリンク京都ほか、2作品同時公開。

「クラメルカガリ」2024年製作の日本映画62分。

「クラユカバ」2023年製作の日本映画64分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

(C)塚原重義/クラガリ映畫協會

★この2本の映画はツインエンジン主催の試写会に招待されて鑑賞した。

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●「クラメルカガリ」
 
「インディーアニメ」と呼ばれる

自主制作アニメから、

アニメ映画監督のキャリアを

始めた塚原重義監督が、

「クラユカバ」に続き撮り上げた

長編アニメ。レトロな郷愁を誘う

ような琥珀色や薄色配色で、

炭鉱が栄えていた時代背景を

バックに少年少女の活躍を描く。

炭鉱街の地図を作る少女が

ヒロイン。陥没事故が発生した

坑道に入って地図調査を

続けるうちに、戦車のような

巨大あぶら虫に襲われる。

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これまでの少女アニメとは

ひと味もふた味も違うところを

味わいたい作品だ。

「ふけゆく秋の夜」と歌われる

明治時代の唱歌「旅愁」が

映画の雰囲気を盛り上げ、

ラストロールでは

ロカビリー・タッチの主題歌、

オーイシマサヨシの

「僕らの箱庭」が締める。

ライトノベル作家・成田良悟が

書いた「クラユカバ」の

スピンオフ小説が本作の

原作となった。だから、

2作共に見てみたい。

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●「クラユカバ」
 
塚原重義監督初の長編アニメは、

「ファンタジア国際映画祭」の

長編アニメーション部門で

「観客賞・金賞」に輝いた。

但し本作はファンタジー

というよりも、ミステリー・

タッチの作品となった。居酒屋で

老若男女の集団失踪事件を

記者から聞いた私立探偵は、

警察力の及ばない地下迷宮の

「クラガリ」という世界に

もぐり探っていく。

失踪した探偵の父の夢を見たり、

新たに助手の女の子が消えたりと、

意味深なシーンが連続する。

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「クラメルカガリ」と同様、

レトロな古き時代を背景に

色使いも琥珀で淡い。

さらに、主人公の探偵も

スーパーヒーローじゃない

人間臭さが渋い。そして、

活動写真の弁士風

口上ナレーションが、胸騒ぎのする

ワクワク感を助長する。

最後に流れる、

チャラン・ポ・ランタンの

マイナー系歌謡曲タッチな

「内緒の唄」が映画のコクを深める。


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2024年4月10日 (水)

『劇場版 再会長江』⇒ロード・ドキュメンタリー

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長江の最初の一滴まで遡る
 
再会のロードムービー
 
 
4月12日の金曜日から、KADOKAWAの配給により、角川シネマ有楽町、シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ、シネ・リーブル梅田、アップリンク京都ほか、全国順次のロードショー。

本作は2024年製作の中国映画111分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2024『劇場版 再会長江』/ワノユメ

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長江を舞台にした中国映画には、

「長江哀歌」(2006年・中国)

など名作が多い。

本作はドキュメンタリーだが、

中国に住む日本人監督・

竹内亮による、長江を最初の一滴

まで遡る6300キロの

ロードムービーだ。

竹内監督といえば、テレビ東京の

「ガイアの夜明け」やNHKの

「世界遺産」などで、

ドキュメンタリー監督としての

才能を開花させ、

家族と共に中国へ移住後の今は、

中国全土ナンバーワンの旅行関連

インフルエンサーになっている。

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そんな監督が10年前に長江を遡る

NHKのドキュメンタリーを

撮ったが、最終目的地の

一滴の地までは行けなかった。

そのリベンジに加え、かつて

撮影時に出会った長江沿岸の

人たちとの再会を兼ねた。

中でも冒頭の10年前の映像に

登場する、チベット族の少女との

再会が本作のハイライト

になっている。水墨画で有名な

三峡ダム、重慶、雲南省と巡り、

住んでいたところが全て川底に

沈んだ人の行方を探って

遂に再会したりと、中国の10年の

変化を感じさせながらも、

再会の感動が次々に訪れる

という映画になった。

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再会の余韻のあとも、

長江の源流を目指して

ロードを続けていく。今度こそ

竹内監督はチベット高原の最終

目的地に辿り着いたのか、注目だ。


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2024年4月 9日 (火)

「氷室蓮司」⇒群像劇・任侠ドラマ編

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任侠映画「日本統一」

シリーズ10周年
 
父子の絆にフォーカスした活劇だ
 
 
4月12日の金曜日から、ライツキューブの配給により、新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、4月19日の金曜日から、T・ジョイ梅田、なんばパークスシネマほか、全国順次のロードショー。

本作は2024年製作の日本映画119分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2024「氷室蓮司」製作委員会

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21世紀の任侠映画として

10周年を迎えた

「日本統一」シリーズだが、

本作は台湾ロケを敢行した、

これまで以上に大作感がある

記念作品となった。また

これまでの主人公・氷室蓮司

(本宮泰風)の活躍ぶり、さらに

辻裕之監督の続投も同じだ。但し、

氷室蓮司の家族関係、特に

息子との男っぽい絆ぶりで

魅せる映画になっている。

任侠映画らしいアクションは

そのままに、氷室蓮司の人間性を

浮き彫りにした作品になった。

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冒頭は沖縄での台湾マフィアと

主人公たちの、雨の日の銃撃戦

から始まる。そして、

台湾マフィアは1人残らず

始末した。だが、氷室が東京に

帰ってみると、携帯に

台湾マフィアが台湾で、

修学旅行中の氷室の高校生の息子

を人質に取ったという連絡が…。

氷室は息子を救うべく

台湾へと飛び立つ。

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台湾では警察署を爆発する

テロを続ける台湾マフィアと

警察が対決していた。そんな中で

爆弾解除に氷室にまつわる

暗号が使われていた。氷室は

警察と共に台湾マフィアとの戦い

に挑む。いつもながらの本宮の

アクションぶりが爽快。

また特筆ものは、ホラー・コメディ

「幽幻道士(キョンシーズ)」

(1985年・台湾)で主演して

大ブレイクしたシャドウ・リュウが

女刑事役で登場。

颯爽たる姿を見せている。

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さらに、黒羽麻璃央もいつもの

名サポーターぶりを見せる。

かつて一世を風靡した

任侠映画だが、その流れは

Vシネマへと受け継がれ、今、

さらなる進化を遂げるべく

台湾マフィアとの戦いへと展開。

台湾警察も巻き込んでの

三つ巴へと進行する。最後には

とんでもない真犯人が立ち現れる。

サプライズ度合いも

過去最高度の作品だ。


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「コウイン~光陰~」⇒群像劇・警備ドラマ編

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ボディガードたちの群像劇
 
スリルとサスペンスな攻防戦
 
 
4月12日の金曜日から、フルモテルモの配給により、新宿武蔵野館ほか、5月11日の土曜日から、第七藝術劇場ほか、全国順次のロードショー。

本作は2023年製作の日本映画93分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

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「ボディガード」(1992年・

アメリカ)や「マルタイの女」

(1997年・日本)などに通じる

警備員たちの群像劇。刑事や

シークレット・サービスではなく、

民間の警備会社の警備員が任務に

当たるという設定が他の作品とは

違う。しかも、前記2作と同様に

依頼人と守る対象は女性である。

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実際に警備会社の代表である

柿崎ゆうじ監督が、筧利夫主演で

民間警備会社の警備を撮り上げた

「第二警備隊」(2018年)の続編

として監督したオリジナル作品だ。

前作で殉職した隊長役の

野村宏伸は、部下の主人公

(出合正幸)の過去の追憶シーンで

再登場する。警備員としての

スタンスが披露されるので、

この回想シーンはドラマ的に

重要シーンだ。出合正幸に加え、

W主演となるヒロイン

(竹島由夏)も続投している。

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中国の工作員に追われている

という女(山﨑真実)が

身辺警護を依頼してきた。

4人編成で山梨県の人里離れた

キャンプ場に女を匿ったけど、

工作員がキャンプ場に向かった

との情報が入り、4人は11人の

被疑者を警戒する。

子供連れの家族、

5人組の若者たち、

夫妻らだが、しかし、

第一の被害者は管理人だった。

山梨県ロケによる緑ある風景が

スリリングな緊迫のドラマに対し

目に優しい。

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一体誰が工作員なのかといった

ミステリー・タッチはもちろん、

突然現れるピエロ仮面との

暗がりでの1対1対決など、

手に汗握るシーンが連続する。

大鶴義丹や伊藤つかさらの

ベテランも容疑者として

クセのある怪しい演技を披露する。

オーケストラ・サントラを

バックにした本格的警備ドラマ

なので、最後の最後まで

目が離せない。サスペンスとしての

犯人対警備員の攻防戦に加え、

意外性ある犯人にも

あっと驚かされる仕上がり。


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2024年4月 4日 (木)

アメリカ映画「ブルックリンでオペラを」⇒NY家族映画

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ニューヨーク映画の家族ドラマも
 
三角関係や若者の恋の
 
行方を描くロマコメだ
 
 
4月5日のフライデーから、松竹の配給により、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマほか全国ロードショー。

本作は2023年製作のアメリカ映画102分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2023. AI Film Entertainment LLC. All Rights Reserved.

★本作は松竹主催の試写会に招待されて鑑賞した作品。

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ニューヨーク映画の系譜なんて

やり始めるとキリがないけど、

本作の場合をカテゴライズすると、

舞台はブルックリンで家族ドラマ、

ロマコメことロマンティック・

コメディだけども、

不倫入りの三角関係や、

息子・若者の恋にまつわる難事

などが、アカデミー賞作品賞の

「或る夜の出来事」(1934年・

アメリカ・モノクロ)のように

スクリューボール・コメディ的に

次々に起こって波乱の展開が

待ち受けるドラマとなっている。

いい案が得られないオペラ作家の

夫(ピーター・ディンクレイジ)が、

バーでの恋愛中毒症の女

(マリサ・トメイ)との突然の出会い

と不倫で、素晴らしい着想を得た。
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それがオペラ化されて

高評価を得たが、そんな彼女が

精神科医の妻(アン・ハサウェイ)

のところへ患者として訪れて、

その悩みを話してオペラとダブリ、

夫の浮気がばれてしまう。

ピアノの速弾きに乗って

対応する2人の行動ぶりが

見ものだ。さらに、妻が

連れて再婚した18歳の息子は、

16歳の女子高生と付き合って

相手の親から訴えられそうになる。

一方で妻にも密かに願っている

秘事があった。家族がバラバラに

なりそうな事態は

一体どうなるのか、

スクリューボールの

辿り着く先とは?

波乱か、平和か。

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「プラダを着た悪魔」(2006年・

アメリカ)の頃よりも

大人の風格で魅せる

アン・ハサウェイ、

アカデミー賞助演女優賞を

獲得した「いとこのビニー」

(1992年・アメリカ)と変わらずに

恋愛にひたむきなマリサ・トメイ。

この2人の演技に

あおられるように

逆に困り果てた演技が見事な

ピーター・ディンクレイジ。

三角関係のアンサンブル演技が

ピタッと決まっていた。

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監督はこのブログでも紹介した

「50歳の恋愛白書」(2010年・

アメリカ)の女性監督

レベッカ・ミラー。女性視点による

恋愛の描き方が巧みだ。

また劇中のオペラを始め、

オーケストラ・サントラを

クリエイトした、

ブライス・デスナーに加え、

ラストロールで流れる

ブルース・スプリングスティーンの

ロックな主題歌

「Addicted to Romance」など、

音楽にも注目したい1作だ。


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「リトル・エッラ」⇒北欧のキッズ・ムービー

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家族みんなで見に行ける
 
北欧発ファミリー映画
 
 
4月5日のフライデーから、カルチュアルライフの配給により、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺、シネマート心斎橋ほか、全国順次のロードショー。

本作は2022年製作のスウェーデン・ノルウェー合作の81分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2022 Snowcloud Films AB & Filmbin AS

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北欧発のキッズ・ムービーにして

ファミリー映画。スウェーデンの

「ロッタちゃん」シリーズみたいに

少女ヒロインの行動ぶりに

面白さがある作品。同じく

スウェーデンの絵本作家

ピア・リンデンバウムの

絵本が原作。

未就学児童の「ロッタちゃん」

とは違い、本作のエッラは

小学生でサッカー少女。

そんな彼女が両親が1週間

出かけている間、大好きな

おじさんと一緒に

遊ぼうとしたけども…。

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オランダからおじさんの恋人

(ちなみに男の人)が来て、

おじさんとの2人だけの

時間が叶わない。そこで、

転校生の男子生徒と相談の結果、

恋人をいじめるしかない
となり、

ミミズを食べさせようとしたり、

ネズミを借りてのいやがらせ、

散髪・カラオケ・会食などで

イケズをやり続けるが…。

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大人の事情もあまり感じさせず、

子供の世界と大人の世界の

対比なんかもあるけど、終始一貫

子供視点で紡がれるドラマ

であった。むしろ大人は

子供目線になって見るのが

正解かもしれない。そうすれば

大人目線に戻った時に、ドラマの

テーマに説得力を感じるだろう。

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女の子が若者バンドの

ボーカルになって

ロードムービーする前作

「ロスバンド」(2018年・

ノルウェー&スウェーデン・

ブログ紹介済み)でも、

キッズの撮り方が巧みだった

クリスティアン・ロー監督の新作。

今回は家族向け・子供向けに

手腕を発揮。少女エッラを演じた

アグネス・コリアンデルも

監督の期待に応えて喜怒哀楽を

自然体で素直に演じてみせた。

それでいて「ロッタちゃん」より

かわいさより頭脳派で

魅せる演技ぶりだった。


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短編「きまぐれ」⇒家族崩壊か!?な映画

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父母姉妹の4人家族の
 
最後の旅行を描く
 
家族の行く末は?いかに
 
4月6日(土)・4月7日(日)にシアターセブンでイベント上映。

本作は2023年製作の日本映画25分。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹。

Ⓒ八王子日本国

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「この日々が凪いだら」(2021年)や

「クレマチスの窓辺」(2020年・

共にブログ紹介済み)で

クールかつドライな

演技性を示した、

女優・瀬戸かほが、

25分の短編だけど、

初プロデュース・初原案を

担当して出演した作品。

監督は「クレマチスの窓辺」の

永岡俊幸。父母姉妹の4人家族を

捉えた家族映画だが、

最後の家族旅行を描こうとして

予想外の結末が

待っている映画になった。

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冒頭は一緒にいるけど、

宿に着くと4人は

バラバラな行動に出る。

結婚間近の長女(瀬戸かほ)は

街に出て婚約者のそっくりさん

(ミネオショウ)と出会う。

海外へ留学する次女(櫻井成美)は

フラメンコ教室へ飛び込んで

先生(二見悠)に踊りを習う。

母(石本径代)は離婚話を

父(内田周作)に突き付けて

部屋を出て行き、父は

1人で部屋でビールを飲む。

どう見てもこの家族は

崩壊の方向へ向かっている

としか思えないが、しかし…。

自然光を中心とした撮り方で、

明るい色調となり、

4人の未来を暗示しているようだ。

25分ながら

中味の濃い作品だった。


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2024年4月 3日 (水)

「インフィニティ・プール」⇒近未来SF

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妄想系の不条理SFスリラーだ
 
アレクサンダー・スカルスガルド
 
とミア・ゴスが怪演技で初共演
 
 
4月5日のフライデーから、トランスフォーマーの配給により、新宿ピカデリー、池袋HUMAXシネマズ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国順次のロードショー。

本作は2023年製作のカナダ・クロアチア・ハンガリー合作の118分。
「R18+」指定映画。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ2022 Infinity(FFP)Movie Canada Inc., Infinity Squared KFT, Cetiri Film d.o.o. All Rights Reserved.

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不条理SFとくれば、

「2001年宇宙の旅」(1968年・

アメリカ)「時計じかけのオレンジ」

(1971年・イギリス)

「惑星ソラリス」(1972年・ソ連)

など、前世紀の名作をつい

思い出してしまうが、宇宙へ

行かない系の近未来型映画は

かなりのタイトル数が存在し、

今もなお作られている。本作は

「時計じかけのオレンジ」と同様に、

犯罪を犯した者はどう罪を償い

更生するのかが、隠しテーマに

なっているみたいだ。しかもその

スタイルはブラックな味わい、

あるいは妄想系である。

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SFに限らず不条理で特異な作品を

作り続けているデヴィッド・

クローネンバーグ監督を父に持つ、

ブランドン・クローネンバーグ

監督の第3作目となる新作。

本作でも父の作品に影響を

受けたかのような異能の世界観と

妖しの人間関係を展開している。

2作目の「ポゼッサー」(2020年・

カナダ&イギリス)の記事を

同日にプレイバックしたので、

そちらも要チェック。

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妻を連れてリゾート地の島に来た

作家主人公(アレクサンダー・

スカルスガルド)が、ファンだ

と言う妖しい女(ミア・ゴス)と

その夫と食事をし、その後敷地外の

海へ車で出て

遊んだ帰りに、人を轢き殺して

逃げてしまう。そして警察の

聴取に遭い逮捕されて死刑を

宣告されるが、その国の法律で

自分のクローンを作れば、

代わりに死んでもらえるという。

しかも、被害者の息子が

ナイフでクローンをメッタ刺し

にするのだった。その死刑を

何と自らが見て、さらに

妖しの女から誘われて、

とんでもない異様な世界へ

入っていく。不穏なサントラに

乗って幻覚とも取れる

トリップ・シーンが

次々にやってくるのだ。

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クールなイケメンの

ヒロイズム俳優

アレクサンダー・スカルスガルド

が一変し、頽廃の

けだるい演技を披露。

「Pearl パール」(2022年・

アメリカ)でトンデル殺人鬼を

演じたミア・ゴスが初共演となる

スカルスガルドを堕落させる

妖艶な怪演技を見せて

不気味極まりない。

2人の熱演にふさわしい

不条理SFスリラーの怪作。


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「ポゼッサー」⇒名作プレイバック!!

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SFノワールの奇々怪々作品
 
ワケ分からないままに

打ちのめされる!
 
 
3月4日のフライデーから、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほか、3月11日から、ヒューマントラストシネマ有楽町、テアトル梅田、アップリンク京都ほか、全国順次のロードショー。

本作は、2020年製作のカナダ・イギリス合作による103分。「R-18+」指定映画。

文=映画分析研究所 所長 宮城正樹

Ⓒ2019,RHOMBUS POSSESSOR INC,/ROCK FILMS POSSESSOR LTD. All Rights
Reserved.

★この記事はプランドン・クローネンバーグ監督の新作「インフィニティ・プール」に合わせて再録したものです。現在ではオンラインで見られます。
 
SF映画の古典「2001年宇宙の旅」

(1968年製作・アメリカ)は

不条理SFの名作だが、

本作もまた、不条理というか

変格に違わない仕上がりぶり。

人の体の中に入る映画はあったが、

こちらは人の精神と肉体に

転移するというもの。つまり、

人の人格を乗っ取るのだが、

例えば死んだ者が人の体を借りて、

一時的に蘇えるような

設定に似ているだろうか。

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本作はターゲットを仕止める、

女暗殺者のノワールな話である。

フツーに暗殺するなら、

イロイロややこしい戦略を、

立てなければいけないけれど、

ターゲットの身近な人に

人格移転して狙えば、

たやすいだろう。では、

逃走するのはどうするのかだが、

転移した人格のまま自殺すれば、

元の自分に戻れる

なんていう設定なんだ、これが。

しかし、元の人格が自殺する前に

覚醒するなんて、トラブルが

生じた場合はどうなるのか。

そこをポイントにしたSFだが、

いずれにしても、

ワケの分からなさは

生じてくる映画ではある。

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「R-18」指定が示す通り、

女暗殺者の残虐極まりない

殺し方を、始めとしたところが

その対象となっている。

なぜそこまでバイオレント

なのかは分からないが、普段は

フツーの父母息子3人家族の

妻であり母である。

こおゆう設定もスパイもの

なんかではよくあるけど、

本作ではまた違った

ニュアンスが加えられている。

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異能の監督デヴィッド・

クローネンバーグの息子さん、

ブランドン・クローネンバーグ

の長編第2作目。父の遺伝子が

爆発したといったカンジの

怪作となった。転移・変身系では、

父の傑作「ザ・フライ」

(1986年・アメリカ)が、

意識下にあったのではないか。

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薄ブルー・トーンに加え、

赤色の原色系なども、父の怪しい

色使いの在り方を踏襲している

みたいだった。そして、

ワケの分からん感とは真逆だが、

サスペンスが徐々に

いやます作り
こそ、

遺伝子のなせるワザ。

ワクワクドキドキする。傑作だ。

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「毒娘」⇒Jホラー最新快作

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ホーム・パラサイト・ホラー

のタッチで展開
 
不幸をもたらす少女ホラー
 
 
4月5日の金曜日から、クロックワークスの配給により、新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、T・ジョイ梅田、なんばパークスシネマほか、全国ロードショー。

本作は2024年製作の日本映画105分。

文=映画分析評論家・宮城正樹

Ⓒ「毒娘」製作委員会2024

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怨霊が住み着くタイプの家ホラー、

パラサイト・ホラーとは違う、

家に突然やってきて凶暴な

振る舞いを見せる現実の少女が

登場するホラー。「黒い家」

(1999年・日本)のように、

人間そのものが恐ろしいという

タイプのホラー映画だ。しかも

その人間が3人家族の秘密を

あぶり出していき、最後には

とんでもない事態に発展していく。

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夫と娘と中古の一軒家を購入して

移り住んできた妻・母ヒロイン

(佐津川愛美)。佐津川は

人妻ヒロインとして真っ当

かつ正攻法の演技で魅せるが、

最後には凄まじい激闘が

待っている。以前この家に

住んでいた、怖がらせる側の少女

「ちーちゃん」は、ハサミを

突き付けて娘を脅すものの、

やがて娘は少女と共に

いたずらに走り出すのだ。ふとんを

ナイフで切って綿を出したり、

家のそこかしこに✖印を付け、

ハチミツ掛けたり悪魔装束に

なったりしてやりたい放題。

一体なぜそんなことを

するのか分からない。

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監督は内藤瑛亮。

罪を犯したりいじめの復讐

だったりの少年・少女が登場する

映画が監督の作家性である。

同日にプレイバックした

長編デビュー作

「先生を流産させる会」(2011年)

や、野村周平・中条あやみの

「ライチ☆光クラブ」(2015年)、

山田杏奈の「ミスミソウ」

(2017年)などのノリが

本作にも通底して流れている。

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冒頭の突然の謎めき殺人から、

最後の毒ガス殺人まで、

殺人のいきなり感が最後まで

付きまとって謎を深める

少女ホラー・アクションの快作。


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